月刊 きのこ人

【ゲッカン・キノコビト】キノコ栽培しながらキノコ撮影を趣味とする、きのこ人のキノコな日常

あしぼそちちたけ

2021-05-30 07:32:08 | キノコ
初夏のシイ・カシ林で見かける小型キノコ。

キノコフリーク界隈でもかつては何だこりゃ扱いだったけど、だいぶ知名度が上がってきた。
チチタケらしからぬ小ささと足の細さ!真ん中尖ってる!傘のフチに毛が!

逆にキャラが立ちすぎていて、並のチチタケ類よりよほど認識しやすい(笑)

カシタケなどと同様、なんで敢えてこの時期に発生するのかは気になるところだ。植物の花なんかだと、時期を外すことで花粉を運ぶ虫に対して注目を集めやすくする効果が考えられるけど、キノコはそんなんじゃないしなー。このユニークな形にヒントが??考えすぎか。

やこうたけ

2021-05-27 15:09:25 | キノコ
この日は、とある神社を訪れていた。

古くからの鎮守の森が保たれており、ちょっと他の里山とはキノコの種類が異なる、お気に入りの場所だ。時期も他の里山とは違い、梅雨入り前の4月5月に不思議な魅力がある。

この日の1番のお目当てはシイの巨木に生えるカンゾウタケなんだが、ゴロゴロと転がる朽木にも小さなキノコが多く、意外な発見があるので、怠らず観察しながら進む。

ふと、ウラベニガサが目に入った。ん?気になったのはその隣。



んーーーー??
このきれいな長い条線と灰色のグラデーション&ぬめり。どっかで見たような?
あっ、柄の根元が吸盤みたいになっとる!これって・・・

ヤコウタケやん!!

ヤコウタケとは、日本でもっとも明るく光る発光キノコで、八丈島などの亜熱帯の島に自生するフェニックスや竹に生え、観光ツアーも企画されることで有名である。九州や四国、本州でも、温暖な地域なら多少は発生するが、近年、温暖からは程遠いような場所でも、ちらほらと観察記録が出ている、とは聞いていた。まさかここで見つかるとは。

残念ながら、本州で見つかるヤコウタケの大半は、発光する力があまりないらしい。栄養をたんまり与えれば光るという説もあるそうだが果たして・・・。

できればこれが本当に光らないのかどうか、確かめてみたいが、採取する気にはならないし、夜ここに来るのも無理そうなので、写真を撮るだけにしておこう。


じゃけついばら

2021-05-26 02:39:10 | 植物
山中で車を走らせていると鮮やかな黄色い花が見えた。園芸種のように見事な花のふさを作り、それがフジのように垂れ下がるのではなく、空に向かって伸びている。ちょっと見慣れない花だ。

ジャケツイバラという名前。
葉はどう見てもマメ科って感じなので、イバラという名前は少し違和感があるが、よく見ると枝にトゲがついている。そういえば同じマメ科のニセアカシアもトゲがあったな。

つる性の植物で、この時期に花を咲かせるそうな。「ジャケツ」は漢字を当てると「蛇結」で、ヘビが絡まり合うさまをイメージしての名前らしい。


かしたけ

2021-05-18 18:33:20 | キノコ
この時期カンゾウタケの偵察にシイ林を訪れると、ベニタケの仲間に出くわすことがある。

ベニタケといえばふつう、夏のキノコでこの時期に見つかるのはおかしいんだけど、例外もいるらしい。たとえば、カシタケと呼ばれるキノコがそうだ。

カシタケ
春にシイやカシ林の地上に発生。カサ径3~8cm、饅頭形から平らに開き、表面は微粉状で湿っているときにはやや粘性がある。色は赤色、淡紫色など、変化が多い。ヒダは離生しやや密、白色から淡黄白色。柄は白色。

正直に言って、春に生える以外はもうどこにでもありそうなベニタケの特徴である。たとえばカシタケが何となく秋に出たら、もう区別がつかない。

それでなくともベニタケ類はキノコの専門家ですら避けて通るという分類の難しいキノコグループ。このキノコがカシタケだと証明できるかと言えば、それは無理そうだ。まあ春と言うには遅すぎるし、色もグレー系統、サイズもひと回り小さいから、違うとは思うけど、とりあえずカシタケだということにしておこう。


裏側。この時期によく見られるカラムラサキハツは肉に辛みがあり、柄に少し透明感がある点が異なる。

うらべにがさ

2021-05-13 07:55:33 | キノコ
春キノコの定番中の定番、ウラベニガサさん。

灰色の傘に細い足。その地味な色合いと均整の取れたキノコらしいプロポーションから、「美味しそう」という期待を抱かせるキノコさんである。
しかし、残念ながら食べ物としてはそれほどの実力はない。毒こそないものの、大して強くない旨みにくわえ風味も香りもなく水っぽい。何よりフニャフニャの歯ざわりが致命的。

しかし、この時期キノコ欠乏の我々キノコマニアにとってはこの姿は救いで、見つけるととにかくカメラを向けてしまう。わけても、ヒダの美しさは出色なんだけど、このアングルではとらえきれんかったな、残念。

ウラベニガサにはけっこうな数の類似種があるようだが、把握されてなかったり、把握されてても非公式だったりすることが多いようだ。

あみがさたけ

2021-05-06 23:34:12 | キノコ
今をさかのぼること一か月。
遠く関東の地ではイエローモレル(アミガサタケ)大発生の報に、キノコ愛好家が沸き立っていた。

一方でこちら三重。
この方では同じアミガサタケでもブラックモレル(トガリアミガサタケ等、黒っぽいアミガサタケ)が主流で、イエローモレルの分布は限られている。いや、正確に言えば、よく探せばけっこうあると思うんだが、なかなか見つけられないでいる。うーん。イエローが見たい。しかし近場にイエローが見られる場所を知らない。たった一か所知っていた場所は、どうやらキノコが絶えてしまったようだし、遠いところまでいく時間もないし。そういえば、キノコ会の先生が、新規開拓したという話を聞いたような・・・。

困ったときの菌友だのみ。
先生に唐突に連絡をつけて、桜を散らす春の雨の中、イエローモレル観察を強行することにした。
言うほど近くもなく、道に迷いながらたどり着いた観察ポイントであったが・・・あったあった!!

おっ、ここにも!そこにもあそこにも!

イエローモレル豊作は三重にも及んでいたのかどうか、まだ生えて間もないフレッシュなモレルが、けっこうな数のシロを作っていた。
雨で撮影がむずかしいことこの上ないが、ともかくも撮影を済ませて、満足満足。

さて、後日・・・

SNSで三重在住の知り合いが「アミガサタケ大収穫!」と投稿しているのを発見。
さほど親しいわけでもない人だったが、そんなスバラシイ情報を見過ごすのは惜しすぎる。
特に食べれるキノコの場合、相手のシロを聞き出すのは本来タブーなんだが、好奇心には勝てない。

「ちょっと内緒で場所を教えてください、ぜったい採らないし、他の誰にも言わないので!」
と、恥を忍びつつ聞いてみると・・・

げげっ、ここと同じ場所やった!

聞かん方が良かった・・・(´・ω・`)
とりあえず、「このことは僕たちだけのヒミツにしとこうね!」
などと、さも親しい仲であるようでいて、ただただウツロなコメントを残し、スマホを閉じたのだった。