MOVIE KINGDOM Ⅱ

映画に関する話題やライブ&イベント、ローカルなグルメ情報など色々話題を広げて行きます
ポイントは★~★★★★★★

No.023 「フリーダムランド」 (2006年 米 112分 シネスコ)

2007-03-13 00:52:38 | 2007年劇場鑑賞
監督 ジョー・ロス
出演 サミュエル・L・ジャクソン
    ジュリアン・ムーア
    イーディ・ファルコ



本日3本目の映画はまたまた少し雰囲気の違った作品になりました。
そして今月一杯で閉館の決まってる動物園前シネフェスタ4での鑑賞・・・いつもながら閉館が決まってる映画館で見るのは寂しい気持ちになりますね。
ここは都市型遊園地フェスティバルゲート内に4スクリーンあるミニシネコンなんですが、大阪市の経営破綻でフェスティバルゲート自体が閉鎖になる?ようでそのあおりで閉館になる模様・・・オープンして10年しか経ってないのにね~

もしかしてここでは最後の鑑賞となるかも知れない作品が「フリーダムランド」です。

(あらすじ)

ニュージャージー州の低所得者向け団地でカージャック事件が発生し、事件の被害者である白人女性ブレンダ(ジュリアン・ムーア)は、奪われた車の後部座席に幼い息子が眠っていたと打ち明ける。黒人刑事のロレンゾ(サミュエル・L・ジャクソン)は、犯人扱いされた住民たちと警官の間に走る緊張感を案じながら捜査にあたるが……。

序盤のカージャックに合った女性ジュリアン・ムーアが刑事であるサミュエル・L・ジャクソンに事情聴取受ける場面での互いのやり取りのテンションの高いこと・・・2人の熱演が伝わってきます。
特にジュリアン・ムーアの鬼気迫る芝居は中々見ものですよ~
彼女の顔がだんだん不気味にさえ思えてくるほどの真に迫った演技はいいですね。

珍作「フォーガットン」より(あれも子供消える話で彼女は母親役だったな)こちらの方がストーリー的にもまともで作品としてはレベルは高いと思います。
ただサスペンスの中に人種差別や昨今日本でも問題になってる幼児虐待など社会的な側面を取り入れてるので結構重たい映画になってるので少し見てて疲れますね。

途中から結末の予測は主人公同様だいたい想像付いてしまうけど、ことの真相の重大さが大きなテーマとなっていてミステリーサスペンスが終わって見れば社会ドラマのような感覚を受けましたね。
何か昔TVで放送してた刑事ドラマ「特捜最前線」を見てるような感じだったな~(サミュエル・L・ジャクソンが本郷巧次郎に見えてきたぞ・・・)
最後のエンディングにチリアーノの「私だけの十字架」がかかれば言うことなし・・・だったかも?



★★★ 2007.3.9(金) 動物園前シネフェスタ4 シネマ4 20:25 4列目

No.022 「パフューム ある人殺しの物語」 (2006年 独 147分 シネスコ)

2007-03-12 00:28:18 | 2007年劇場鑑賞
監督 トム・ティクヴァ
出演 ベン・ウィショー
    ダスティン・ホフマン
    アラン・リックマン



本日2本目の映画は朝見た「ドリームガールズ」とは対照的な作品。
この映画が宣伝されだした頃はイマイチどんな映画かピンとこなかったんですが、何か相当エゲツナイ映画だそうな・・・
そんな印象を持って見にいったけど、上映時間見てビックリ!おいおい147分もあんの~?

(あらすじ)

18世紀のパリ、悪臭のたちこめる魚市場で産み落とされたジャン=バティスト・グルヌイユ(ベン・ウィショー)。驚異的な嗅覚を持つがゆえに、奇怪な青年として周囲に疎まれている彼は、ある晩、芳しい香りの少女に夢中になり、誤って殺してしまう。その後、彼は少女の香りを求めて調香師になり、香水作りに没頭するが……。

パフューム・・・て言葉の響きが聞きようによればファンタジックな感じを受けそうだけど、内容を何も知らず見ると腰を抜かすかも?(「~ある人殺しの物語」て言うサブタイはよく付けたもんだ・・・これがなかったらどんな映画か想像つかないやろね)

冒頭主人公のジャンの生い立ちがナレーション(J・ハートが担当)で語られるけど、身重の母親が魚市場の雑踏の中で、それも机の下で子供を自らの手で産み落とす場面から始まるが、そのシーンですら見方によればえげつない!
体液と血にまみれた赤子と包丁でぶつ切りにされる魚や解体される牛や豚、ゴミのように床に撒き散らされる内臓や肉片!そしてゲロ!
産まれたての赤子とそれらの肉の切れ端や塊、汚物らを短いカットで交互に見せる悪趣味さはまるでキャスパー・ノエの映画見たい・・・産まれたての赤ちゃんの生と死の境目を壮絶な表現で見せられた感じのオープニングでした。

