月刊 きのこ人

【ゲッカン・キノコビト】キノコ栽培しながらキノコ撮影を趣味とする、きのこ人のキノコな日常

ドクヤマドリを食べてみた

2014-09-12 21:13:55 | キノコ料理
はい、今回の「C級キノコを食べてみた」は富士山で手に入れたコレだ!
ドクヤマドリ。
C級、っていうか思いっきり毒キノコなんだが。
山と渓谷社『日本のきのこ』では、中毒した際の経験談が詳しくつづられている。ドクヤマドリ一本をつけ焼きにして5人で食べたところ、食後4~5時間後、腹部に強い不快感を抱き、やがて下痢・嘔吐が続き、やがて快方に向かった、とのことである。なかなか強力だ。

本来、興味本位で毒キノコを食べるなど愚骨頂、ろくでなし三太夫、アホバカ間抜けのパープリンのすることだが、私は、いずれにも当てはまるので試してみることにする。良識ある一般の方々はくれぐれもマネしてはならない。こんなことをするヤツはアフリカ象の鼻クソにも劣ると肝に銘じるべきである。

さて、イグチで唯一「ドク」の名を冠するドクヤマドリだが、猛毒イグチと言われるバライロウラベニイロガワリやミカワクロアミアシイグチにくらべれば、まだかわいい方である(悶え苦しむことはあっても)。「少量なら茹でこぼせば食べられる」という言葉もどこかで聞いた(気がする)。食毒不明で全く情報のないキノコを試すことを考えれば、最初から毒とわかっているのだから、いくらかとっつきやすい、と考えられなくもない。何をされるかわからない歯医者に行くのは怖いが、始めから歯を抜くと分かっていれば安心して行ける、それと同じである。(そうか?)


さて、やるぜよ。

本日のサンプルは身のしまった幼菌。わりと持ち重みがする。重量にして200g弱ほどありそうだ。これの半分を調理する。普通に食べたら中毒するのが確実なので、毒抜きとしてスライスしたものを茹でこぼすことにする。キノコの毒素は基本的に水溶性のものが多いので、多少は軽減できるはずである。さらに、できるだけ毒素を吸収しにくい状態にするため、胃に内容物のある状態(要するに食事のあと)で食した。効果のほどは不明であるが、これもすきっ腹で食べるよりいくらかマシであろう。


スライスすると、わずかに、薬品っぽい少し不快なニオイがする。ただ、これは気になるほどではない。ナベに放り込んで、いつもより少し念入りに、2分ほど茹でてみた。


完成。
見た目は普通のキノコだ。香りはあまり強くはないが、旨みの存在を知らせてくれるような、どちらかというと良い香りを漂わせている。

本来の味や旨みを見るため、塩のみでいただくことにする。

さて、柄を食べてみよう。ふむ。コリコリ、というほどではないものの、やわらかいながらに歯ごたえを感じさせるものがあり、食感は良し。食べてしばらくして、こんどは旨みが口に広がる。うむむ、これはなかなかいけるのでは……。

つづいて、傘。うほっ。こちらもやわらかめながら、シコシコと優しい歯触りがあり、続いて広がるのが強い旨みだ。これは柄の旨みを凌駕する。やべぇ、これウマいわ・・・。

ちょっとでやめるつもりがやめられなくなり、茹でたドクヤマドリをけっきょく全部食べてしまった。「茹でこぼせば少量なら食べられる」……100グラムって、少量……じゃないわなぁ。ちょっとヤバいかも……(-_-;)


以降、ドクヤマドリを摂食してからの経過を記す

20:30 摂食

21:30 以後、就寝まで異状は見られず。ただ、妙にのどが渇く、それと口の中がねばつく。口のねばつきは過去、食中毒したときに経験がある。

00:30 就寝

4:30 寝苦しくて目覚める。呼吸が浅くなり心拍数も上がっている。
下腹部全体をやんわり締めつけるような圧迫感。ただし痛みはない。消化不良で発生したガスがお腹にたまっているような感覚。胃には多少むかつきを覚える。意識にはまったく支障がないが、頭が多少クラクラする。下痢や嘔吐の兆候はなく、いずれも漠然と不快なだけなので様子を見る。

5:00 呼吸・脈拍、いずれも落ち着く。寝なおす。

7:00 起床。日常生活に支障はないが、下腹部と頭に不快感が残る。ちょうど二日酔いに似た感覚。以後、昼過ぎになってようやく不快感が消える。


……このまま「ドクヤマドリはおいしかった」で済んでしまうと、試そうというバカが大量に現れるのではないかと懸念していたが、さすがドクヤマドリ。直撃にはいたらぬものの、その毒は、私の脇をかすめていった。これで追随するバカも現れないであろう、ヨカッタヨカッタ。

とゆーことで。ドクヤマドリは、旨みだけならヤマドリタケモドキに匹敵するほどのうまさ
味ランク:A-(普通にうまい)
ただし、もれなく当たるでした。

※当ブログはキノコ食に関して一切の責任を負いません。あしからず。


(沙村広明『ハルシオン・ランチ』より)

