カンゾウ伝その三より つづき
「青い忍者・・・」
さすがのカンゾウも面食らったような面持ちで見ている。その忍者は頭からつま先まで鮮やかな青の装束で身を包んでいた。赤、黄、紫・・・忍者の装束は目立つ色の者も少なくはないが、青は珍しい。
その忍者も三兄弟と同じ形の傘をかぶっているが、てっぺんに突起はなかった。そしてその手には、透きとおるように美しい刀をたずさえていた。
「イボカサども、三人そろってお役目が果たせんようではな。ここは私にまかせてもらおう。退け」
青い忍者にそう言われ、三兄弟はもぞもぞと動き始めた。
「さて、そちらの赤い忍。今の奇襲をかわすとは大したものだな。私はソライロタケ。手加減無用で行くぞ・・・ソラ!」
その忍者が気合を入れた瞬間、刀が青白い光を宿したように見えた。
「ヤァーッ!!」
速い!最初の斬撃がカンゾウを襲う!カンゾウは後ろに跳びすさってこれをかわす!しかしその時点ですでに次なる斬撃が繰り出されていた!
カンゾウはかろうじて身をかがめてかわす。そこにさらなる斬撃!カンゾウ大きくジャンプ!
ズズン!
突然に大きな音が響く。戦闘のさなか、カンゾウがちらりと音の方を見ると、後方にあった木が真っ二つになって倒れるのが見えた。あの木は今の斬撃で切られたというのか?刀が届くずっと後ろにあったはずなのに!?
やはりそうだ。あの青い忍者は刀が届かない場所のものまで斬っている!しかもすさまじい切れ味だ!
もし仮にカンゾウが刀を持っていて、青い忍者の斬撃を受け止めようものなら、きっと刀ごと真っ二つにされてしまったろう。丸腰で逆に良かったかもしれない。
しかし今のままでは反撃もままならない。どうしたら勝てる・・・?
カンゾウは青い忍者の斬撃をギリギリのところで避けながら、かすかな勝機をもとめて思案をめぐらした。
つづく
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