こんな生まれ方した奴は尋常な子に育たんぞ~と思ったら案の定、超人的な嗅覚の持ち主で、その特殊能力を発揮して香水作りをし、やがて究極の香水を求めて・・・

一言で言えば猟奇的な犯罪者の半生のような物語です。
人間の「生の香り」を求めて殺人を繰り返す異常犯で「生の香り」を求めるには死体から「死の油」を搾りとると言う行為が残虐ですね。
彼の作業場に多数の人毛があったり、巨大なタンクに死体が漬かってたりと・・・ほとんど週間マーダーケースブックに紹介されそうなサイコぶり!

そして作られるその「究極の香水」の恐るべき効果はもう神の領域という超優れもの・・・殺人犯が一転して世界を支配してしまいそうな「神」になってしまいそうになる・・・てのは見方に寄れば「究極の武器」を持つ奴が人間をコントロールし、世界を支配しかねないという意味にも取れてしまいそうな恐ろしい映画でした。

原作に結構忠実らしいですが、でも147分は長く感じたな~



★★★★ 2007.3.9(金) アポロシネマ8 スクリーン3 16:00 I-17



No.021 「ドリームガールズ」 (2006年 米 130分 シネスコ)

2007-03-09 15:16:36 | 2007年劇場鑑賞
監督 ビル・コンドン
出演 ジェイミー・フォックス
    ビヨンセ・ノウルズ
    エディ・マーフィ



いつも私が映画へ行くのは大阪市内のミナミ付近が多いんですが、久々に北は梅田あたりにでも行ったろかいな?
と、たわいない理由で「ドリームガールズ」を見に梅田では今や一番古い劇場になってしまった三番街シネマへ足を運んだ。
JR環状線の大阪駅で下りたら大阪駅のホームにナタリー・ポートマン似(ちょい言い過ぎか?)の美人の外国人の女性が居てついつい見とれてボ~と歩いてたら・・・全然見当違いの場所に出てもた・・・映画館と方向反対やがな・・・急いで巨大な大阪駅のコンコースを半周してギリギリ三番街シネマに到着!

ここがオープンしたのは私が小学生の頃だからもう30年ぐらい前か・・・当時じゃオシャレな映画館が出来たと思ったもんでしたがね。
当時から三番街ってとこは特別洒落たイメージがありましたね~
劇場が2館あって(今3館)オープニングはたしか「愛人関係」と「エアポート75」「007/黄金銃を持つ男」の2本立てだったな・・・ま、そんなことを思いだしながら館内に入るとシートとかは綺麗になってるけど天井が低い!
このへんは作りが昔の映画館やね~ ま、ビルの中だから仕方ないんでしょうがね~

この「ドリームガールズ」は元々はブロードウェイミュージカルって事で歌や踊りがふんだんに出てくる映画ですが、何と言ってもアカデミー最優秀助演女優賞を取ったジェニファー・ハドソンが注目でしたが、芝居と言うより歌唱力が印象に残りますね。
ビヨンセを向こうに回しての歌のシーンも堂々たるものでしたね。

(あらすじ)

エフィー(ジェニファー・ハドソン)、ディーナ(ビヨンセ・ノウルズ)、ローレル(アニカ・ノニ・ローズ)の3人組は、コーラスグループ“ドリーメッツ”を結成し、成功を夢見てニューヨークへ旅立った。やり手マネージャーのカーティス(ジェイミー・フォックス)に見出され、大スターのジェームズ・“サンダー”・アーリー(エディ・マーフィ)のバックコーラスとしてデビューするが……。

売れないコーラスグループだった3人がマネージャーのカーティスに見出され成功していく物語・・・と簡単に言えばそれだけの話なんだけど、主人公のエフィー、ディーナ、ローレルの3人を中心にマネージャーのカーティス、3人がバックコーラスを務めた大スターのジェームス・アーリー(エディ・マーフィがJBよろしく好演!)作曲家のCCなど、彼女らを取り巻く様々な人々がドリームスに関わることで人生が変わっていく様が音楽業界のサイドストーリー的に描かれてそちらに興味を惹かれて見てしまいました。

歌唱力のあるエフィーをリードボーカルにしていたけど、やはりTVを意識するとビジュアルを重視してビヨンセ演ずるディーナを中心にそえる・・・ここらあたりは業界ではよくあるんでしょうが、生々しい現実ですね。
勿論、プロとしてのプロデューサーやマネージャーとすれば当然の判断なんですけどね。
それがきっかけでこの映画の人間模様が大きく動いていくことになります。

