B級ゲームについて語らせたら右に出る者はいない(左に出る者もいない)ゾルゲ市蔵氏によるゲーム本。
ゲーセン全盛期からファミコン、プレステ、DSなど、家庭用ゲーム機の展開に至るまでのゲームの歴史で、数多くのゲームメーカーが生まれ、そして消えていったが、その中でも特に個性的で他の追随を許さなかった(そしてつぶれた)伝説のゲームメーカー・データイーストコーポレーション(通称デコ)を、パクリ・ハッタリ・換骨奪胎・その他なんでもアリで紹介するのが本書。
ゲームレビューはたとえばこんな感じ。
≪説明が困難な怪ゲーム。ローラースケートを履いた巨大ピエロになって足をグネグネ伸ばし、街を破壊しましょう。なぜとか言わないでください。こっちが聞きたいくらいです。他に類似したゲームがほとんどない(あったら大変だ)独創的な内容ですが、ここまで来るとマジで開発者の正気を疑いたくなります。(83年作『スケーター』)≫
≪アメリカ開拓時代が舞台。でも自分は保安官じゃなくて列車強盗。いや犯罪者を主人公にしちゃマズいだろ!まさにデコならではの反社会的ゲーム。もう何のためらいもなく銀行員を殴り、ガードマンを射殺してます。最高!ゲームとしてのデキはかなりよく、列車に馬で並走しつつ撃ちまくるシーンは、デカキャラがバリバリ動いてかなりの迫力!やってることはただの凶悪犯罪だけど。(86年作『ウエスタンエクスプレス』)≫
≪『対戦空手道』のディスク版。このタイトルは海外版ですな。操作系がガラッと変わっており、攻撃がAで前方、Bで背後……背後なんて攻撃してどうすんのかと思うでしょうが、このゲーム、相手を跳び越えてもキャラクターの向きが変わりません。しかも回し蹴りを使うとその場で後ろ向きになってしまい、いきなり操作が逆に!すげえ!こんなのデコしか思いつかねえよ!つーかやめろ。(88年作『カラテチャンプ』)≫
なんだかけなしてばかりのようだけれど、これこそが心底くだらないものにこそ愛おしさをを感じてしまう作者の愛情表現なのだろう…多分。
で、なんでこんな本をここで紹介するのかと言えば、それはこの会社が
副業でシイタケを栽培していたから
すげえ!つっこむ気も起こらん!もはやこんな会社が存在していたそのこと自体が奇跡だと思いたい。
マイナーな会社なので知っている人はいないだろうけど、しいてゲームタイトルを挙げるなら『マジカルドロップ』『ヘラクレスの栄光』『探偵 神宮寺三郎』なんかが有名。ああ、でもファミコンの『バギー・ポッパー』は友達に借りてだいぶやり込んだな……あれは面白かった。
(いないと思うけど)どうしても気になる方はyoutubeで『トリオ・ザ・パンチ』(三人の男が羊や招き猫や鳩と戦うデコ史上最強の奇ゲー)を検索すればデコの奇怪さの一端がご覧になれます。