木版画あすなろう会

木版画を見てあんなのがつくれるといいなあ~と思う人

木版画について

2014-10-28 20:13:13 | Weblog

 日本の木版画では、江戸時代の浮世絵の存在が大変重要です。

浮世絵は墨一色の墨摺り絵から始まり、丹絵(たんえ)、紅絵(べにえ)、漆絵(うるしえ)といった筆彩版画と呼ばれる色摺版画が盛んになります。

しかし、明治2年(1765年)、鈴木春信らによって、多色摺りの錦絵が完成されると、浮世絵はすべて錦絵によって版行されていきます。このとき

「見当」と呼ばれる色ずれ防止の目しるしが工夫されました。

錦絵は絵師、摺り師、摺り師の完全分業でしたが、明治以来(20世紀初頭)山本鼎(かなえ)、石井拍亭(はくてい)たちが自画、自刻、自摺の作品

を発表したところから意識的な創作活動がはじまりました。

 凸版について

    木版画は、板目に凹凸をつくり、その凸に油性または水性の絵の具をのせて、紙に凸の様を写し取る技法です。

   工程は、大きく三つに分かれます。

   1、ドローイング

   2、彫り

   3、摺り

   この一連の仕事をもって、作品が生成されてくるわけです。この工程は昔から行われていることで、「絵師、彫り師、摺り師」「自画、自刻、自摺」

   といわれることもここからきています。

     一番身近にある凸版に似ているものとして、指紋があります。つぎに身近なものが、ハンコ(印章)ではないでしょうか。

   いずれも、自己の印として用いられているものです。

   凸版は、イメージを彫り残してつくった凸の部分を、和紙などへ写し取り表す表現のスタイルです。

 版木について

     版木とは、版で用いる木の板の総称です。

     版材として、木の繊維に沿って縦割りにカットした板目と、木の繊維に対して垂直に輪切りにした木口(こぐち)の2種類があります。

   1枚の無垢板(むくいた)と張り合わせたベニヤ板の2種類があり、無垢板では、桜、朴(ほう)、桂、梨、胡桃(くるみ)、桃など、ベニヤ板では、

   シナとラワンが一般的です。

   浮世絵では、髪の毛より細いと思えるような線が鮮明に彫られている。ここで使用される材料は、伊豆の海岸で育った山桜からとった版木です。

   しかし、伊豆の山桜は、自生数の減少などで今や幻の版材となりました。

   リノリュームという樹脂の板なども使われます。

   ただし、リノリュームの場合、水性の絵の具をはじく性質が強いので、油性インクがむいています。

   その他、なんでも凸版の版材として試す価値があります。

 下絵について

      一般的に、版画を作る場合、まず下絵(原画)を描きます。

    版となる板の大きさに合わせて、完成した版画が予想できる下絵を丹念に描くようにしてください。目指す完成像を具体的に表すことで、

    その作業は大変進めやすくなります。

      木版画には、短い期間では体験できないほどの多くの技法がすでにあります。

    加えて、木版画の形式の中には、あなただけの技法が秘められていますから、思う様に行かないからというって落胆することはありません。

    そういうときは、素材に対して知識不足、道具の使い方の間違い、微妙な手加減の違いなどが原因だったりするので、何が問題かよく見極め

    た上で改善の工夫をしなければなりません。

    そうすることで、浮世絵という日本の近世にその質を極めた摺りものの価値を再認識することになるでしょう。

 転写について

       下絵を写すことを転写といいます。ハンコや芋版がさかさまに写し取られるのと同じで、木版画も反転します。版に描いたイメージが、左右

     反転して紙に刷り取られるのです。ですから、転写の際には、下絵を裏返しにして版へ写す必要があるのです。転写にはいくつかの方法が

     あります。

        まず、浮世絵で行われた伝統的な彫り師の技法 (主版法)

      1、下絵を描きます。

      2、薄い和紙(薄美濃紙)を下絵にかぶせ固定します。

      3、彫り残す凸部と彫り取る凹部の境界線を描画材(墨など)で写し取ります。

      4、版木に適量の糊(でんぷん糊)を置き、手のひらで全体を伸ばします。

      5、下絵を写した和紙を裏返しにして版木に貼り込みます。

      6、半乾きになったら、貼り込んだ和紙の繊維を薄く擦り取って、貼り込んだ下絵を見やすくします。

 

      下絵をもとにして、墨板と呼ぶ線画を黒で摺る版がまず彫られました。この墨板が絵全体の輪郭をとる主版となります。

      これを薄い和紙に複数枚摺り、それらに部分ごとの色指定をして別の板に貼り込み各色板の下絵としたのです。

      この方法が、多色摺りの基本なので覚えておいてください。

 

         つぎは、カーボン紙を利用した転写の方法

       1、下絵を描きます。

       2、下絵にトレーシングペーパーをかぶせ、彫り残す凸部と彫り取る凹部の境界の線を描画材で写し取ります。

       3、版木の上に2のトレーシングペーパーを裏返しにてかぶせ、トレースした線を描画材(シャープペンシルなど細い線が描けるものがよい)

       でなぞります。

       これは、主版法に限らず、どんな方法にも応用できます。

  

          最も安易な方法

        1、下絵に薄いトレシングペーパーをかぶせ、彫り残す凸部と彫り取る凹部の境界線を描画材で写し取ります。このとき、描画材はやわらか

         い鉛筆を用います。

        2、版木に、描画したトレーシングペーパーを裏返ししてかぶせ、バレンで強く擦り鉛筆の線を版木に写します

 

      以上が、転写の技法です。

    

   


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