最初は辛抱していたエフィーもある事がきっかけで、カーティスと愛していながらも別れてドリームスからも去っていく・・・やがてカーティスとディーナがいい中になって行き、同時にドリームスもどんどんスター街道をまっしぐらで、大成功していく・・・一方では辞めたエフィーはカーティスとの子供を育てながら場末のバーのステージでその歌唱力を生かしてひっそりと歌っている(そんな彼女をマネージメントしたのがかつてはカーティスの成功の影で落ち目になったマネージャー(ダニー・グローバーが久々に登場)という皮肉なこと)

音楽の世界を舞台に成功するものと落ちていく者のコントラストが様々な形で見せてくれます。
大スターの悲惨な幕切れもこの世界の頂点を見た{天国}と転落後の{地獄}の落差の恐さを感じますね。
また「♪ワンナイトオンリー」の曲を巡っての曲の権利云々のエピソードも「ありそうやな~」と思ってしまった。
ちなみに途中からビヨンセがダイアナ・ロスそっくりに見えてきた・・・

生々しいショービジネスの光と影と闇のコントラストの中の人間模様をビヨンセを初めとする多彩なキャストによる様々な歌に乗せて展開する130分で結構見応えありました。が、ラストはそれぞれの人物を一同に集結させて爽やかに締めくくるあたりは・・・今までの色々な確執が何か一気にとっぱられた感じで、それまでの展開の割りには妙に後味良すぎる印象・・・ま、ここらはさすがアメリカ映画やね!?


★★★★★ 2007.3.9(金) 三番街シネマ3 9:00 N-12 

「マーダーライドジョー2 デビルズリジェクト」

2007-03-07 01:15:47 | DVD&ビデオ&テレビ(地上波/CS)
ロブゾンビ監督作「マーダーライドジョー」の続編だが、前作は何かイマイチだったけど、これは面白かったですね。
殺人鬼一家と警官隊との銃撃戦から幕を開けるオープニングからハイテンションで、ホラー映画とは思えない始り方に意表つかれましたね。
激しい銃撃戦の末、逃げ遅れた母親が警察につかまり、そこで始めてタイトル文字が出るところなんかは心憎いオープニングで後は画面にどんどん入っていけましたよ。

殺人鬼一家が逃亡しながら暴虐の限りを尽くす展開はバイオレンス映画の感じですが、「ゾンビ」のケン・フォーリーや「サランドラ」のマイケル・ペリーマンの出演で、やはりホラーマニアのロブ・ゾンビが作ったバイオレンスホラーであることが認識されました。
後半は逆「悪魔のいけにえ」のような展開ですが、ますます監督のホラー映画好きがヒシヒシと感じられて好感が持てます。

そしてラストはまさに60年代のニューアメリカンシネマのような素敵な展開に「ウ~ン次回作が楽しみやね~」
次回作はリメイク版「ハロウィン」・・・どうなるかな?



★★★

キングの名画座 第2回 「ジョーズ」

2007-03-05 01:14:06 | オールタイムベスト
監督 スティーブン・スピルバーグ
出演 ロイ・シャイダー
    リチャード・ドレイファス
    ロバート・ショー



キングの名画座第2弾は2回目にして私の生涯No.1の作品・・・

この映画が何故No.1なのかは別の掲示板やホムペなどで過去に何度か書いた事があるので、もしかしたら過去に読んで頂いた方々も居るかと思いますが、今回はブログと言うこともあり自身の思い出の記録として記憶に残ってる分だけ細部に渡って書きたいと思います(長尺ゴメン!)

私が色々と映画を見るキッカケとなったのは前にも書いた事ありますが 私の兄や姉が大の映画好きだった事とブルース・リーにハマった事が原因ですが、ホント身を持って映画の面白さや素晴らしさを体感したのがこの「ジョーズ」ですね。
1970年代中頃 私は小学校の高学年にそろそろ差しかかろうとした頃でしたが 日本ではパニック映画のブームが訪れていました

ロードショー誌で見た「ジョーズ」の特集記事で人食い鮫と人間の戦いの物語が 子供心に刺激的で(「白鯨」何て映画はまだ知らなかったし)公開前から冒頭で少女が食いちぎられるとか、少年が襲われるなどの記事を読むたびに[恐い物見たさ]からくる興味からジョーズの公開を心待ちするようになり ロードショーの別冊でジョーズの特集号が出れば即購入し、毎月に一回ある近所の夜店で鮫のゴムの玩具を見つけ それで風呂で遊ぶ毎日・・・(嫌な子供だったな・・・)
どうやって購入したか忘れたけど背中に「JAWS」の文字が入ったサメの縫いぐるみも持ってたな~

