豊玉毘売は、後ろ髪惹かれる思いで、綿津見国に帰ってしまいます。
かって、火遠理命は、塩椎神が造った“无間勝間之小船<マナシカツマノコブネ>”に乗って綿津見国へ行き、また、帰りは海神が命令した八尋和邇の頸に乗って帰ってきます。が、毘売は、やはり海の世界に生きていた人です。水の中でもこの世の中何処でも自由に生きて行くことができるのです。両生類に似た何処の世界でも生きていける、誠に、稀有な人だったのです。本来の姿は“和邇”ですが、一方、大変美しい人間でもあるのです。そのような夢のような世界が、この綿津見の国なのです。
この豊玉毘売と火遠理命の間に生まれた子はこの不思議な二つの世界を自由に生きることができる子供だったのです。それ故、もし、此の子が、将来に、「自分の母親は???」と思い、綿津見の世界に訪ねられるかもしれないことを恐れて、母親の愛情から生まれた考えでしょうが、二つの世界を取り結ぶ道を、敢て、絶ってしまったのです。
それを
“塞海坂而<ウナサカヲ セキテ>”
と、簡単に古事記に書かれてあります。
やはり、日本の古代に於いては、それぞれの境は、と云っても、根の国とこの世との境でも分かるように、すべて夫々の異なる世界のと境界線は、総て、「坂」によって境界線が仕切られていたのです。
かって、火遠理命は、塩椎神が造った“无間勝間之小船<マナシカツマノコブネ>”に乗って綿津見国へ行き、また、帰りは海神が命令した八尋和邇の頸に乗って帰ってきます。が、毘売は、やはり海の世界に生きていた人です。水の中でもこの世の中何処でも自由に生きて行くことができるのです。両生類に似た何処の世界でも生きていける、誠に、稀有な人だったのです。本来の姿は“和邇”ですが、一方、大変美しい人間でもあるのです。そのような夢のような世界が、この綿津見の国なのです。
この豊玉毘売と火遠理命の間に生まれた子はこの不思議な二つの世界を自由に生きることができる子供だったのです。それ故、もし、此の子が、将来に、「自分の母親は???」と思い、綿津見の世界に訪ねられるかもしれないことを恐れて、母親の愛情から生まれた考えでしょうが、二つの世界を取り結ぶ道を、敢て、絶ってしまったのです。
それを
“塞海坂而<ウナサカヲ セキテ>”
と、簡単に古事記に書かれてあります。
やはり、日本の古代に於いては、それぞれの境は、と云っても、根の国とこの世との境でも分かるように、すべて夫々の異なる世界のと境界線は、総て、「坂」によって境界線が仕切られていたのです。