キイロイグチの炊き込みご飯

2014-07-26 20:26:14 | キノコ料理
なにを主張したいのか蛍光イエローの柄に蛍光イエローの傘、あげく、さわると指が黄色になってしまうほどの派手派手きのこ・キイロイグチ。数々のキノコ図鑑で「食」となっているその実力を確かめてみた。

キイロイグチは梅雨時のキノコ。ごく普通に見られる種類なので、試すのは簡単なはずなのだが、いかんせん食欲がわかない。たしか昔に一度、みそ汁に入れて、汁がやたら黄色くなった記憶があるような……

ダイダイイグチで味をしめたわけではないが、やはりその色を活かすべく、炊き込みご飯にしてみた。


管孔がまだ美しい、かなり若いものを厳選して数本採取してきた。まずはこれを小さく刻み、小鍋で煮て色を出す。

このキノコもダイダイイグチと同じで、表面に傷をつけるとすみやかに青く変色するので、切ったらすぐにお湯にたたきこむ。切ってみると、黄色いのは表面だけで、内部は白。ちょっと意外だ。ただ、イグチにつきものの虫はほぼ皆無で、肉質も詰まっている感じがした。

できるだけ少なめの水で10分ほど煮る。おっ、煮汁が黄色くなってきたぞ~。


具が完成。
黄色いのが表面だけなせいか、思ったほど黄色が出なかった。なんかもう、かき氷のシロップ(レモン味?)みたいなのを期待してたのに。
気をとりなおして、といだお米に煮汁ごとキイロイグチを加え、足りない分量だけ水を加えて、ふつうに炊き上げる。


できた!キイロイグチの炊き込みご飯!

ダイダイイグチと比べるとずいぶん控えめだな。不満、不満ぞよ!

いやいや、勘違いしてはいかん。肝心なのは味だ。さてと・・・

まず、においを嗅いでみる。これはなかなか強烈である。例によって表現不能なニオイだ。無理に表現すると、チョークの粉まみれになった小学生のうわばき?あるいは、新築の体育館の器具倉庫?みたいなニオイだ。
正直、これは食べもののニオイではない。

この時点でかなり悩む。えーーー?これって……しょうがねえ、食うか……。

モグモグ……

んんん??

なんと、苦い。確かに苦い。「ちょっとすっぱい」と図鑑には書いてあったけど、キイロイグチが苦いなんて情報はどこにもなかったぞ?どーいうことや……。
とりあえずみそ汁と食べればごまかせる程度の苦みなので、ここは我慢しておこう。

うーむ。噛めば噛むほどに微妙である。

歯触りはコリッとしていて、イグチとしては上等だったものの、旨みはさして強くなく、けっきょく、弱い苦みと変なニオイだけが強調されてしまう残念なご飯になってしまった。

結論。ぜんぜんダメ。

せめて色が「もうハンパじゃなく黄色い!バナナの山に隠したら見えないくらい黄色い!」くらいなら、多少マズくてもパンチ力のあるメニューになったのになあ。

キイロイグチ
味ランク:C-(食べようと思えば食べれる)


ダイダイイグチの炊き込みご飯

2014-07-24 21:53:34 | キノコ料理
特上ダイダイイグチを見つけたので、前から一度試してみたかったダイダイイグチ料理にチャレンジしてみた。

ダイダイイグチは中型のイグチで、その名の通り全身がオレンジ色。おそらく西日本を中心に分布している。ただ、数はあんまり見つからない。

わりと背が低くて、そのかわりにずっしりと持ち重みがする。特に悪い臭いもなく、雰囲気はいい。いくつかの図鑑で「可食」となっているので、安全性に問題はなさそうだ。

ダイダイイグチは、煮るとだいだい色が煮汁に溶けだすと言う。普通の料理に使ってだいだい色に染まったら、それはただ迷惑なだけだが、今回は、ぜひともそれを生かそうと思う。メニューはズバリ、炊き込みご飯だ。

作り方は赤飯に準ずる。
少なめのお湯で小さく刻んだダイダイイグチを煮込み、色を出してから、汁ごとお米にくわえて炊きあげる、という寸法だ。
この時に気をつけることがある。ダイダイイグチは切り口が空気に触れるとすぐに青く変わってしまうので、切ったらすぐにお湯に放りこまねばならない。



うわー、ちょっと煮ただけでさっそく黄色くなってきた。味にメリハリをつけたいので塩で味付けをして、このまま弱火で10分ほど煮込む。今回はオマケで蓮根を加えてみた。

研いだお米を入れた炊飯器の内釜に、具を煮汁ごとそそぎ、分量に足りない分、水を足してセット。あとは待つだけっと。



できた!ダイダイイグチのだいだいご飯!予想以上にオレンジ色(笑)