極めつけはサメの顎の骨! 何故か近鉄百貨店のペット売り場で950円で売られていたのを親に頼み込んで買ってもらいTVの上に暫く鎮座してました(劇中クイントの家にぶら下がってるようなデカイのじゃないけど)兄がふざけて顎の中に手を突っ込んで指を切ったのも今となっては良き思い出です・・・

そしていよいよ封切られた「ジョーズ」!
見に行った劇場が今は無き梅田グランド。(懐かしいな)
しかし劇場前は長蛇の行列!こんなに人が並んでるのは初めて見た・・・と真剣に思ったほどの行列だった。
しかしこの行列は当日券を求める行列で、事前に兄が前売り券を買ってくれていたおかけで 行列を作る大人たちをしり目にスンナリ館内に入れました。
子供心に「前売り券って便利やなぁ~」と思ったもんです

立ち見まで出てギッシリの超満員の場内・・・前売りのおかげで座って見ることも出来て、いよいよ場内暗くなり待ちに待った「ジョーズ」の始まり!(たしか予告編はC・イーストウッドの「アイガーサンクション」だったような気がします)

ここで私は子供心に実に後世に残る印象的な体験をすることになるのです・・・
スクリーンの中で展開される刺激的なシーンの数々に満員の場内は色々な反応を見せたことでした。
片目を食いちぎられた死体が突然ガバ~と出ればギャ~と場内に悲鳴が起こり、片足が海底に沈むシーンでも「ウァ~」と反応し、鮫がガバ~と出るたびに皆一様に驚きの声を出す・・・「な、な、何んなんやこれは・・・」
スクリーンの中の出来事に声や態度で反応する場内の異様なテンションにすっかりショックを受けてしまいました。
子供心に芝居のようなリアルタイムな物に対しての反応ならともかく、映像=フィルムで流される物にたいしてこんな反応が出るのが驚きでしたね。
そしてラスト・・・ロイ・シャイダーの「Smile.you son of a bitch!」の捨て台詞と同時にライフルで一撃・・・ドカーンと大爆発とともに鮫が吹き飛んだ瞬間に満員の場内から一斉にバチバチバチ~と割れんばかりの拍手喝采が!
これには鳥肌がたちました!「なんなんやこの雰囲気は!」
ここまで大勢の人にこんな感動を与える「映画」というものの素晴らしさと楽しさを実感した瞬間でした・・・以後この映画というものの虜になってしまいました。

終了後、兄貴が「オモロかったなぁ~もう1回見るか?」と聞いたが「いや、もうええわ・・・」と答えたのを覚えています。
期待以上に映画は面白かったですが、少なくともこの日はもう1回で充分でした。
観客の反応のせいもあったかもしれないが、これほど映画を見て怖いと思ったこともないし、また凄いとここまでも感じた映画も後にも先にも「ジョーズ」だけでした。
勿論、後に「ジョーズ」以上に面白い作品を見てると思いますし、またこれから先もっと面白い映画に出会うでしょう。
しかし私の生涯ベストワンは「ジョーズ」で変わることはないでしょうね。
それはあの年頃の、あの時の感性であの場内の雰囲気の中で「ジョーズ」を見たからで、今はもうあの年頃の感性に戻れないから・・・

こんな思い出深い「ジョーズ」ですが 映画としても当然ながらいつ見ても面白いですね。
お馴染のテーマ曲と共に冒頭での鮫目線で海底を進むカメラワークから始まり、最初の犠牲者であるクリシーが襲われ、第2の犠牲者である少年が襲われて鮫ハンターのクイントが登場、更にブロディ署長の息子が危うく襲われそうになり そして後半ついに人食い鮫と男たちとの戦いが始まる・・・
ここに至るまでの展開が快調なテンポて描かれて、まったく無駄がなく見るものをグイグイ惹き付けていく演出は当時27歳のスピルバーグ監督の若き才能のなせる技か。

とくに前半は鮫の姿を見せず その演出力とカメラワーク、音楽が一体になって鮫が出てくる以上に恐い [見えない恐怖]=[どこから出てくるか判らない不安]を見事に表現し、後の色んな映画に影響与えたのは間違いないでしょう。
鮫を直接見せない替わりに色々な手法で鮫が襲ってくるのを表現してるのも見事で、まずはカメラが鮫目線となり海中からドンドンと海面の人間に向かってカメラが近づいて行ったり、欲に目がくらんだ2人の男が深夜の桟橋でフックに分厚い肉の塊を付けて鮫を釣ろうとし、それに食いついた鮫に桟橋ごと海に引きづり込まれた男が慌てて逃げようと泳ぐと、イカダのようになった壊れた桟橋の残骸(鮫の飲み込んだ肉魂と桟橋が繋がってる)が海面で向きを変えて動き出し、男の後を桟橋が追いかけてくる・・・鮫を直接見せずにここまで鮫の襲撃を観客に印象付ける演出は凄いと思うね。

