MOVIE KINGDOM Ⅱ

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ポイントは★~★★★★★★

No.029 「ラストキング・オブ・スコットランド」 (2006年 米/英 125分 シネスコ)

2007-03-28 00:59:00 | 2007年劇場鑑賞
監督 ケヴィン・マクドナルド
出演 フォレスト・ウィッテカー
    ジェームズ・マカヴォイ
    ケリー・ワシントン



シネコンってところは週末になると遅い回の上映があったりして、結構助かったりしてます。
MOVIX堺も土曜日はレイトショーというよりはミッドナイトショーと言ってもいいくらいの遅い回の上映がありますが、この「ラストキング・オブ・スコットランド」も23時45分という日付が変わる寸前の上映(終映は深夜2時!)て事で見に行きましたが、チケットカウンターで指定席を選ぶ時に比較的空いてるエリアをて事で、最後列の中央を選んでの鑑賞。
上映スクリーンがMOVIX堺で一番デカイ12番シアター・・・中に入ると何と見にきてるのん我々だけやんけ!
ガランとした巨大な客席の最後列に座るオッサン3人・・・こんだけ空いてんのにワザワザ最後列に座るのは何か滑稽やね~
まぁ、上映間際に2組のカップルが入ってきたので何とか500人近いキャパの客席で7人でのミッドナイトショー鑑賞!

(あらすじ)

1971年、スコットランドの医学校を卒業したニコラス(ジェームズ・マカヴォイ)は、診療所で働くためにウガンダにやって来る。ある日、彼はアミン新大統領(フォレスト・ウィッテカー)の演説を聞きに行った帰り道で、偶然にも大統領の捻挫の治療をすることになる。大統領から気に入られたニコラスは、アミン一家の主治医になるが……。

何も知らなかったんですが、主人公の医師は架空の人物だったんですね。
てっきり実在の人物だと思っていました。
その青年医師の目を通して描かれるイディ・アミンと言う名の世紀の怪物!
そのアミン大統領のケガを手当てしたことがキッカケで彼の主治医として招かれ、そこで目撃するのは世紀のカリスマが見せる多くの人民を引っ張るリーダーシップとおぞましいほどの残虐性!
側近として仕えながらも序々にアミンの狂気の前に未曾有の恐怖を体験することになる・・・

青年医師ニコラスの目=観客の視点から見るアミン大統領という存在は時には子供っぽくユーモラスにも写り、また悪魔のような非道な一面も見せる。
「食人大統領アミン」というB級映画があるぐらいアミン大統領の残虐性は有名ですが、かつてアントニオ猪木と格闘技戦の噂も出たくらいの格闘技に実力者(ボクシングの王者だったんですね)としての印象ぐらいしかありませんでした。。
勿論この作品ではそんな話題は出ませんが、ある事がキッカケで全てを疑うようになり、恐怖に怯え、その結果やがて残酷な殺人者となっていく部分が映画が進行するにつれて判っていきました。

そんなアミン大統領を演じるフォレスト・ウィッテカーの演技が噂以上に良かったと思いましたね~
さすがアカデミー主演男優賞を受賞したのも納得ですね。
元々前から上手い役者さんだとは思っていましたが、テンションの高い彼のアミンの芝居にドンドン画面に引き込まれましたよ。

特に最初にアミンが画面に登場する(その前にチラッと写るけど)演説のシーンのハイテンションぶりはいいですね。
アミンの後ろ姿からカメラは撮り、その背中の向こう側では熱狂してる人民たちの姿を描くカットが印象的で、フォレスト・ウィッテカー 演じるアミン大統領のカリスマ性としてのオーラが画面から伝わってくるようでした。
似たような撮り方で後方から背中越しに人民を写していた「蒼き狼 地果て海尽きるまで」の即位式のシーンの反町隆史演じるチンギスハーンとは画面から伝わってくるオーラが全然違ったよ。

この作品で感じたのはアミンという男の弱さ故に自衛と野望のため凶暴な悪魔になっていったある意味悲しい男なんやね・・・て言うことでした。
そんな思いを感じさすのも稀代の悪魔を人間味溢れる男として演じたフォレスト・ウィッテカーの素晴らしい芝居によるものだと思います。

歴史的に有名なエンテベ空港の場面がクライマックスで、実際のハイジャック事件とその裏の拷問シーンが同時に描かれるが、この辺の実話と架空のドラマとを融合させたサスペンスの盛り上げ方はさすがは傑作「運命を分けたザイル」の監督であるケヴィン・マクドナルドの手腕が生きてますね~
深夜の鑑賞だったけど時間を忘れさすほどの見事な映画だったと思います。



★★★★ 2007.3.24(土) MOVIX堺 シアター12 23:45 O-18