菖蒲(アヤメ)と杜若(カキツバタ)、牡丹(ボタン)と芍薬(シャクヤク)のように、草花にはよく似ていて区別がつきにくいものが少なくない。そして寒椿とサザンカも非常に似て、草花愛好家を悩ませている。実のところ、庭の隅にある高さ3m余のこの花についても百パーセントの自信はなく「多分、立寒椿だろう」という程度であることを、まず断っておきたい。
寒椿はツバキ科ツバキ属で、椿とサザンカの交雑種。椿は普通花ごとポトリと落ちるが、この寒椿はサザンカと同じく花びらが1枚ずつ散るのが特徴。同時に、おしべと花弁が合着している椿の特徴も併せ持つ。通常、枝が横に伸び背丈がせいぜい1m程度のものを寒椿、枝が縦方向に伸び3~5mにもなるものを立寒椿と呼ぶ。
花は八重の紅色が多いが、白やピンク、一重も。葉は艶のある暗緑色で、縁には鋸の歯のようなギザギザがある。12月から年を越して長く咲き続け、メジロなど野鳥に蜜を提供してきたが、もうそろそろ見納めだ。
・「寒椿つひに一日の懐手」(石田波郷)、「花咲いておのれをてらす寒椿」(飯田龍太)
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