そして後半は前半とは打って代わり姿を表した鮫の執拗な攻撃とそれに応戦する男たちの攻防はまさに迫力あるスペクタルアクションとなり 前半のサスペンススリラータッチと見事なコントラストを描き出して秀逸です。

特に3人の男たちの前に初めて姿を現す場面は印象的で、俯瞰から捉えた巨大な魚影がオルカ号の脇を通り過ぎて行き、さりげなく船に対して鮫の大きさを対比させる場面はまさにこれから戦うヤツがトンデモナイ奴だと男たち並びに観客に印象づけるのに充分な効果でした。
またこの場面でのロイ・シャイダーのセリフである「船が小さすぎる」は名セリフですね(彼のアドリブらしい)
ちなみに当時はCGなどなくハリボテの模型で作られた鮫(名前がブルース君)がメイキング映像ではさすがにチャッチイんだけど本編を見るとハリボテとは思えない迫力が出ていると思います。
ま、フーパーが海底で檻ごと襲われる場面は本物の鮫らしいけど・・・(30周年記念DVDの特典メイキングによると檻に絡まって鮫が暴れる場面は演出でなく本当にアクシデントで絡まって鮫が暴れてるらしい)

突然ガバ~と出てくる演出が実にこの作品では効果的に使われ、ブロディが不満タラタラと文句言いながら撒き餌をしてると海面に突然サメがガバ~と現れたり、樽を海面から手繰り寄せようとしたらまたガバ~とサメが顔を出したり、そして遭難した船底の穴からは突然男の死体の顔が出てきたり・・・後にこう言うパターンの演出が増えたけど、この作品が他の映画に与えた影響は大きいね。
その度に劇場は悲鳴の嵐でしたよ・・・アメリカの映画館はいつもこうなんだろうね。

全編見せ場のようなこの映画のクライマックスは沈みゆく船に一人残ったブロディが傾いたマストに腹這いになり、残り少ない銃弾の入ったライフルで迫りくる鮫の口の中に放り込んだガスボンベを狙い撃つ・・・この場面はジョン・ウィリアムスの名スコアが最高調に盛り上げる屈指の名場面ですね。「Smile.you son of a bitch!」(TV版吹き替えでは「死ね化け物!」だったか)の名セリフと共に豪快に鮫が吹き飛ぶが鮫が狂暴で強いだけに見るものの溜飲を下げる見事な結末だと思います。(でも場内あげての拍手喝采には驚いたよ)
この場面スピルバーグ監督の傑作スリラー「激突!」のトラック爆発場面と被ると言う話をよく聞くが両作を比べると海と道路の違いこそあれ 合通じる部分はあると思いますね。

またあまりにも有名なジョン・ウィリアムスの音楽がまた見事に画面とマッチして、恐怖を盛り上げてます。
あの音楽を聞くだけで鮫がやってくるのが充分伝わりますからね~サントラ史上に残る名スコアです。
特にブロディが砂浜で監視してたら、入り江に鮫が現れたという知らせを聞き段々と小走りから全力疾走になって駆け出していく場面での音楽の盛り上げ方は素晴らしいと思います。

この映画を面白くしてる要因の一つにピッタリはまったキャスティングがあります。
ロイ・シャイダーはニューヨークからやって来た生真面目で家庭的な人柄の良いブロディ署長役だが、その真面目で一生懸命さが島の役所の上層部らと軋轢を生み、深刻な事態との狭間で苦悩しながらやがて人食い鮫との戦いに挑んで行く・・・その姿は決して特殊な能力を持った元海兵隊とかハンターとかでなく、ごく普通の平凡な男って所が地味なロイ・シャイダーと重なってピッタリだと思います。

海洋学者フーパーを演じたリチャード・ドレイファスもどことなくユーモラスなキャラでユーモアの中に鮫に関しては理論的に物事を考えて行く姿は印象的で、最初の犠牲者クリシーの遺体を見て「これは船のスクリューに巻き込まれたのでもなく、異常者の仕業でもない・・・鮫だ!」と顔を洗いながら吐き捨てるように言い放つ場面はフーパーの存在価値を観客に印象づける名場面だと個人的に思ってます。

そしてもっとも異彩を放つのが漁師のクイントを演じるロバート・ショー! 圧倒的な存在感は劇中文句なしのピカイチです。
当初リー・マービンをクイント役に予定したらしいが断られたそうな・・・でもリーマービンだったら荒々しさの中にどこか優しさが出てクイントのイメージはどうかと思います。
ロバートショーは荒々しさはあっても優しさなどみじんも感じさせない、どう考えても嫌な奴・・・まさにクイント役は彼ならでは成り立たないと思います。