まるでサフランライス!これだけの発色の良さを見せてくれたらそれだけで満点だ。

しばらくご飯を眺めるだけで悦に入っていたが、見るだけで満足するわけにもいかんので、食べてみる。
……ふむ、イグチの中でもトップクラスの緻密な肉質を持っているだけあって、細かく刻んで加熱したにもかかわらず、コリコリとした、しっかりとした食感がある。そのかわり、旨みや香りは強くなく、クセもない、まあ普通って感じ。総合的に見て、ダイダイイグチは、予想以上に普通の食材だった(色素を除いて)。

おいしく食べたいのならば、刻んだ鶏肉を少量足して、具を少し濃いめに味付けするといいだろう。ご飯を炊くときお酒を入れるといい感じになりそうだ。

ダイダイイグチ 味ランク:B (どちらかといえば美味しい)

カンゾウタケ料理

2014-06-13 20:59:50 | キノコ料理
ということで、毎年恒例のカンゾウタケ料理。

誰に聞いても「あの味はちょっと」とか言われるので、せめて見た目だけはおいしそうにしたった。いや、おいしいんですよ、実際。(注.味覚には個人差があります)


写真は王道のソテー。
ソテーは身を厚めに切る。刺身みたいに包丁を斜めに寝かせるようにしてして切ると、一切れにボリュームを持たせられるし、見た目もきれい。そして両面を軽く焼く。中が生っぽいくらいでよい。味は塩だけでじゅうぶん。酸味をごまかしたい向きにはしょうゆやチーズも合う。付け合わせにズッキーニやスナップエンドウ。ふかしたジャガイモもいいと思う。

カンゾウタケらしい旨みと香りがあり、ソテーすることで舌触りも良くなるうえ、油によってコクもでる。別名「貧乏人のステーキ」の名に恥じぬ味わい。ま、すっぱいけどね。


生食できる、という触れ込みなので、サラダもやってみた。前回やった時は量が少なすぎてドレッシングに負けてしまったので、今回は盛り付けを豪快にしてみた。ほぼ刺身。ドレッシングも和風に。

結論。ソテーの方が断然うまい。

さわやかな酸味があるといえばあるが、いまひとつ存在感が感じられない。旨み・香りともに活かしきれないのも残念だが、特に、舌触りの面で大きく劣る。ソテーすることで得られる生レバーにも似たプルッとした食感は、生のときのポソッとした食感とは比べ物にならない。ちなみに、ドレッシングは和風だとうまくなじまないようだ。

チーズやツナなどと一緒にレタスで巻いて食べればおいしそうだが、ソテーなら主役級の存在感が出せるのだから、そっちで使わない手はない。やっぱりカンゾウタケはソテー……!

一度、切らずに丸のまま焼いてステーキを作ってみたい。


ヒメキクラゲを食べてみた

2014-03-13 22:22:01 | キノコ料理
図鑑では「食」となってるが、実際に食べたという話をいっこうに聞かないキクラゲの一種・ヒメキクラゲ。

その秘められた魅力を発掘するべく、食べてみた。

ヒメキクラゲは普通のキクラゲのように、キノコ的な外観をしていない。小枝なんかに岩ノリみたいにへばりついて、ぷにゅぷにゅしていてあやしい物体だ。たとえばこれを「コケの一種だ」とか「へっぴり虫のフンだ」とか言っても納得してしまう人がいるんじゃなかろうか。そしてこのキノコは乾くと海苔みたいに黒く薄っぺらくなって、とうとう存在すらわからなくなる。きのこ観察会で見つけられてもシカトされる、そういう悲しい存在でもある。

冬に桜やなんかの枯れ枝を片付けているとけっこう見つかるので、それを採ることにしよう。乾いた状態では採取不能なので、雨を吸い込んでぷにゅぷにゅになった状態のところを採る。キノコはぺりぺりときれいにはがれて、意外にも採りやすい。


採れたブツ。やはりキノコには見えないが、それ以上に食いものには見えない。


茹でた。見た目がまったくが変わらんというツッコミはこの際だから言わないでおいてくれ。

ほのかに香りがする。どこかで嗅いだニオイ……そう、別のキノコのにおいだ。コカブイヌシメジ、あの「桜餅臭」とも言われる(でもやっぱり桜餅とも違う)微妙なニオイと同じニオイがかすかに香っている。

塩だけふって、口に含んでみた。
ふむ。口当たりは見た目通り、ぷにぷにだ。コリコリのアラゲキクラゲではなく、プルプルのノーマルキクラゲと同じ、あの食感。ただ、キクラゲと違うのは、噛むとこまごまに分裂してしまうこと。ヒメキクラゲは、普通のキクラゲのような一体型ではなくて、多数のつぶつぶが寄り集まったような構造をしているので、噛むとすぐにつぶつぶに分解してしまう。
別にそれがおいしいわけでもなく、まずいわけでもない。ただ面白いとしか言いようがないんだけど、つぶつぶになった後は噛むとき歯からするりと逃げるために、歯触りが楽しみたくても噛めそうで噛めない。少しイラッとする。

味は、まあキクラゲ。旨みとかはあんまりない。キノコらしい香りもない。ただ桜餅の香りがするだけ。

うーん、トータルでは可も不可もない味だな。すなわち、どうでもいい味(-_-;)
せめて量が採れれば利用価値があるかもしれないけど、それも厳しいしなぁ。

それにしてもなんで桜餅……あっ!そうか!サクラの枝から剥がしたからだ!

