月刊 きのこ人

【ゲッカン・キノコビト】キノコ栽培しながらキノコ撮影を趣味とする、きのこ人のキノコな日常

きくらげ

2018-04-26 22:46:46 | キノコ
雨上がり。キノコの姿の少ない春でも倒木を探せばなにかはある!

雑木林の片隅に積まれた丸太に生えていたのは(ノーマル)キクラゲだった。

コリコリのアラゲキクラゲに対して、こちらは通称「プルプルキクラゲ」。半透明のゼリー状の傘が日光を透かすと美しイイ!


せいようたんぽぽ

2018-04-22 23:46:31 | 植物
はい、カラッカラの陽気です。

毎年のこの季節、野草たちが咲かす花が移り変わっていくさまを眺めるのが楽しみなのだけど、今年はそのリレーが猛烈に早い気がする。

あれっ?もうマツバウンランとナガミヒナゲシが・・・げげっコウゾリナも来てる!!

春はいよいよ短くなって、もう季節は初夏なのねぇ。


セイヨウタンポポ、ピークは終わった感じ。でもタンポポを含むキクの仲間はこの季節のここからが強い。

キク科は全世界に2万種が知られていて、植物の中でもっとも繁栄しているグループとも言われるそうな。

あみがさたけ

2018-04-20 00:40:56 | キノコ
ここぞというタイミングで乾燥に見舞われ、大不作と言われていた春の風物アミガサタケに、どうにかこうにか今年も遭遇することができた。

しかも当地では珍しいイエローですぞ!(ちょっと古いからもう茶色になってるけど)

桜の木に菌根を作ると言われ、また木材を分解できるとも言われ、いまだ生態に謎が多い。

まあそれはさておいても。

のびのびと動き回る鳥や虫、ふわっと広がる野の草花を横目に見つつ、春の空気の中でアミガサタケを探すのは、実に楽しい。







じゅうさんほしてんとう

2018-04-16 23:39:26 | 動物
おやっ?

畑に今まで見たことのないテントウムシがいる。

ナナホシテントウよりは二回りほど小さく、胴体がやけに細長いが、テントウムシっぽい模様と面構えだから、やっぱりテントウムシだろう。

調べてみたら、どうやらジュウサンホシテントウのようだ。数えると確かに星が13個あるもんなー。

ヨシの生えるような水辺や湿地にしか生息しない、どちらかと言えば珍しい部類のテントウムシらしい。おかしいな?あんまりそういう場所じゃないんだけど。

たくさん姿が見られたジュウサンホシ、ある日を境にみんなどこかに消えてしまった。好みのエサを探しに飛んで行ったのかもしらん。


ちなみに日本のテントウムシにはフタホシ、ヨツボシ、ナナホシ、ヤホシ、ココノホシ、トホシ、11、12、13、14、15、ちょっととんで19、さらにとんで28ホシまでがいるらしい。

いっぱい種類があるんだなあ。

自然菜園

2018-04-09 19:06:10 | 植物
会社の敷地の片隅を借りて自然菜園なるものを始めた。

自然菜園とは何かというと……それは雑草や虫など、他の生き物と共生するように作物を育てる家庭菜園だ。

雑草と共存する。土は耕さない。農薬や化学肥料は使わない。いわゆる農業の常識とはかけ離れた農法。


コレのなにがいいかって言うと……いろんな生き物が見られるから楽しい!農薬や化学肥料買わなくて済むから、金がかからん!(そこかい笑)

でもそんなんで野菜が育つのか~?て思うでしょ。いやいや、これが育つのよね……たぶん。まあ見てらっしゃい。


肥料はシイタケくず。冬のうちに大量に撒いておいたら春の雑草がわさわさ育った。さすがにちょっと育ちすぎ(笑)





すいば

2018-04-08 22:14:35 | 植物
先日、NHKの番組で「なぜ植物はスキマに生えるのか?」ってのをやっていた。

ひと昔前、アスファルトを押しのけて生えて「あんな窮屈なところで苦しかろうねえ」なんて言われた「ド根性大根」てのがあったよね。でも「苦しかろう」ってのは人間の思い込みなんだそうだ。

ライバル皆無で日光独占。雨が降れば水がしみ込み、地表を覆われてて蒸発しないから乾燥もしない。アスファルトやコンクリのすき間はむしろ植物にとって天国なのだ!……とのことだ。

あと番組では言ってなかったけど、アスファルトやコンクリって日光を受けるとすごくあったまるから、冬は暖房効果を期待できるなぁ。真夏はヤバいけど……


ちなみに写真を撮るのにもスキマ雑草は最高です!背景がスッキリするからね。
葉っぱの酸っぱいスイバさん。しぶとい根っこの多年生雑草。こんなところに生えてきた日にゃ、ちょっとやそっとじゃ枯れないぞ。

『灯火茸(ともしびたけ)』

2018-04-05 20:44:59 | キノコ創作
えのきダイエットスープ、ポルチーニアイス、国産冷凍フクロタケ……!さまざまなキノコ商品を扱う神奈川のきのこ問屋・バイオコスモは、キノコの魅力を全国に伝えようと、日夜キノコ情報を発信している。
キノコの売れない夏にはコンペティション形式のキノコ関連商品展示即売イベント『KINO-1グランプリ』を開催するなど、その熱意はハンパじゃない。

そんなバイオコスモから今回、きのこの歌がリリース!しかも社内自作プロモーションビデオ付き!