この3人のバラバラな個性がぶつかりながら鮫を追跡して行く後半のオルカ号の場面は、鮫が出てくる場面は緊迫した雰囲気もあるが、鮫が出てない場面は3人の個性が独特のアンサンブルをかもしだし独特の雰囲気で見るものを画面に惹き付けます。

特にクイントとフーパーが互いに鮫に襲われた傷を自慢し合う場面はいいシーンですね。傷を見せながら武勇伝を語る二人のそばで大都会からやって来たブロディがそっと腹部の盲腸の傷らしき部分を撫でる場面は三人のキャラを明確に出してますね。
やはり「ジョーズ」はこの役者たちでないと成り立たないと思います。

またサスペンスな展開の中にブロディの家族との愛情を感じさす場面も随所に盛り込まれ人間ドラマもキッチリと描写されて、ただのパニック映画になっていませんね。

スリルと恐怖、家族愛などの人間ドラマ、そしてスペクタルなアクション・・・完璧なカメラワークに見事な音楽、そして全編無駄のないストーリー展開が見事なテンポでアッと言う間に「ジョーズ」の世界に引きずりこまれてしまう。
これぞまさに映画という娯楽の真髄といえましょう。

この後、「ジョーズ2」や3D映画「ジョーズ3」「ジョーズ4 虐殺編」などシリーズ化されたけど「2」はまだ見れるけど後は全然ダメでしたね。
勿論、似たような作品がこれ以降次々と製作され、同時期に公開された「シャークトレジャー」てのもありました(未見!)鮫映画は今だにビデオスルーながらどんどんとリリースされていますね。(「ジョーズ」の影響で「シャーク」という映画もTV放映されてたな・・・実際に鮫に襲われる場面があったような・・・)
また鮫以外でも大ダコが襲いかかる「テンタクルズ」、巨大シャチが襲う「オルカ」、人食い熊の「グリズリー」、殺人蜂「スウォーム」タイトルそのまんま「ピラニア」etc・・・まさに動物パニック映画ブームを巻き起こしましたね。

「ジョーズ」のおかげでいつしか「サメ」って聞いただけでついつい興味を持ってしまうようになりました。
何年か前に慰安旅行で和歌山方面に行ったとき、漁港付近をバスで通過した時、バスの車窓から道端にずらっ~と水揚げされた大きなサメが並べられてたけど・・・あのサメと一緒に写真を撮りたいと真剣に思ったよ(嫌な大人だよ・・・)
友人たちと旅行に行けばたまたまそこで「シャーク展」のようなイベントが行われていて、誰も興味なさそうだから、単独行動で見に行ったり・・・(ここで「JAWS」の撮影に使われたレプリカの頭が展示されていた)
フーパーほどではないにしろサメの虜ですね~

勿論、「ジョーズ」関連の品物も今でも持ってますが、当時のサントラLPレコードも擦り切れて針飛びしまくるけど押入れに眠ってるし、25周年記念のサントラ完全版CDも持ってます。
またVHSのビデオテープ1本にDVDが通常版と30周年記念盤の2本と、ついでに「ジョーズ2」のDVDもあります。
劇場パンフレットが公開当時購入(ボロボロ!)したものと古本屋で見つけたもん(保存状態いいので購入した)と2冊あり、そしてつい先日に大阪 日本橋のお宝グッズ店で見つけた公開当時の劇場宣伝チラシ(¥210-)もコレクションに加わりました。

今でもレンタルで鮫の映画がどんどん出てますが、いつも気になりますね~
最近の鮫映画と言えば「オープンウォーター」という沖のど真ん中に置き去りにされた夫婦に鮫たちが忍び寄ってくるシュチュエーションムービーがあったけど、この作品を見に行った劇場で小学3~4年生ぐらいの男の子がお母さんと一緒に見に来ていた。
何となく昔の自分にダブらせて見てしまいました。
私もこの男の子と同じような頃は母親に連れてってもらって映画館によく行ったもんでしよ・・・きっとこの男の子の家にはロードショーとかスクリーンが何冊もあるんやろうな~
そしてこんなミニシアターの鮫映画にわざわざ来てるって事は・・・・・・この子も鮫ファンなんやろな・・・



(1975年 アメリカ映画 124分 シネマスコープサイズ)

No.020 「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式」 (2006年 日本 116分 ビスタ)

2007-03-04 00:56:44 | 2007年劇場鑑賞
監督 馬場康夫
出演 阿部寛
    広末涼子
    吹石一恵



タイムスリップムービーって内外問わず多いですね。
古くはリメイクもされた「タイムマシン」とか「タイムアフタータイム」、ご存知「バック・トゥ・ザ・フューチャー」などなどあるし、邦画でも「戦国自衛隊」や「サマータイムマシンブルース」などあり、それぞれ時空を越えると言う部分で色々と作品ごとにアイディアを絞ってますね。

