心の色を探して

自分探しの日々 つまづいたり、奮起したり。
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久々に読書を

2012年02月05日 | ほんのすこし
読み始めたら止められなくなって。
『舟を編む』三浦しをん著
装丁のギャップ?に手が行って 購入。登場人物らしきキャラクターが帯に描かれているが、帯自体の大きさも普通の帯より幅広い気がする。
帯であって 帯ではない?帯がなければ 買わないかもしれない。なければ あまりにもそっけない表紙になってしまうし、漫画チックなものとシンプルなものが同位置にあることで惹かれるものもあるのだろう。

そして この感じが文章にもある気がする。
内容は辞書を編纂する編集部の話で 華やかな内容とはかけ離れているが、どこか堅苦しくないものが漂うのは言葉の使い方や随所にみられる登場人物の描き方の楽しさだ。
こんな人がいるかもしれないなという感じさせ方。
そして 自分もこんなふうに夢中になっていた頃があったかもしれないなという思い。

子どもの頃は 図書館に入り浸り 帰宅途中で本を読みながら歩いたこともあった。あの頃は 帰り路で車に出くわすことは滅多にないし、今のように開かれた町並ではなかった。小学校から家に戻る広い道路の幅広い舗道は のんびり歩いて帰れたものだ。
毎日 図書館から借りた本に埋もれ テレビを見ることよりも読書を選んだ。読書以外 母に言いつけられた何か仕事があればやったが、それ以外のこと(家事)に関心はなく 自分から気が付いてあちこち片付けたりすることもなかった。母にしてみれば 自分が帰宅する前に何かしらやっていてほしいことがたくさんあっただろうに。
まぁわたしが手をかけると 後で直さなくてはならないので 母にとっては二度手間ということもあっただろう。

本に戻ろう。
まじめさんという方が中心なのだろうが、かといって彼目線で全部書かれているかというとそうでもなく、「辞書を作る」周りの人間模様が描かれているといった方がいいかもしれない。
そのどの人物も「辞書を作る」ことにはまっていく はまっている様子がわかる。辞書を印刷する紙。その紙を作る会社の人間。何度ものダメだしにも逆に意欲満開!といった感じで取り組む。
あれ?仕事ってこう?こんなに燃えるの?といった 読んでるこっちがどこかに置き忘れてきたらしいものを沸々とさせる場面が随所にある。

地味な印象の『辞書を作る』ということには かなり長い年月が費やされているということ。言葉ひとつに敏感に反応し 推敲し。自分には考えられなかった言葉へのアプローチをするものに嫉妬ではなく称賛をする人たち。本当に純粋に言葉に夢中だ。
ところどころに辞書から取り上げた部分が入っているが、少なからず多からずといった分量にも飽きさせないものがあると感じた。効果的に興味を持たせる使い方。
辞書がまた近く感じられる。
辞書の楽しさもまた感じられる。

登場人物ひとりひとりに物語があるのだが、この本は深追いをしないで あくまで「辞書を作る」周りの人たちに終始している。本当の主人公は まじめさんでもなく「大渡海」という辞書なのだろう。

さて、まだ買ってきた本がある。今は『マスカレード・ホテル』東野圭吾著 を読み始めた。これもはまりそうだ。