【10000mは標準A突破が5人、Bも2人】
8日開幕する日本陸上選手権(大阪・長居陸上競技場)。ロンドン五輪代表最終選考会を兼ねるが、女子の5000mと10000mには五輪参加標準記録のA、Bを突破している選手7人がそれぞれ出場を予定している。五輪参加枠は1種目で最大3人。A選手が優勝すると代表に即決定、その他の代表は大会終了後の11日に発表される。ロンドン行きの切符獲得を目指し、激しい駆け引きが繰り広げられそうだ。
10000mにエントリーした選手21人のうち、昨年1月以降のレースで参加標準を上回っている選手は次の通り。A標準(31分45秒)=福士加代子(30歳、ワコール)30分54秒29、絹川愛(22歳、ミズノ)31分10秒02、新谷仁美(24歳、ユニバーサル)31分28秒26、杉原加代(29歳、デンソー)31分34秒35、清水裕子(26歳、積水化学)31分43秒25。B標準(32分10秒)=吉本ひかり(22歳、ヤマダ電機)31分45秒82、吉川美香(27歳、パナソニック)31分55秒06
【福士加代子、五輪3大会連続出場を目指す】
A突破が5人、B突破が2人。最右翼はやはり福士か。10000mのベストも参加選手中最速の30分51秒81(日本歴代2位)で他選手を引き離す。これは10年前に出した記録だが、昨年5月の米カージナル招待でそれにわずか3秒に迫る自身2番目の記録でA標準を突破した。マラソンでロンドンを目指したが、1月の大阪国際女子マラソンで後半失速、9位に終わった。それだけに今大会にかける思いは強く、アテネ、北京に続いて3大会連続で10000mでの出場を目指す。
【復活絹川愛の悲願実るか、新谷仁美も上り調子】
絹川は体調不良で長くレースから離れていたが、1年前の日本選手権の5000mで自己ベストで優勝し復活。その直後のホクレンディスタンスチャレンジ網走大会の10000mでも自己ベストの31分10秒02(歴代4位)で優勝、A標準を突破した。4年前の北京五輪でも有力代表候補の1人だったが、体調不良で最終選考会の日本選手権欠場を余儀なくされた。絹川にとっては4年後に巡ってきたこのチャンスを何としてもつかみたいところだろう。
新谷のA標準突破記録は自己ベストで、今年4月の兵庫リレーカーニバルで出したばかり。調子は上がっているとみられ、持ち味の上下動の少ないピッチ走法で五輪初出場を目指す。杉原は昨年5月の米カージナル招待、清水は同12月の日体大長距離競技会でそれぞれAを突破した。この2人もベスト記録だ。マラソン代表から漏れた中里麗美(23歳、ダイハツ)の走りも注目される。
【5000mも混戦。A突破が4人、Bが3人】
女子5000m(エントリー22人)でも10000mのエントリー上位選手が参加標準Aを突破している。Aが4人、Bが3人。突破選手は次の通り。A標準(15分20秒)=絹川15分09秒96、新谷15分13秒12、吉川15分15秒33、福士15分18秒46。B標準(15分30秒)=木崎良子(26歳、ダイハツ)15分22秒87、西原加純(23歳、ヤマダ電機)15分23秒80、正井裕子(31歳、日本ケミコン)15分29秒69
7人のうち福士のA突破記録は1カ月前の5月の「ゴールデンゲームズinのべおか」で出したばかり。自身が持つ日本記録14分53秒22(2005年)に約25秒遅いものの、今大会に調子を合わせてきた。それ以外の6人の記録はいずれも自己ベスト。昨年1月以降ではエントリー選手中最高タイムの絹川は、体調をレース当日までにベストの状態に持っていけるかがカギを握る。吉川は10000mでもBを突破しているが、Aの5000mのほうが本命か。
【西原加純や小林祐梨子にもチャンス】
木崎は昨年11月の横浜国際女子マラソンで尾崎好美とのデッドヒートを制して優勝しマラソン代表に決定済み。5000mにはスピード練習の一環として出場か。西原はその木崎の京都・宮津高―仏教大の後輩に当たる。西原と正井はともに昨年11月の山口国体で自己ベストを出してB標準を突破した。このほかでは小林祐梨子(23歳、トヨタ自動織機)がまだ標準記録を突破していないものの、エントリー選手の中では福士に次ぐ15分05秒37のベスト記録を持っており、北京に続いて五輪2大会連続出場を目指す。
女子10000m決勝は初日の8日午後8時5分、女子5000m決勝は最終日の10日午後5時5分にスタートの予定。重複してエントリーしている選手は、初日の結果やその日のコンディション、ライバルの調子などを総合的ににらみながら、両方に出場するか1つに絞るかなどを決めることになりそうだ。
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