タイムスリップと言う夢のような事だけに結構どの作品も面白いんですが、どうしても非現実色が強いので理屈では解決できない不自然さがつきまとうんですね~(例えば過去の自分に出会ったり・・・同じ人間が2人存在してるがな~)
でもタイムスリップ映画にはどうしてもそう言うことは付き物だから深く突っ込まないようにしてます・・・

そしてこの「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式」もバブル崩壊前の時代に行き、バブル崩壊を食い止めると言う「ターミネーター」のマイケル・ビーンのような任務を広末涼子がタイムスリップして17年前に行くという話。

(あらすじ)

2007年。着実に回復していると思われた日本の景気だが、その実態はさらに深刻な危機にさらされていた。バブル崩壊後の景気対策のために増えた国債は800兆円にのぼり、国家崩壊は時間の問題だった。この最悪のシナリオに終止符を打つため財務省特別緊急対策室の下川路功(阿部寛)は、ある計画を極秘に進めるが……。

この作品の広末涼子がいいですね・・・2007年から1990年へやってきて、現在の今時ギャルがバブル当時にイケイケギャルの中に交わっていく面白さは彼女ならではの個性だと思います。(さりげなく水着姿も披露するサービスカット(?)もあり)
阿部寛との息もピッタリでこういうコメディはピッタリですね。

当時の世相を再現した場面は当時知ってる者に取っては懐かしくもあり、またニヤつくシーンもしばしばあり、若い人が見ても充分楽しめるが、リアルタイムにあの時代を知ってる人(バブル期にすでに社会人だった人は特に)が見ると余計に面白さがあると思いますね。

あの派手な時代も17年未来から来たものにはダサく写るって所も面白いですね。
携帯電話の写メールにTVキャスターが驚いたり、いい意味での「ヤバイ!」って言葉にバブル期の阿部寛が戸惑ったり・・・今の身の回りのことがネタになってるので、実感としても面白さが味わえました。

過去を変えては行けないのはタイムスリップ物のタブーですが、果たしてこの作品はどうなる???
ま、少しラストはやり過ぎのような気もするが・・・まぁタイムスリップ物は細かいことにはツッコマない、ツッコマない・・・



☆☆☆☆ 2007.3.1(木) 布施ラインシネマ10 北館 シネマ6 19:30 H-3

No.019 「ボビー」 (2006年 米 120分 シネスコ)

2007-03-03 00:58:04 | 2007年劇場鑑賞
監督 エミリオ・エステヴェス
出演 アンソニー・ホプキンス
    ウィリアム・H・メイシー
    シャロン・ストーン



よく行くシネコンのTOHOシネマズなんばは9スクリーンあるんですが、その中でワンランクゴージャスな雰囲気の空間があり、それがプレミアスクリーンとセレクトスクリーンと言われる所。
この2つのスクリーンに関しては自動ドアを経由してプレミアラウンジと呼ばれるスペースの中にいて少し雰囲気の違う静かな空間。
そして今回初めてこの自動ドアの向こうのセレクトスクリーンに入ることが出来ました。
係りのお姉さんが出迎えてくれ、席に着いて予告を見てたら、途中で入場してきた人を座席まで係員が案内していた。
まるでコンサート見たいやな・・・

ここで見た作品「ボビー」はあの故ロバート・アルトマン監督作を思わすような総勢24人の登場人物による群像劇。
ロバート・F・ケネディ暗殺事件の当日、事件の舞台となるアンバサダーホテルの1日を描いた作品

(あらすじ)

名門アンバサダーホテルのドアマンだったジョン(アンソニー・ホプキンス)にとって、かつての職場は自分の家のようなもの。彼はいつものように元同僚のネルソン(ハリー・ベラフォンテ)とホテルのロビーでチェスを楽しんでいた。そこへ国民の期待を一身に受けたアメリカ大統領候補、42歳のケネディ上院議院が到着する。

監督がエミリオ・エステヴェスって事でどんな仕上がりの作品かと思ったけど、あれだけのキャストを実にうまくまとめあげキッチリ整理されて実に判りやすかったですね。

イラク政策などで混迷する現在のアメリカに対するエミリオ・エステヴェスからの願いのようなメッセージを感じ取れる力作だと思います。
それぞれ登場人物がホテルの中でそれぞれの問題を抱えて一日を過ごし、運命のラストの暗殺の場面を迎えるがここで皆、同時に事件に遭遇してしまう。
この暗殺シーンの演出はちょっと非凡な才能を伺わせますね~
巧みに実写との合成はありがちな安っぽさは感じさせず、実に自然に描かれていた。