味ランク:C(食いたきゃ食えば?)

もえぎあみあしいぐちを食べてみた・番外編

2013-10-26 19:22:33 | キノコ料理
みそ汁だけでは消費しきれなかったモエギアミアシイグチで、いろいろ作ってみた。



モエギアミアシイグチのオムレツ。モエギさんの角切りをソテーしてオムレツに混ぜ込んでみた。奥にある黒いのがソテー。ほんとうにまっ黒……。

味はモエギ暗黒風味が強すぎて、バランスがとれない感じ。モエギさんは汁物系の方が合うかもしれない。



モエギアミアシイグチのホワイト灰色シチュー
ルーはホワイトシチューだったんだけど、キノコ汁が黒っぽかったせいで茶色に(-_-;)
味はよかった。モエギ暗黒風味もシチューならある程度は対抗できる。



みそ汁とシチューを大量に作って交互に食べていたが、さすがに食傷気味で「うわ、もーええわ」って感じになって来たので、残ったヤツは干すことにした。これで365日、食べたい時にモエギさんが食卓に!

洗濯バサミにはさんで外に吊るしとくと乾きやすいって聞いたからやってみたんだけど。はさんだところのキノコの肉がつぶれ、洗濯バサミにへばりついて取れなくなった。イグチでこれやるのはダメだねえ、はっはっは。
完成品、すげーにおいがするんだけど、食えるんだろーか(汗)

以上、ろくでもないものをお見せしました。

念のためにもう一度言っておくけど、安全性は保証しないからねっ!

続・モエギアミアシイグチを食べてみた

2013-10-25 21:00:10 | キノコ料理
前回より続き)

さて、調理。しかし、なんてマズそうなキノコなんだろう。外見で損しすぎ。

前回、オオオニテングタケを食べた時は、慎重に慎重を重ねたのだけど、今回は普通に食べてしまうことにする。それにはいちおう根拠があって。

神経毒がなければ、それはもうただのイグチである。当たっても腹を下すか嘔吐するかでたいていの場合は回復するだろう、と。たまーに毒性の強いイグチもあって、たとえばミカワクロアミアシイグチ(仮)などはなかなか強い毒性を持つ。でも実はこのミカワクロ、一回誤食したことがあるんだよね。あれは食べた途端に舌が痺れるのですぐにわかる。

モエギさんは、形がミカワクロさんに似てるので、仮に強い毒を持っていたらやっぱり舌が痺れるであろう、だからすぐに気付く、と。ちょっと無理があるかな?

ええい、もうゴチャゴチャ言わんと食ってしまえばいいんじゃ。



幸か不幸か、山ほど採れてしまったので鍋に山盛りにしてみた。大小取り混ぜて5本くらい。


茹だった。汁が黒く濁っている。キノコから闇が染み出した、みたいな感じ。



何はなくとも味噌汁を作ってみた。食うべし!食うべし!

……うむ。なかなかいける。
キノコが黒いせいで、合わせみそを使ったのに赤だしみたいになってしまったのはご愛敬として、かなり強い旨みを持っているのは間違いない。他のダシをいっさい使わなかったのにもかかわらず、おいしい味噌汁に仕上がっている。

けっこう煮縮みをおこしたが、歯触りはコリッとした感じがあって、そこそこの食べごたえがある。これも及第点だ。

問題は風味で、これがけっこう強く、気になると言えば気になる。どんな風味かと言われるとかなり困るが、しいて言うなら、5年前に賞味期限の切れた海鮮系インスタント味噌汁の風味?
けっして悪い風味ではないのだが、さりとて良い風味ではない。ちょっと闇世界の香りがする。なにせ緑色に黒の網目模様である。バンコクの漢方薬ショップに置いてありそうだ。それが生易しい風味であるはずがない。そんなこんなで、私はこの風味をこれから「モエギ暗黒風味」と呼びたいと思う。

ちなみに、体は何ともなかった。いたって普通のあやしいイグチであった。もちろん私が大丈夫だからと言って、安全性が保証できるものではないが、神経毒がないのは間違いなさそうである。

結果。モエギアミアシイグチは
味ランク:B(どちらかといえば美味しい)
安全かはわからんが、少なくとも神経毒はない

でございました。これで疑いは晴れましたな……

番外編

モエギアミアシイグチを食べてみた

2013-10-24 21:58:26 | キノコ料理
モエギアミアシイグチ。黒ベースのボディに、緑色がかった足を持つ、その不気味な風貌にふさわしく、彼らは有毒キノコとして扱われている。しかも、イグチとしては異例ともいえる、神経系の毒キノコとして!

