【主食は昆虫、ヒマワリの種やピーナッツも】
ヤマガラ(山雀)やコガラ(小雀)などと同じシジュウカラ科で、緑の多い地域なら市街地でもごく普通に見かけるかわいい留鳥。文献では平安時代初期の仏教説話集『日本霊異記』に「しじうからめ」として出てくるのが最初で、室町時代になって「しじうから」と略されて呼ばれるようになったという。
雄鳥のさえずりは「ツツピー・ツツピー」。地鳴きは「ジュク・ジュク」と濁る。黒い頭に白いほっぺと白い胸の真ん中に伸びる黒いネクタイ模様がトレードマーク。主食は昆虫で、ドイツでの調査によると1羽が1年間に食べる虫の量をガの幼虫に換算すると12万5000匹にもなるそうだ。ヒマワリの種やピーナッツも大好物。庭の餌台に入れておくと毎日やって来る。番(つがい)とみられる2羽のことが多い。幅広ネクタイのほうが雄で、幅の狭いのが雌だろう。
名前の「シジュウ(四十)」の由来には諸説がある。地鳴きの音に由来するという説をはじめ、よく群れることから数が多いことを表すという説、さらには1羽でスズメ40羽分の価値があるという説まで(スズメには少々かわいそうな気もするが……)。似た名前の小鳥に「ゴジュウカラ(五十雀)」があるが、こちらの名の謂れもはっきりしない。全く別のゴジュウカラ科に属し、目の左右に黒いラインが伸びて見た目も異なる。「四十雀」「五十雀」があるなら「三十雀」や「六十雀」があってもよさそうだが、そんな名前の鳥は存在しない。
シジュウカラにまつわる民話に『一休さんの引導』。一休和尚がある寺の小僧だったとき、檀家の人が「飼っていた四十雀が死んだのでお経をあげてほしい」とやって来た。あいにく和尚は法事で留守中。一休はお経といっても「なむなむなむ」しか知らない。そこで思案を巡らせた一休はこうお経をあげた。「なむなむなむ。人生わずか50年、お前は小鳥であれども四十雀とはよく生きた。喝!なむなむなむ」。檀家は満足してお布施を包み家路へ。そこへ和尚が戻ってきて「何か変わったことなかったか?」。一休はありのままにこんな文句で四十雀に引導を渡したと報告。すると和尚は「俺でも思いつかない文句」と一休を褒めた……。「老の名のありとも知らで四十雀」(松尾芭蕉)。
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