カンゾウ伝その四 よりつづき
「・・・ソラ!」
気合声に呼応するように刀が宿す青白い光が増す。
青い忍者は直線的に飛び込んできたかと思うと、再び鋭い連撃がカンゾウを襲った。
一閃、二閃、三閃。ダメだ、3回かわすのが精一杯だ。ひたすら後退、近づくことすらできない!
「ぐわっ!」
青い忍者の刀がなんと岩を切り裂き、その破片がつぶてとなってカンゾウに命中した!バランスを崩して転倒する!危ない!
「・・・ソラ!」
青い忍者は気合声を放ち、斬りかかる!しかし、間一髪カンゾウは態勢を立て直して難を逃れた。
「??・・・おかしい」
この時カンゾウは気づいた。あの青い忍者ほどの手練れであれば、今の転倒のスキを逃すはずがない。しかし無駄に気合声を発したためにその好機をのがしてしまった。なぜだ?
もしやあの気合いはただの掛け声ではなく、術なのではないか?あの、カマイタチのように遠くまで切る斬撃は、刀に術をかけて繰り出しているのではないか?だとすれば、気合のあとに刀の光が増すように見えるのも合点がいく。もしそうであれば・・・
カンゾウは懐から短刀を取り出した。刀と言っても短い刃渡りしかなく、どちらかと言えば各種細工用に使っているものだ。
「もしやそんな武器でわたしのソラキリと張り合おうとでも?」
青い忍者が攻撃の手を休めてそれをとがめた。
「その刀はソラキリというのか。大した武器だ。でも私にはこんなののほうが性に合ってるようでな」
「フフフ、まあそれもよかろう。だがそろそろ終わりにするぞ・・・ソラ!」
ここが勝負だ!
一閃!二閃!三閃!たまらずカンゾウが飛びのく!
青い忍者は一呼吸おいてもう一度斬りかかる・・・つもりであった。
ふいに視界の端から何かが飛来するのが見える!青い忍者はとっさになぎ払った。
さっきの短刀であった。いつのまにやらカンゾウが切れたロープを短刀にゆわえて、遠心力を利用して遠い間合いから振り回し投げつけたのだ。
「そんなものが効くか!」
青い忍者が斬撃を放ち短刀のロープを断ち切った!
「ぬっ!!」
青い忍者が驚く!短刀に気をとられた隙にカンゾウがまっすぐ眼前まで飛び込んできたではないか!
「憤!憤!憤!」
カンゾウが初めて青い忍者を襲う!正拳突きの連打!連打!
だがさすが青い忍者、腕や刀の柄でそれがことごとくガードされる!
青い忍者にはカンゾウの攻撃が効かないのか!?
しかしソライロタケが全ての連打を止め切ったかと思ったその瞬間、カンゾウが大きくタメをつくった!
「イヤァーッッ!!」
最後にひときわ大きな気合いでカンゾウが渾身の一発を放った!
「ぐおっ!!」
青い忍者はガードしたにも関わらず体ごと吹っ飛ぶ!!
これぞ必殺拳「リバーブロウ」!相手の内臓を破壊する威力の正拳!カンゾウの切り札だ!!
つづく
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