田園都市の風景から

筑後地方を中心とした情報や、昭和時代の生活の記憶、その時々に思うことなどを綴っていきます。

「ラスコー展」 クロマニョン人が見た世界

2017年08月29日 | 美術館・博物館

 九州国立博物館で「ラスコー展」が開催されています。高校生の時に、教科書で洞窟壁画の写真を見たことがあります。会期も残り少なくなったので、忘れないうちにと観覧しました。

 残暑の厳しい日でしたが、真夏のようには蒸し暑くありません。この日の大宰府は外国の団体客が少なかったですね。

 ラスコー洞窟はフランス南西部にあります。1940年、モンティニャック村を見下ろす丘の上で少年の飼い犬が穴に落ちました。その偶然の出来事が洞窟壁画の大発見につながりました。洞窟内の壁には、2万年前のクロマニョン人が描いた多くの動物画が鮮やかに残っていたのです。動物の数は600体に及びます。

 ラスコー洞窟は全長200メートルほどで、幾つかに枝分かれしています。世界遺産になっていますが、壁にカビが大量に発生したので今は閉ざされており、研究者も立ち入ることは出来ないそうです。その代わりすぐそばに洞窟を再現した展示施設がつくられ、それとは別に洞窟の精密模型が世界を巡回しています。

 特別展では洞窟模型など、数か所で撮影が許可されていました。会期末近くの日曜日ということもあり、会場内は混雑していました。

 会場には当時の石器など、数多くの資料が展示されていました。石刃や槍先などは洋の東西を問わず、同じ目的のためには形状は同じになるのだと感心しました。あるいは文化は世界に伝播していくということかも知れません。

 今回の特別展の目玉は、何といっても洞窟の模型です。デジタル技術で1mm未満の精密さで複製されているそうです。日本でも京都の寺院にある襖絵がデジタル技術で複製展示されていると聞きます。

 洞窟の中で「身廊」とよばれる場所にある、褐色のバイソン、ウマ、ヤギの列です。肉眼では分かりにくいです。拡大写真ではなく、実物模型なので臨場感があります。壁の材質感も伝わってきます。

 照明が暗くなると線刻が浮かび上がってくる仕掛けになっています。解説ではバイソンとウマに引かれた7本の線が槍に見える、とあります。写真にはヤギは写っていません。

  黒い牝牛、ウマの列です。

 背中合わせのバイソン。教科書で見たのはこの絵だったような気もしますが、何せ50年も前のことで記憶が定かではありません。

 泳ぐ鹿。鹿が川を泳いでいるように見えます。この絵は足場の悪い高いところに描かれているそうです。

 腸のはみ出したバイソンが鳥の頭をした男を突き飛ばしています。下には鳥の形をした投槍器があります。

 これはポストカードからです。やはり精密模型の方が迫力があります。

 これも同じくポストカードです。

 これもポストカードから。ラスコー洞窟で発見された獣脂ランプです。現物が展示してありましたが、スプーンのような形で大きさは十数センチです。この灯りで洞窟に絵を描きました。なぜクロマニョン人が洞窟にこれだけの絵を描いたのか、想像がかきたてられます。

  「よみがえったクロマニョン人」と題された等身大の人物像です。それぞれ実際に見つかった化石骨をもとに復元されています。現代人と変わらぬ顔と姿をしています。DNAも共通していて、私達と同じホモ・サピエンスだそうです。この時代には骨で作った針により高度な裁縫が可能になりました。ビデオでは骨から針を作り出す方法が再現されていました。

 人形自体も良く出来ていて、生きているかのようです。貝殻のビーズでつくった頭飾りなど、豊富なアクセサリーを身に着けていました。

 古代の文物を見ていつも思うのは、人間の持つ表現欲求と造形力です。ラスコーの絵にしても、現代人である私なんぞより的確に形の本質を捉えています。

 博物館前の広場では大きなフラワーポットに睡蓮が咲いていました。 

  こちらは青い睡蓮。

 天満宮の撫で牛は相変わらずの人気です。着物体験はすっかり定着しました。いまは若い男性にも人気があるようです。

 

 

 

 

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