この場面で印象的なのがアンソニー・ホプキンスの存在で、騒動の現場には居合わせず、騒動を後で知り絶句するのだが、この映画全般通じて彼とハリー・ベラフォンテの会話の場面はテンヤワンヤな他の人物たちとは違い、ホテルのロビーでゆったりと時間を過ごしチェスを楽しんでいる・・・人生を噛み締めてきた2人が今は表舞台から引き、残った時間を気ままに過ごしてるかのような感じで他の人物たちとは立場が違う感じ。
その彼が事件の瞬間には遭遇せず、後から知った時の何とも複雑な表情を浮かべるシーンは誰よりもこのホテルで長く務めて様々な出来事を見てきた男の何とも言えない複雑な心情が滲み出てました。

この作品にシャロン・ストーンが出てるんですが、正直途中まで気づきませんでした。
ま、役にハマリこんでると言えばそうなんですが、まぁ~「氷の微笑」の面影はないですね~
また久々のヘザー・グラハムももう結構なお年になってきたけど、相変わらず下着姿を見せてくれてのは良かったな~



★★★★ 2007.3.1(木) TOHOシネマズなんば セレクトスクリーン 16:10 J-2

「STEVIE WONDER JAPAN TOUR 2007」

2007-03-01 23:51:17 | ライヴ&イベント
本年度初のライブ鑑賞て事で今日は気合が入ってます。
今年はハードロックを中心に色んなライブをどしどし見て行きたいと思ってます。

しかしその2007年のライブ一発目がR&Bの大御所スティービー・ワンダー!
いきなり大物のライブの鑑賞ですが、今回はヒット曲ツアーってことで知ってる曲がバンバン流れることでしょう・・・でも私は彼の曲は主だった曲しか知らないんだがね~

今回は2/27.28の2DAYで私は二日目の28日のライブにいきました。
この日はツアーの最終日ということもあり盛り上がることでしょう・・・

会場がコンサートなどでは珍しい大阪市中央体育館ってことで初めてこの体育館に来たけど、まぁ大阪城ホールを一回り小さくした感じの綺麗なホールでしたね。
私か2階席の後方の角付近の席だったけど、意外と良く見えましたよ。
開演が19:00ということだったけど、車を止める場所が無く時間がいよいよ迫った来たこともあり路上駐車することに・・・
それで何とか19時すぎに会場に到着!まだ始まっていない様子。
会場内のグッヅ売り場はCDのみの販売で何か寂しいね~

座席はスタンドの後方のコーナー付近で、正直、我々が座ってる列は他は誰も座ってません・・・後方は空席が目立ってた。
でも全体的にはほぼ満員で、「さぁ いつ始まるかな?」と思ってたらどうも始まる気配はなし。
場内案内係りの女性に聞くと昨日は30分遅れで始まり、終演が21時半だったとの事・・・今日も30分遅れやな~
時間が刻々と過ぎていきジャスト19時半に場内暗転!
「やはり!30分遅れか」そう思ってると地味にバックバンドやコーラスの面々が配置につき舞台袖からスティービー・ワンダーがコーラスの一人に先導されて登場!
場内は割れんばかりの拍手喝采で雰囲気出てきました~

1曲目から早くも場内は手拍子で盛り上がりアリーナも総立ち・・・と思ったら後方はともかく中央か前方の人は座ってる人が多かったですね~
最前列のお姉さん2人組だけが立って盛り上がってましたが・・・
でも何でもかんでも立てば良いというものではないと思うので、それはそれで良いでしょうね。(ちなみにスタンド席はほとんど座ってます。)

私、個人的には知らない曲の方が多いので、前半はあまり乗れなかったけど中盤あたりからは私も知ってる曲が流れ出して、だんだんと乗ってきました。
観客にコーラスをさせてそれがヒット曲「パートタイムラバー」になったり、スティービー・ワンダーミュージック教室のコーナーでは、発生練習を観客にさせたり中々楽しい雰囲気で場内と一体になる場面もあり結構面白かったです。

休みなしで一気に行くかと思えば名曲「スティゴールド」(映画「アウトサイダー」のテーマですな)でハーモニカ吹きながら退場してしばしの休憩をするかと思えば舞台袖でキッチリ歌いながら数分したらまた出てきました。
ほとんど2時間出ずっぱりで歌ってましたね~

21時半にいったん終了し、アンコールは無いと思ってたら出てきましたね~
そして1曲歌い2時間15分のコンサートが終わりました
この日はジャパンツアー最終日という事もあって他の場所ではアンコールなかったけど今夜だけあったようですな~ 少し徳したね・・・



★★★★ 2007.2.28(水)大阪市中央体育館 19:00 スタンド H8列22番(チケットぴあ)