月刊 きのこ人

【ゲッカン・キノコビト】キノコ栽培しながらキノコ撮影を趣味とする、きのこ人のキノコな日常

きのこ小ネタ集……『ダンジョン飯』

2015-01-28 19:34:38 | キノコ本
『ダンジョン飯』(だんじょんめし) 九井諒子 著

徹底的な手抜き料理を題材にした『花のズボラ飯』。なんてことのない料理を一人で黙々と食べる『孤独のグルメ』。戦国時代にタイムスリップした料理人の物語『信長のシェフ』……グルメ漫画が多様化する中で、なんかよくわからんのがまた出てきた。その名も『ダンジョン飯』!

舞台はファンタジー世界の地下迷宮。冒険者は仲間たちと数人のパーティを組み、その最奥に眠る財宝を手に入れるため、モンスターを倒しつつ地下深くへ向かう。
主人公のライオスも冒険者のひとり。彼は迷宮最深部でドラゴンに食われてしまった妹を救出するため、無一文の状態でふたたび迷宮に挑む。しかし腹が減っては戦はできぬ。食べ物を買う金もなく、さりとてお金を稼ぐ時間の猶予もないライオス一行は、モンスターをとっつかまえて料理する自給自足生活に挑むハメに。
……はたしてモンスターは食べても大丈夫なのか?ライオスたちの運命やいかに!?


なんと舞台設定は、コンピュータRPGゲームの元祖とも言われる『ウィザードリィ』の世界観まるまんま。種族や職業によってキャラクターがいろいろな能力特性を持っていたり、仲間が死亡しても寺院に連れていけば蘇らせることができたり。しかしこんな仮想ゲームな世界にあって、妙にリアルなモンスター料理を描くのがこの作品のミソ。特にモンスターの形態的な特徴や習性に対する解説が、やたら生物学にのっとって描かれているのがおもしろい。

人食い植物の分類とか,スライムの内部構造とか、バジリスクの習性を利用した正しい狩り方とか……これはもはやサイエンス・フィクション(SF)!素敵だよね。


さて、この漫画のきのこネタは迷宮のモンスター「歩き茸」。文字通り、歩くキノコな下級モンスター。初心者向けの食料で、肉厚で癖のない味わい、だとか……。観察がやけにこまかい。
 

「大サソリと歩き茸の水炊き」。レシピと栄養バランスパラメータも。野営しているシチュエーションも手伝って、けっこう美味そうだ。干しスライムって食材としてどうなんよ(笑)


「うっ」
(死んだか?)

なんかこういう状況、どこかで見た気がするなぁ・・・(^_^;)


ファンタジーに見えて実はSFなグルメ漫画は、まだ連載が始まったばかり。正直言ってかなり面白いので、続きに期待したい。


きのこ小ネタ集 ……『ハチミツとクローバー』

2015-01-26 21:13:41 | キノコ本
「キノコ本」とまではいかないけど、小ネタとしてキノコが登場してくる漫画を紹介してみるぞ~

『ハチミツとクローバー』  羽海野(うみの)チカ
美術大学を舞台に繰り広げられる、仲良し五人組の笑いあり、涙ありの青春活劇。ほんわかタッチの絵柄に、「美大あるある」的な小ネタをはさんで話は軽快に進んでいく。しかしその裏で、どこまでも叶うことのない恋心の切なさ、けっして口にはできない心情の吐露といったものを、その場の情景と重ね合わせつつ丁寧に描くのがこの作者の真骨頂。女性を中心に根強いファンが多い。


きのこネタは4巻に登場。料理をさせるといつもとんでもないモノを作ってしまうヒロイン二人が、キノコにも挑戦、という小ネタ。


「あやしいまでに鮮やかなレモンイエローのキノコ」「ヌメリなんとか茸って言う」「彫刻棟のウラに雨が降ったあとによくはえる」
などの情報から察するに、ヌメリイグチによく似て、黄色っぽい個体の多いチチアワタケあたりじゃないかな~というのが私の推定。松さえ生えてれば、けっこう校庭なんかにも出てくるからねー。


さてこの『ハチミツとクローバー』には「森田先輩」というキャラクターがいるのだが、これが典型的なトリックスターとして描かれていて興味深い。「天才だけどバカ」「帰属意識が薄い」「人に迷惑ばかりかけるが憎めない」「浮世ばなれしてる」「子供っぽい純粋さと、全てを見通す賢人の眼を合わせ持つ」……トリックスターは日本の漫画や小説にも多く描かれているけど、これだけ典型的な人物が描かれることは少ない。

私が勝手に「キノコ的人物」としてマークしている「トリックスター」。これを描く羽海野さんも、やはりキノコ的作家、と言ってしまってもよいのではなかろうか。


同じ作者による将棋漫画『三月のライオン』も良いぞ!

きのこクイズ一問一茸 答え

2015-01-23 21:45:11 | クイズ
元の問題


問1.シイタケ
19世紀後半、イギリスのチャレンジャー号探検航海によって持ちかえられた標本から命名。ただし由来については「江戸の」ではなくて「食用の」という意味からとったという説も有力。

問2.ブナシメジ
ブナシメジはシメジ科。他はヒラタケ科。ヒダのつき方を見るとヒラタケ三種はやっぱりなんとなく似ている。

問3.オニフスベ

問4.オウギタケ
アミタケに寄生しているのではないかと言われている。

問5.カワウソタケ
カワウソタケは硬質菌。他はナヨタケ科のキノコ。

問6.カラカサタケ
軽くてフカフカ、スポンジのよう。

問7.オオモミタケ
大きいものは傘の直径が30センチに達する。

問8.コガネタケ
食用とされているが、中毒例も報告されている要注意キノコ。

問9.トリュフ
トリュフの正式和名はイボセイヨウショウロ。同じショウロの名前がついていても、本ショウロとは赤の他人。ちなみにノウタケはハラタケ類に近く、ツチグリ・ショウロはイグチ類に近い。

問10.サクラシメジ
「きのこの語源・方言事典』(奥沢康正・正紀 著)に収録。連合国軍の総司令官ダグラス・マッカーサーと「真っ赤」をかけた駄ジャレかと思われる。現在も使われてるかは不明(笑)

きのこクイズ 一問一茸

2015-01-23 21:12:38 | クイズ
問1.学名Lentinula edodes。「edodes 江戸の」の意を持つ食用キノコとは?