図鑑にはこのように……

『モエギアミアシイグチ 夏~秋、ブナ科樹下に発生。中~大型。〈中略〉……網目は手で触れると黒変し、古い個体では全体が黒い網目となる。幻覚性毒?』(『山渓フィールドブックスきのこ』より)

ちょっと待て。なんだその『幻覚性毒』ってのは。

実はよくわからんのか?はっきりしてないんだな?そんな不確実な情報で、今までモエギさんがどれだけの苦渋に耐えてきたと思っている!イグチで幻覚なんて聞いたことないぞ?ぬれ衣だったらどうするんだ、確かめもせず!それが真のキノコ学徒のやることか!?

と、思うともなく、実際にこれっぽっちも思っていなかった私であったが……

見つけてしまったのだ。モエギアミアシイグチの大群生を!

これは長年の間、不確実な情報のまま幻覚キノコのレッテルを貼られていたモエギアミアシイグチの、汚名を晴らせ、真相を明らかにせよ、という神の啓示であろうか。

ということで、モエギアミアシイグチを食べてみた。


調べてみて驚いたのだが、このモエギアミアシイグチというのは、中毒症例がまだ一件もない。それでどうして毒キノコ、しかも幻覚性キノコ扱いされているのか。『日本の毒きのこ』(学研)には、『ニューギニアの原住民であるクマ族が儀式に使用して狂乱状態になる』と記されている。

なるほどなー。

ただ、成分分析では幻覚性毒成分は確認されておらず、したがって規制対象でもない。疑いだけが残ってしまっているかたちだ。

ちなみにイグチで幻覚を起こすものはきわめて珍しく、手元にある資料では海外に分布するBoletus manicusの一種のみで、他には見当たらない。しかも、これにしたってモエギアミアシイグチとは属するグループが違う。

やはりどう考えても、神経毒をもつことはありえない。成分分析に裏付けられているのだから、恐れる理由はないはずだ。消化器系の毒で下痢や嘔吐を起こすことはあるかもしれないけどね……

ん、まあ考えてたって始まらんな。実証あるのみ、っと。

次回へ続く≫


コガネキヌカラカサタケの炊き込みご飯

2013-10-15 19:50:58 | キノコ料理
ふたたびコガネキヌカラカサタケを入手できたので、今度は炊き込みご飯を作ってみた。

ただご飯に炊き込むだけでも良かったんだけど、「ご飯がコガネ色に染まらないだろうか」というささやかな期待があったので、一度鍋で煮立ててから、その煮汁を使ってご飯を炊いてみた。



鍋。濃縮3K汁。きわめてアヤシイ。魔女が「ヒッヘッヘッヘ……」とか言いながら、かきまぜていそうである。

こうして五分ほど煮たてて冷ましたのを、といだお米に汁ごとそそぎ入れ、お酒を少し、塩を少しと、分量に足りない水を足して、お釜にセット。さーて、どんなになるかなー?



できた!名付けて3K飯(サンケーめし)!思ったほど黄色にはならんかったけど、おいしそうだからまあいいや!

お味の方は……うほー!すごいダシの濃さ!っていうかちょっと濃すぎ?(笑)
おいしいんだけど、おかずも含めたトータルバランスを考えると、かなり無謀な味と言わざるをえない。普通の炊き込みご飯の脇役として働いた方がいいかも。

刻んで冷凍保存などして、ダシとして少しずつ使うのが3Kの正しい使い方だろうなあ。

おっと忘れてた。安全性についての責任は負いかねますヨー。


参考
コガネキヌカラカサを食べてみた
コガネキヌカラカサタケ料理

ベニイグチの味噌汁

2013-09-25 22:06:07 | キノコ料理
ベニイグチ
東日本では珍しいが、西日本には多いキノコ。目立つ色にくわえ、背が高くすらりと伸びる姿が印象的。カビに侵されやすいため、傷みやすさはイグチの中でもトップクラス。
食毒不明とする図鑑が多いが、少なくとも中毒例は報告されていないようだ。

「フィールド版 キノコの本」(松川仁 著)では『食用になるのではないかと考えてはいるが、試していない』としている。私自身、無知な頃に他のイグチとごちゃまぜにして食べた記憶があるが、よく覚えていない。

ということで、カビの入っていないものを選び、味噌汁にしてみた。

とにかく歯触りがいい。肉質が柔らかく、とろんとした感じなのにもかかわらず、管孔部分のしゃきしゃきとした食感はしっかりとしていて心地よい。歯触りだけならイグチ類でもかなり上位に入ると思う。

香りや旨みはイグチとしては凡庸だが、クセがなく使い勝手は良さそう。とはいえ、味噌汁との相性は抜群で、他のレパートリーは不要な気がする。食べ頃のものを手に入れるのが難しいのが難点。

味ランク:A- (あったら食べたい)

