昨日の『朝日新聞』夕刊にノーベル物理学賞を受賞した益川敏英・京都産業大学教授の反戦・平和への思いが載っており、読んでて深く感動、大いなる勇気をもらいました。
取材に答えた益川さん、まずはノーベル賞授賞の講演で「自国が引き起こした無謀で悲惨な戦争」とあの侵略戦争に触れ、「戦争体験はぼくの人生の一部であり、講演では自然と言葉が出た」と言います。
祖父母が戦前の朝鮮で豊かな暮らしをしていたことについて「そんなの侵略じゃないか」と怒鳴った高校生時代を過ごし、大学では「素粒子論の研究も平和運動も同じレベルで大事だ」と語り反核平和運動に熱心に取り組む坂田昌一教授に学び、全国の科学者に平和を訴える声明文や手紙を出す手伝いをしたそうです。
名古屋大学理学部の助手になってからは「とにかく戦争で殺されるのも殺す側になるのも嫌だ」という思いがあり、「研究者であると同時に一市民であり、(平和)運動の末席に身を置きたい」と考える方でした。
2005年には「9条の会」の科学者・研究者の分野での取り組みの呼び掛け人になり「本当に9条が危ないという政治状況になれば軸足を研究から運動に移す」と覚悟を話されています。
そして人間の歴史については「100年単位で見れば進歩してきた」、「戦争だってあと200年くらいでなくせる」と大局的な見方を示されています。
なかなか益川教授のこういう思いに触れた報道が少ない中、よくぞ取材して書いてくれたもんだと感心しました。取材者は武田肇記者です。