その名も『灯火茸(ともしびたけ)』。

もちろん光るキノコ「シイノトモシビタケ」が題材。食べれるキノコとぜんぜん関係ないのがスバラシイ!(笑)

きのこの歌 『灯火茸』

作詞・作曲・唄はきのこ熱血営業マン・露木啓さん。弾き語りのギターがしみる。キミの心にトモシビタケ。


バイオコスモの運営するホームページ『きのこのじかん』はキノコ関係の記事やオンラインショップが大充実。よかったらのぞいてね!

ちなみにこちらが歌の紹介記事。





『しっかり見分け観察を楽しむ きのこ図鑑』

2018-04-03 23:22:26 | キノコ本
『しっかり見わけ観察を楽しむ きのこ図鑑』  中島淳志・著  大作晃一・写真

お~?また大作さんの白バック写真の図鑑が出とる!前出た『くらべてわかるきのこ』とどう違うねん。大して違わんやろ~( ゚Д゚)

とか思ってましたがスンマセン。ぜんぜん違いましたm(_ _)m


この図鑑を簡潔に表現すると、ズバリこれだ!

≪観察屋さんの観察屋さんによる観察屋さんのためのキノコ図鑑≫


キノコ図鑑はこれまでたくさん出されてきた。いい図鑑ももちろんたくさんある。でもね。それらの図鑑のほとんどが読者層としてどうしても意識しなければいけない人達がいる。それはね、「キノコ狩りはしないけど、見かけたキノコを食べれるかどうかだけ知りたい初心者」だ。

正直言ってそんなに図鑑を読みこんでくれなさそうな人達ではあるが、いわばキノコの無党派層、人数としてはかなり多い。彼らを読者層に取り込めれば売り上げはかなり計算できる。出版する側からすれば、取りこぼしちゃいけないターゲットなのだ。そのために、各図鑑は誰にでもわかりやすいレイアウトや写真を吟味したり、解説に食味やレシピを入れてみたり、いろいろと工夫している。

ところが。これをやるとだいたいみんな似たような内容になっちゃうのよね~。読みやすさを心掛けると無個性になってしまうジレンマ!

そこんところ、この『しっかり見分け図鑑』は違う。もう無党派層なんて無視!ムシムシ!!

≪縦に裂くと基部に黒いしみがあるという特徴がよく知られている。傘と柄の境目につばのような隆起があることも特徴である。発光性も有名だが、微弱なので野外では確認しにくい。食用の「ムキタケ」(p.141)は本種に類似し、しばしば誤食されるが、上に挙げた特徴で識別可能。確実な同定にはグアヤクチンキや硫酸バリニンなどの試薬を用いることができる。≫(ツキヨタケ)

≪形の似たキノコにナギナタタケ(黄色)(p.197)、「ベニナギナタタケ」(橙赤色)(p.197)、「シロソウメンタケ」(白色)などがあるが、色が異なるので間違えることはない。特殊な細胞を持ち、もともと異質といわれてきたが、DNAを使った研究の結果、本種はそれらとは全く異なり、コケの上に発生するハラタケ型のきのこに近縁なグループと判明した(Dentinger&McLaughlin,2006)。≫ (ムラサキナギナタタケ)

どうだ!!

判別に必要な情報をきっちり提示、これを第一としつつも、追加する情報はあくまで「分類」。
学術的にもしっかり裏のとれた、最新の情報だ。だが内容が高度すぎて無党派層には理解不能!(^-^;


さらに!この方針がもっとも色濃く出ているのが「グループのページ」だ。「ヒラタケのなかま」「イグチのなかま」みたいな感じに、キノコの分類グループごとの特徴を数値化、グラフなどで一目でわかるようにしてある、のだが……


なんかよくわかるような……わからんような!!

≪グループごとに形質の陽性尤度比(pLR)という指標を算出しています。pLRが1よりも大きいほど、そのグループに有用な形質といえます。≫

おおう!?漢字が読めん!ようせいゆうどひ??なんかすごい飛び道具が出てきた!

じつはそんなに難しいこと言ってるわけじゃないんだけど、表現がすっごく理系なので、こういうのにアレルギーがある人は近寄らん方がいいかも(笑)

これはきっとアレだ。野球ファンにたとえるなら、ただの野球観戦じゃ飽き足らずに、チームや選手のデータとかランキングとかを見てニヤニヤしてる奴!そういう人に向いてるページだ。

シメジ科やキシメジ科など、まとめ効果がいまひとつあがらないグループもあるけど、意外な発見もある。データ集めに相当な労力がかかったろう。オツカレサマ。



各キノコの解説ページは、かなーり優秀。

◎あるキノコを判別するのに、重要な情報をピックアップ!
野外での生態写真とは別に、傘の上面や下面、柄の基部など、判別に重要なパーツの拡大写真を掲載。重要な特徴は箇条書きにまとめてある。

◎よく似たキノコとの相違点を重視した解説!
あまり図鑑に載っていないマイナーな種類も書いてあるので助かる。顕微鏡で調べるミクロな特徴も重視。

◎キノコ分類の最新情報も盛り込む!
分析技術の発達で毎年のように新しい発見があり、新種発表や変更がつづくキノコ界。新情報はありがたい。


……掲載種309種、美しい写真とメリハリのある構成。アカデミックすぎて読者がついていけない面もあるけど、とりあえず『観察屋さんは買い』で間違いないと思ふ。


ちなみに著者の中島淳志氏は、キノコ最強データベース『大菌輪』の運営も手掛ける。こちらもよろしければどうぞ。