例によって安全性は保証しないが、死ぬことはなさそうだ。


コガネキヌカラカサタケ料理

2013-09-18 21:23:27 | キノコ料理
先日『コガネキヌカラカサタケを食べてみた』で料理する前に食べてしまったため、撮影できなかったコガネキヌカラカサタケの料理写真をリベンジ。

『KKK(サンケー)汁』
1.鍋に水適量とコガネキヌカラカサタケを入れ、中火で熱する。
2.沸騰したら、味の加減を見ながら塩を入れる。
3.輪切りにしたオクラを入れ、ひと煮立ちしたら完成。

コガネキヌカラカサタケの黄色い(正確には黄色黒い)煮汁の色を活かすため、味はあえて塩だけを使用した。写真のスープの色はキノコの色である。
また、めっぽう強いうまみ成分に敬意を表して、ダシの類も一切不使用。とろみと相性がよいと思い、彩りも兼ねてオクラを相棒に起用した。

特上のダシが出ており、味は言うまでもない。ただ、手間を惜しんで根っこの部分を切り落とさなかったため、少し土臭さがあった。強くはないが独特のにおいが多少気になるため、オクラの代わりに三つ葉あたりを使うのも一手かもしれない。

ちなみに、「KKK」とはガネラカサタケの俗称である。


今度は黄色い炊き込みご飯・『KKK飯(サンケーめし)』にも挑戦してみたい。


コガネキヌカラカサタケを食べてみた

2013-09-07 19:55:56 | キノコ料理
『コガネキヌカラカサタケ・食毒不明』『食用価値なし』『食用不向き』etc.etc.……

そういうことは試してから言うものです。

畑や花壇、植え込みなど、いたるところに生えて一般にも露出度の高いキノコ・コガネキヌカラカサタケ。にもかかわらず、食毒の情報がどこにも見当たらない。手持ちの『日本の毒きのこ』(学研)、『日本の毒キノコ150種』(ほおずき書籍)、『毒きのこ今昔』(思文閣出版)にもまったく載っていない。これはいかん、調査せねば、ということで試食してみた。

コガネキヌカラカサタケはハラタケ科に属するキノコだ。ササクレヒトヨタケやマッシュルームなど、美味な食用菌を擁する一方で、オオシロカラカサタケのような毒キノコも含むグループ。
有毒にしても強い毒を持たないものが大半だが、ハラタケ科のうちの1グループ、キツネノカラカサ属には、猛毒のアマトキシンを含むものがある。ちなみに本種はキヌカラカサタケ属。間違っても安全とは言い切れないが、猛毒である可能性は低い。

また、これだけ身近なキノコに強い毒があれば、なんらかの情報が残されてしかるべきなのだが、それがまったくないということは、無毒か、あっても弱毒なのだろうと推理することができる。少量を煮こぼして食べれば、中毒しても死ぬことはないだろう……たぶん。



さて、これがわが社の社運をかけた新商品・『黄金マッシュー』……とかじゃなく。

傘が開いて間もない小ぶりなヤツを20本ほどを拝借してきた。やけに軽い、ふわふわだ。これで20グラムあるかどうかってところ。採ってみて改めて思うが、表も裏も柄も、本当に全体が黄色いんだな……。

臭いをかぐと、さほど強くはないものの、表現不能のにおいがする。あんまりキノコっぽくないにおいで、ちょっと化学系。黒板消しと苛性ソーダを足して2で割ったようなニオイ(当社脳内イメージ)だ。正直、食べ物としてはかなりダメそうなニオイ。あまり期待しないことにしよう。

セオリー通りに茹でこぼす。熱湯に入れると、軽さのあまり、ぷかぷかと水面に浮かぶばかりで、ちっとも茹だりそうにない。しょうがなく箸で無理やり押しこんで一分ほど茹で、煮汁を捨てた。茹で汁は薄茶色に染まっていた。

念のため冷水にさらそうと思ったのだが、お腹がすいていたので、小さいのを一つツマミ食いしてみた。すると。

……!?

何コレ?激ウマじゃん!

ものすごい強い旨み。茹でこぼしたにもかかわらず、濃厚な味が口の中で広がる。これに匹敵する旨みの強さは、食用栽培キノコを含めてもちょっと思い当たらない。ハツタケよりも上かも。イグチのような独特の風味などはなく、純然たる旨み成分だけが抜きんでている、そういう点ではササクレヒトヨタケに近い気がする。

生だと気になったニオイも茹でた後は消えている。歯ごたえこそフニャフニャで噛みごたえがないものの、それを補って余りあるダシの強さは一級品。お皿に残ってたキノコも、塩を一つまみかけて、思わず一気にたいらげてしまった。

やべー、ウマいわー……あ、しまった、調理後の写真撮ってない(-_-;)


なお、幸運なことに、食後のカラダに異状は現れなかった。感触としてもそんなに悪くなかったので、あっても弱毒だと思う。煮こぼして食べればリスクはさほど高くないのではなかろうか。

