今日は「きのこウォッチングクラブ・みえ」主催の顕微鏡講座に参加してきた。
キノコの分類には肉眼的特徴を調べるだけでは限界があり、胞子の形状や菌糸の構造の特徴などミクロ視点で調べることが必要になってくる。その際に必要になってくるのが、顕微鏡というわけだ。
講師はきのこ通で顕微鏡のエキスパート(というよりマニア?)、
「あやしいきのこ」のgajinさん。今回は自らのコレクションたる顕微鏡を実践練習用に投入しての気合の入った準備ぶりだった。
キノコの顕微鏡観察にあたっての、大まかな流れや注意事項を説明したあと、さっそくの実践に移ることになった。正直、やってみんことには話を聞いててもピンと来んのよね。
まずは胞子の観察。成熟していそうなキノコを選んで傘を切りとり、カバーガラスの上に20~30分置いて、胞子を落とさせる。うっすらとホコリっぽいものが落ちてたら成功。さっそくプレパラートを作成して顕微鏡で見てみる。
うーん?使い方がよくわからん。昔、学生の時の実習でちょこっといじっただけだからなあ・・・
あっ。見えたっぽい。パラパラ散らばってる丸いのが胞子(検体はウラベニガサ)。これはシンプルな丸い形だけど、細長いもの、角ばったもの、トゲのあるもの、網目のあるもの、などなど、いろんなのがあって種類判別の手がかりになってくれるそうだ。
実践指導中。おお、顕微鏡を使いこなす姿ってなんかカッコいい。
次はキノコ本体の観察。キノコの顕微鏡観察でも基本中の基本、ひだの断面を観察することになった。
カミソリの刃を使って、ひだを切り出す。と、一口に言ってしまえば簡単なんだけど、これが超こまかい作業でかなり難しい。とにかく薄く切り出さないと顕微鏡でも断面がきれいに見えないので、神経を研ぎ澄ませて挑む。みなさん苦戦のご様子だ。
自分もチャレンジする。うわ、すごい細かい作業。キノコはけっこうクニャクニャなので、包丁で果物を切るようにはいかない。少々苦戦したものの、なんとかクリアに成功した。顕微鏡下では、たくさんの細胞が居並ぶ中に、ドでかい塔みたいな細胞(シスチジア)がズカンズカンと立ち並んでいる様が観察できた。そして表面近くに胞子がくっついている「担子器」らしきものも見えた。
最後にフロキシンで染色処理をしてから、KOH(水酸化カリウム)で細胞をほぐして観察した。こうすると細胞のひとつひとつがよく観察できる。まん中あたりにある透明の大きなナメクジ型の細胞がシスチジア。大きいだけで、いまひとつ何のためにあるのかよくわからない細胞だけど、ひだとひだがくっつきあわないように、つっかえ棒の役割をしてんじゃないかと言われている。これもキノコの種類にっては判別の材料になったりするらしい。
てな感じで、顕微鏡講座は終了。
本当はもっと習得すべき技術がたくさんあるんだけど、一日ではとてもとても。それでもエキスパート直伝のテクニックを教えてもらいながら顕微鏡を使わせてもらえたので、有意義な日となった。
gajinさん、菌友のみなさま、ありがとうございました。