問2.ヒラタケ、エリンギ、ブナシメジ、タモギタケ。この中で分類上、仲間はずれなのはどれ?

問3.子実体としては国内最大級、直径30センチを超えるボール状の白いキノコといえば?

問4.必ずアミタケと同じ場所に発生してくる、ストーカーっぽい赤茶色のキノコといえば?

問5.イタチタケ、ムササビタケ、カワウソタケ、ムジナタケ。この中で仲間はずれはどれ?

問6.傘を握ってパッと放すと元に戻る性質から「にぎりたけ」の別名を持つキノコといえば?

問7.オオモミタケ オオホウライタケ オオツガタケ オオゴムタケ この中でずば抜けて大きいのはどれ?

問8.道ばたに群生することがある大型の黄色いキノコで、俗に「汗臭い」と表現されるにおいを持つカブラマツタケ科のキノコとは?

問9.ノウタケ ツチグリ ショウロ トリュフ この中で担子菌でないのはどれ?

問10会津地方で「まっかぁさぁ」って呼ばれていたことのある、こころもち赤っぽい食用キノコ


答えデス

毒きのこ 世にもかわいい危険な生きもの

2015-01-14 21:07:42 | キノコ本
本邦初、毒キノコ写真集!

雄大で美しい北海道・阿寒の森をフィールドに、自然ガイドのかたわら、キノコ撮影をてがける新井文彦さんによるビジュアル系きのこ本。

新井さんといえば、老舗ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」の人気コンテンツ「きのこの話」で有名だが、なぜだか今回は毒キノコ縛りで登場!なぜだ?毒キノコ愛に目覚めてしまったのだろうか??

新井さんのあとがきによると・・・

≪毒があろうが、きのこはかわいい。毒があろうが、きのこは美しい。ぜひ、先入観なしに、ありのままの毒きのこの姿を見てください。≫

いつも悪者あつかいを受ける毒キノコを応援するためにつくった、のだそうだ。

なるほどな……キノコを分け隔てなく愛する私としては、おおいに歓迎!!


なんといっても、神々しいまでに美しい阿寒の自然を背景にしたキノコ写真が見どころ!


各キノコの紹介は毒性の話などを中心に平易でソフトな言葉で仕上げてある。キノコ判別のこまかな説明はなく、図鑑というよりはやっぱり写真集って感じ。キノコの知識のない人でも楽しめる。ちなみに、文章を書いているのは新井さんではないらしい。
ページレイアウトは、ほどよく変化をつけながらすっきりまとまっている感じ。このへんはプロのお仕事。


掲載種数は約40種。カラカサタケやムラサキシメジなど、あんまり「毒」って感じじゃないキノコが大半を占めるために、このカエンタケのページまで来て「そういえば毒キノコの本だった」と思いいたる。

それにしても見事なカエンタケ!北海道には滅多に発生しないと思うんだけど、わざわざどこかに出向いたんだろうか。コイツがいるだけで雰囲気が全然違ってくる。役者だねぇ。
他にも猛毒組ではドクササコを押さえてるのがポイント高い。でもねぇ、できるんなら、毒キノコ御三家のクサウラベニタケ・カキシメジと、あとドクヤマドリも欲しい!(欲張り)


全体として、ものすごくバランスが良くてリーズナブルな本。筋金入りのキノコ好きはさておき、きのこ初心者にはもってこいの本だ。

ただ、本が変則の横長なので、新井さんが多用している縦長写真は上下がカットされちゃったり、サイズが小さくなったりしてるのが残念なところ。なーんちゃって、ページレイアウトを美しくして、なおかつ写真の良さをフルに生かす!なんてやっぱゼータクか。新井さんの本格的な写真集でないかなぁ。

「毒キノコの悪いイメージをぬぐいさりたい」との新井さんの言葉が見事に体現された写真集だと思う。個人的にはもっと毒毒しててもぜんぜん大丈夫だけどねっ!(笑)

むらさきしめじ

2015-01-11 23:15:20 | キノコ
年明けても粘ってたムラサキシメジ、しぶとい!

そろそろサボってないでキノコ記事も書かねばねえ。

そういえば「きのこ検定」の第二回が今年も行われる予定らしい。開催が2月22日、締め切りがもうすぐ。今回、受験できるのは4・3・2級。去年、2級まで合格してしまったので、自分は今年受けられないよー。4級は新設の初級者コースだから、間口を広げてきたな。

ちなみに去年の検定のようす。あれ?なんか・・・

菌賀新年

2015-01-04 21:21:38 | 撮影
あけましておめでとうございます!

めでたく2015年を迎えることができました。今年もいい一年になりますように!

今年の目標・・・とりあえず去年達成できなかったマイタケを見つけたいのはヤマヤマなんだけど、それ以前に重大ミッションをなさねばならんようだ……!

まあなんだかんだでキノコまみれにはなりそうなので、本年もよろしくお願いします<(_ _)>