もう40年も前の話になるのですが、郷里「美袋」の山の中にエビネランの群生の地がありました。土地の人たちは故郷の清楚なる春をこの花によって人知れず味わっておりました。しかし、その小さな田舎の春を楽しんだエビネが、ある時、無残にも跡形もなく根こそぎに引き剥かれてしまったのです。そのころエビネがテレビなどによってブームなり一株が相当な値段で取引されていました。それを知った岡山かどこかの人が美袋のエビネことを聞き知って盗んだのだろうと噂しておりました。
その跡形もなく盗みおられたエビネの跡地には、ほんの数株ですが取り忘れられて残っていました。その一つを頂いて私も育てました。それがいつの間にか数十本にも増え、今年も可憐な花が10本ほど咲きました。
その清楚なる姿を
昔見し 故郷の空を 今もなお 我が家の庭に 咲き初むエビネ
その跡形もなく盗みおられたエビネの跡地には、ほんの数株ですが取り忘れられて残っていました。その一つを頂いて私も育てました。それがいつの間にか数十本にも増え、今年も可憐な花が10本ほど咲きました。
その清楚なる姿を
昔見し 故郷の空を 今もなお 我が家の庭に 咲き初むエビネ