月刊 きのこ人

【ゲッカン・キノコビト】キノコ栽培しながらキノコ撮影を趣味とする、きのこ人のキノコな日常

失敗写真を無理にでもきれいに見せる~トリミング~

2010-08-31 00:19:20 | 撮影
被写体の良し悪しや撮影条件にもよるけれど、納得のいく写真が撮れるのは100枚に1枚程度、というのが今の私の腕前。ほかの99枚は捨ててしまうか、さもなくば画像処理(レタッチ)をほどこしてだましだましでも見られるようにするしかない。

ちょっと暇なので失敗写真をいじって遊んでみる。題材はちょっと殺風景な場所に生えたコガネキヌカラカサタケ。コントラストにとぼしく、色彩もくすんで、のっぺりとして寝ぼけた写真の典型になってしまった。そもそもはといえば、撮影の時間帯が遅すぎたのが諸悪の根源なのだが、シャッター時間が長くなり(1/6秒)、手ブレも入っている。が、まあ構図は悪くないので救う価値はありそうだ。

とりあえずトリミング(切り取り)をしてみよう。

本来は撮影の段階でベストの構図を考え、そのとおりに撮るのが理想なのだが、キノコの場合、木や草がひっかかったり、地面につっかえたりして、なかなかうまくいかない。なもんで、かなりの確率でトリミングが必要になってくる。

まずはキノコを真ん中に据えて背景を削っていくことにする。題材がど真ん中にくる、いわゆる「日の丸構図」だ。


まずはどアップで。キノコの形を観察するにはベストだが、キノコしか撮れていない、つまらない写真になってしまった。もう少しズームアウトした方が良さそうだ。


この構図なら悪くない。背景を取り入れることで画面に色彩と奥行きが加わった上に、人工的な環境に生えてくるキノコだということも表現できる。画面右上の空白が大きすぎてうるさいけど、そうぜいたくも言えない。

でももーちょいいじってみようか。

『南方熊楠菌類図譜』

2010-08-25 22:04:03 | キノコ本
明治から昭和初期にわたる激動の時代を、好奇心が導くままに突きすすんだ「巨人」、日本史上最強の菌類学者・南方熊楠(みなかたくまぐす)の手によるキノコのドローイング集。

この本を開いて真っ先に感じるのはその奔放さ。ラフなようでいて細密とも見えるキノコの水彩画を、ことこまかに記された英字の記載が縦横入り乱れてウジャウジャと取り巻いており、さらに、ところどころにキノコの標本が押し花よろしく、ぺっとり直貼り。

うーん、なんだかすごい。

正直いえば、スケッチだけを見るかぎり、熊楠にあまり絵の才能はない。だが、そんなこととははるかに違う次元で、彼がキノコを求めていたことが、これらの図譜に新たな意味を与える。

熊楠は菌類や粘菌の研究をライフワークとした他にも、多くの学問に関心をよせ、また、国内・国外を問わず、その破格さを示すエピソードが数多く知られている。あくなき好奇心、あくなき行動力、あくなき人間エネルギー。その精神的質量の巨大さはいったいどこから湧き出てくるものか……。彼の生涯を知るにつけ、小惑星探査機「はやぶさ」が回収してきた0.1ミリ以下の塵にも劣る自分の小ささに愕然とするほかない。

無論、この図譜は菌類の学問的資料として一級なのだが、熊楠の英字記載は解読不能なので、この本から情報を読み取るのはあきらめたほうがいい。私のごとき凡人は、ただ漫然と眺めるしかないのだが……それでも熊楠ファンには、たまらんだろうな。

キノコカメラとしてのリコーGX

2010-08-16 23:14:25 | 撮影
日本各地のキノコ人たちからキノコの報せを聞くが、ナワバリに亜高山帯のフィールドがあるじゃなし、雨と休みとのタイミングも合うじゃなし、趣味のキノコに関しては完全休業状態。こないだの雨では通勤途上にオオシロカラカサタケの群生が見られたが、撮りそびれた。
キノコの都合と自然の都合と自分の都合と。ベストのタイミングでキノコを撮れるなんてなかなか難しいことだ。一回出かけて満足のいく写真が1枚撮れれば上出来だと自分では思っている。

書くことないからカメラのことでも。

私が手にする初めての高性能デジカメ、リコーのGX200を使い始めてちょうど2年になる。巷ではマニア好みの機体といわれているカメラのせいか、いまだに使いこなせていないが、あと3年くらい使えばなんとかなるかもしれない。ちなみに選択基準は①できるだけ小さくて②ハイスペックな③コンパクトデジカメだった。

一眼レフは重い・デカい・使いこなせそうにない、ということで選択肢からはずした。何より私の好きな、下から見上げるアングルはコンデジにしかできない芸当(特に地上キノコ)。タテ撮影で構えやすくて、なおかつ手持ち撮影がしやすいという個人的な嗜好を満たすのもコンデジだ。

正直どれがいいかよくわからんかったので、マクロに強いという定評のリコーを選んだ。なにぶん他のカメラを知らないから比較はできないけど……

長所
・ボディのフォルムがレトロで渋い
・タテ撮影も含め、グリップがしっくりする
・なんだかスゴクたくさん機能がついてる(使いこなせていないが)
・頑丈
・軽い
・オプションでレンズを装着できる

なんだか褒めてるのは外装ばっかりだったりするんだが、中身のことはよくわからんのでね……

短所
・暗いところで撮ると寝ぼけた写真になる
・暗いところで撮るとノイズが多い
・暗いところで撮ると青カブリする
・暗いところで撮るとブレやすい

っていうか要するに

暗いところで異常に弱い

というそのことに尽きる。

他にもオートフォーカスが遅いうえにアホだとか、レンズキャップがめんどくさいとか、知らんうちにダイヤルやズームが動いちゃうとか、細かい欠点は多々あるけれど、暗いところで弱いのに比べりゃいずれもかわいいものだ。

対策としちゃ
・場所選びや小道具に気を使い、できるだけ明るい条件で撮る
・ホワイトバランスやコントラストなどのデフォルトをいじる
・画像ソフトを使う
・三脚を使う

なんかで対抗するしかない。逆にいえば、十分に光のある環境で撮った場合、異常にきれいに撮れたりするので、そのへんにかかっているように思う、コレを使いこなせるか否かは。

もう一台、キヤノンあたりの暗いところでも強いヤツを買って併用するってのも手だけど。基本的には気に入っているので壊れるまで使い続けるんだろうな……