く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<BOOK> 「ポックリ死ぬためのコツ 大往生できる人の7つの習慣」

2012年06月22日 | BOOK

【佐藤琢磨著・佐々木英忠監修、アスペクト文庫】

 人生の最期ぐらい、家族や周りの人に迷惑をかけないでポックリ往生したい――。誰もがそう願っているに違いない。「ピンピンコロリ」の頭文字をとって「PPK」という言葉も一時はやった。ではポックリ往くにはどうしたらいいの? 著者は東北大学医学部老年科で博士号を取得した医学博士。「ポックリ死ねる人、死ねない人」という著書もある。

    

 本題に入る前に「ポックリ」という言葉について。実は浄土宗の「保久利」が語源という。功徳を積んだ人が亡くなると、阿弥陀様がお迎えに来て、浄土で永久にご利益を保ってくださる――。保久利にはそんな教えが込められている。その「保久利と逝く」が「ポックリ死ぬ」に変化したというのだ。知らなかった! ということは生前に功徳を積んでいない人は、ポックリ死はかなわないということ?

 死に方には若くして事故や病気で亡くなる場合を除き、①脳が体より先に衰える②体が脳より先に衰える③脳と体が同じように衰える――の3つに大別されるという。①は認知症などの場合で症状が進むと徘徊などで家族に負担がかかる。②は癌や心臓疾患など病気によるもので、体が思うように動かないことの苛立ちや苦しみ、家族に迷惑をかけているという申し訳なさで、本人がつらい思いをする。ポックリ死につながることが多いのは③のケースで、健康で長生きし、体調が悪くなって比較的短期間のうちに苦しまずにコロリと他界できる。

 では悲願の「コロリ往生」を遂げたといわれる漂泊の詩人、種田山頭火はどれにあてはまるの? いつもの大酒を飲んで、いびきをかいて寝たままあの世へ旅立ってしまった。享年57歳。①でもないし②にもあてはまらない。著者は「ポックリ死」と「突然死」を混同している人が多いと指摘する。ポックリ死は本人に苦しみがなく、家族にも大往生を看取った満足感や達成感が残る。一方、心筋梗塞などによる突然死は本人にほぼ苦しみがあり、家族にも突然の驚きや深い悲しみを与える。山頭火の死因は心臓麻痺といわれている。ということは、ポックリ死ではなくて突然死ということ?

 ポックリ死しやすい人は「ストレスをためないマイペース型の性格の人に多い」。本人も家族も納得のいくポックリ死のためには「早いうちからの準備が大切」という。ポックリ死に必要な習慣として①長生きするように心がける②(食欲・性欲・睡眠などを司る)古脳を鍛える③下半身を鍛える④バランスのよい食事を摂る⑤疲労の管理に注意する⑥がん検診や健康診断を受ける⑦頑張りすぎないようにする――を挙げる。古脳を鍛えるには早寝・早起き、3食の摂取、身だしなみ、趣味、積極的なコミュニケーションが有効という。

 ただ、これまでの診療経験から「ポックリ死といえるような死に方は多く見積もっても5%以下」。えっ! そんなに低いの。じゃ、頼りはやっぱり「ポックリ寺」? 奈良だったら斑鳩の吉田寺(きちでんじ)のご本尊が霊験あらたかといわれているけど……。ホームページにも本尊の前で祈祷を受けると「長患いすることなく阿弥陀如来のお迎えをいただくことができます」。で、祈祷料は? 「当日祈祷はお1人5000円。3日間の別祈祷(1万円)や1週間の特別祈祷(2万円)もあります」。え~っ! それじゃ、もしポックリ死ぬまで毎日祈祷してもらうとしたら一体いくらになるの?


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