ということで、コガネキヌカラカサタケは、まさかの

味ランク:A(採りに行ってでも食べたい)
ただし、安全性を保証するものではない


でございました。なお、この記事を読んでコガネキヌカラカサ中毒を起こしても一切の責任はとりません。あしからず。


備考:コガネキヌカラカサタケ料理  

ザリガニを食べてみた

2013-08-13 22:28:04 | キノコ料理
キノコとまったく関係ないが、ザリガニ食べてみたのでレポート。

キノコ観察会でお世話になっている三重県民の森で、「ザリガニ釣り体験」なるイベントが開催されるのだが、そこで釣られたザリガニさんたちは、廃棄処分にされてしまうと聞き、それはあまりにも哀れすぎるということで、食べてみることにした。え?話に全くスジが通っていないって?まあ気にしなさんな。




ザリガニ釣りは昔から子供が好きな遊びのひとつ。ザリガニがわりとアホなため、糸と餌さえあれば、小さい子供でもできるのが魅力だ。餌はさきイカを使った。餌は事前に釣り場の水に浸しておくと、ニオイでザリガニがおびき寄せられるみたい。
一つのエサで何匹でも釣れる。タモ網があれば確実に捕獲できるが、ない方がスリルがあって楽しい。



よしよし、大漁大漁。

さすがにドブ臭いので、二日ほど水道水で飼っておく。多少はマシになるはず。

調理品目は、極力シンプルにということで、塩ゆでと味噌汁に挑戦。調理方法もなにもあったもんじゃないくらい簡単な料理だ。ただ、臭み消しのため、調理直前の一時間、ザリガニを酒に浸しておいた。



塩ゆで。見た目だけならロブスター並においしそうである。さっそく食べてみよう。

ザリガニの頭と胸の部分をはずし、腹部の殻をこじ開け、身をとりだす。ビキッと堅い音をたて、砕けた殻から白い身がのぞいた。



大柄なザリガニから取り出したむき身は、こんなにちょぼっと。それでも、いかにもエビカニ類らしい弾力のある、しまった身だ。

口の中に入れてみる……モグモグ。うん、普通に食べられる。食用のエビほどこっくりとした旨みはないものの、淡白でクセもない、ごく当たり前な甲殻類の味。後味が少々生臭いものの、食べ物として標準的なレベルをクリアしていると思う。

胸部の方の殻には、少量ながらカニみそが入っている。ほじくって食べてみる……こちらは相応の旨みがあるものの、かなり生臭いので台無し。ちょっとヌルリとしていて、やっぱりザリガニだよなー、などと納得する。それでもメインの身が小さすぎて物足りないので、ついほじくって食べてしまうが(^_^;)



ザリガニの味噌汁。なんとなく、めでたい気持ちになる。
他のダシはあえて入れず、味噌オンリーで作ってみた。

これがけっこう美味い。塩ゆでより断然いい。きっと味噌の消臭効果がうまく発揮されたものだろう。ダシもしっかり出ていて、目かくしで汁だけで飲ませたら、これがザリガニの味噌汁だと分かる人は、まず居るまい。グッドグッド。


ボリュームがないのが玉にキズだが、総合的に見れば、緊急時のタンパク源として、十分に利用可能なレベルの食材だと思う。欲を言えばザリガニなんてマズそうな名前じゃなくて、もうちょっといい名前をつけてほしかったが、ゲテモノで片付けてしまうには惜しい存在だ。覚えておこう。

オオオニテングタケを食ってみた~リベンジ編~

2013-08-06 20:04:12 | キノコ料理
≪オオオニテングタケを食べてみた「毒見編」「ソテー編」のつづき≫


毒見をしていたにもかかわらず、なんで毒キノコ判定がくだってしまったか。やっぱりそれは調理法の違いによるものだろう、と思う。

茹でこぼしは、水溶性の毒ならばお湯にある程度溶け出すだろうから、毒性を多少なりとも軽減できる。

しかしソテーは成分が溶け出しにくく、加熱で壊れるような毒でなければ8割がた食べてしまうことになる。旨みや香りを逃がさない代わりに、毒成分も逃がさない。

その差が出たんじゃなかろうか。

そもそも、妙なニオイのするこのキノコの場合、風味を残すような調理法にこだわる必要もない。やっぱ茹でこぼしが正解なんじゃないか?ついでに濃い味付けの料理にしてしまえば、ニオイもごまかせるんでは?
なんかファイトが湧いてきたぞ!(←たぶん人として間違ってマス)

ということで、再チャレンジだ。



再戦用に新しい獲物を採ってきた。なぜか前回のキノコより明らかに大きくなってるのはご愛敬。高さ20センチ、重さ200グラムほどの逸品だ。見た目はけっこう美味そう……かな?これを全部ブチこむ。

まず、これをスライスして3分ほど茹でる。じつは茹でたときのニオイは、生の状態のニオイとちょっと違って、すごくかぎ慣れたニオイがする……それは、プールのニオイだ。そう、あの塩素系消毒のニオイがするのだ。
ちょっと親近感が湧いてきたぞ。でもやっぱ食いモンとしちゃありがたくないな(-_-;)

茹で終わったらお湯を捨てて、念のため、水に1時間ほどさらしておく。



フライパンに、細かく切った鶏ムネ肉とズッキーニ、オオオニテングタケを入れ、塩で味付けして炒める。そこへトマト缶を投入して、味を整えながら、ちょっと煮詰めて完成。



できた!オオオニテングタケとズッキーニのトマト煮。うん。なんかウマそうではないか?さっそく食べてみよう。

ん!

