く~にゃん雑記帳

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<大和文華館> 特別企画展「宋と遼・金・西夏のやきもの」

2018年02月09日 | 美術

【10~13世紀の多様な中国陶磁を一堂に展示】

 大和文華館(奈良市学園南)で特別企画展「宋と遼・金・西夏のやきもの」(2月18日まで)が開かれている。中国では10~13世紀の北宋~南宋時代、全国各地に多くの窯が築かれ、北方で勢力を持った契丹族の遼、タングート族の西夏、女真族の金王朝でもそれぞれに個性的な陶磁器が生み出された。この企画展には館蔵に京都大学総合博物館蔵と愛知県陶磁美術館蔵の特別出陳を加え81点を出展、中国陶磁史を華やかに彩るこの時代の多様な陶磁器を一堂に展示している。(下の写真は㊧白磁蟠龍博山炉、㊥青磁多嘴壷、㊨白地黒掻落緑釉牡丹文瓶)

  

 中国では北宋時代(960~1127年)から南宋時代(1127~1279年)にかけ、北方に耀州窯や定窯、磁州窯、鈞窯など、南方に龍泉窯や南宋官窯、建窯、吉州窯などが築かれた。背景には一般庶民への陶磁器の需要拡大がある。青磁・白磁の製造技法が確立されたのも宋代。「青磁多嘴壷」(北宋)は龍泉窯(浙江省)で最古級のものといわれ重要美術品に指定されている。墳墓に納められた副葬品で、蓮弁文が5段にわたって線刻され、最下段の蓮弁の中には「富貴長命大吉」などの銘文が刻まれている。(下の写真は㊧白地黒花鯰文枕、㊨三彩印花魚文長盤)

 

 磁州窯(河北省)は北宋時代から今日まで続く華北最大の民窯で、白化粧の上に施した黒釉を掻け落として花弁文などの文様を立体的に表す白地黒掻落(しろじくろかきおとし)をはじめとする多様な技法が特徴。その技法は華北一帯や北方の金の民窯などにも多大な影響を与え、それらの窯で焼かれた陶器は「磁州窯系」と呼ばれる。会場にも「白地黒掻落緑釉牡丹文瓶」(北宋)や「白地黒花鯰文枕」(北宋―金)、「三彩浮彫鹿文枕」(同)、「赤絵蓮華文碗」(金)など多彩な焼き物が並ぶ。

 吉州窯(江西省)の「黒釉木葉天目碗」(南宋)は漆黒の釉面に1枚の枯れ葉の葉脈が浮かび上がって美しい。吉州窯は唐~清時代にかけ存続した古窯で、建窯(福建省)と並ぶ天目茶碗の産地として人気を集めた。この木葉天目碗には「吉州窯独特の高度な手法で、現在では復原しえない神秘的な技法」という説明文が添えられている。葉の先端部が内側に折れて重なり合っており、葉をそのまま、あるいは加工して見込みに置いて焼いたのでないかという。

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