ソテーより段違いにうまい。

まず歯触りがいい。一度茹でたこのキノコには、なめらかな質感とコシのある歯ごたえが生まれていた。いきなり油で炒めるなんてのとは、もうまるで比べ物にならない。ただ、傘の部分は少しネチョッと歯にくっつくような感触があった。

そしてニオイ。例の塩素系便所洗剤臭は確かに気になるが、他の食材と混ぜて、さらにトマトを混ぜることで、だいぶ軽減することに成功した。それでも受けつけないという人はいるかもしれないが、ほとんどの人には我慢できないレベルじゃない……ハズ。

そもそも、鶏肉や夏野菜の旨みで、料理としてはだいぶ底上げされてるので、キノコ単品のソテーより美味しいに決まっている。にしてもオオオニは脇役に徹するのが食材として分相応だ、とは言えそうだ。

そうそう、忘れていたが、この料理で本能アラームは作動しなかったし、一食で100グラムほど摂取しても体に異状は現れなかった。有毒かどうかは中毒するまでわからないが、それでも個人的な感触としてはやっぱり有毒(ただし毒性は弱い)なんじゃないかと思う。
「石橋をたたいて渡る」計画は、橋が大丈夫でないことを確認してから渡ってしまったので、無意味だったな……(苦笑)

ということで、特大悪臭キノコ・オオオニテングタケは

味ランク C 食べられなくはない
たぶん有毒(弱)
 


というのが私の判定である。

最後に。自分でやっといてなんだけど
皆さん!くれぐれもマネしないように

もしマネをして中毒された方は、ご自分の体をもって責任をとってくださるようお願いします(他人を巻き込まない!)。


オオオニテングタケを食べてみた~ソテー編~

2013-08-05 21:08:20 | キノコ料理
「毒見編」 よりつづき≫

よし、道は開けた!次は試食だ!

ある程度の安全が保証されたので、こんどはオオオニテングタケの量を増やしてみて、食材としての可能性を見てみたい。
あまりコテコテと手のこんだ料理はオオオニの風味を損ねてしまうかもしれないので、まずはシンプルな調理法を試すことにする。ソテーだ。



今回使用するオオオニテングタケ。まだかなり若い状態で、傘の部分がすごく小さく、ほとんどが軸である。高さ10センチほど、重量は50グラムくらい。本当はもっと大きくなったところをいただきたいのだが、このキノコ最大の難点として、ニオイがきついというのがある(またかよ)。そのニオイは歯医者の消毒のニオイ?防虫剤のニオイ?とも言われるが、そのどれとも微妙に違う、少し化学系のヘンなニオイで、キノコが大きくなればなるほどキツくなり、最終的には近寄るのも嫌なほど強烈になる。そこでやむなく、傘の開いてないものを採取したわけだ。

調理は簡単、薄切りにして、サラダ油を入れた中華鍋で両面を焼いて、塩を振るだけ。



できた。見かけはマツタケっぽいぞ(笑)

残念ながらマツタケっぽいのは見かけだけで、やはり例のニオイを漂わせまくっている。火を通したら無臭になるとかそういうものではなさそうだ。正直、悪臭というほど悪いニオイではないと思うのだが、さりとて、食べ物から漂ってほしいニオイではない。

ま、ゴチャゴチャ言っても始まらん。いざ。

うーむ?やはり例のニオイが鼻につく。それはまあ覚悟していたのだが、歯触りが思ったより良くない。シコシコしたコシのある噛みごたえを期待していたのだが……歯ごたえはそこそこあるものの、少しボソつく感じである。毒見の時はそんなの感じなかったけどなー。

うん。はっきり言ってマズい。

とか思いながら半分ほど食べたところで、箸が止まった。来た!「本能アラーム」だ!

前回マツオウジに当たった時に判ったのだが、本能が「ヤバい」と判断したとき、「オイ、ちょっと待てやコラ。ソレ食っていいモンちゃうやろ!」というクレームをつけるらしいのだ。
アラームが発動すると、頭を押さえつけられてるような感覚がして箸がすすまなくなる。マツオウジの時はこれを無視して当たったので、渋々ながら今回は素直に従うことにした。

結局、その後半日を経過しても体に異状はなかったものの、ミッションは失敗である。

オオオニテングタケ、やっぱ毒あるんか?毒見のときは何ともなかったのになー。

……次回へ続く