月刊 きのこ人

【ゲッカン・キノコビト】キノコ栽培しながらキノコ撮影を趣味とする、きのこ人のキノコな日常

里山公園

2010-05-30 20:58:30 | キノコ
いやー、やっぱ天気おかしいわ。

5月ってこんなに寒かったっけ?近所のおっちゃんおばちゃんたちもお茶の出来が悪い、夏野菜の生育が悪いということで皆、困り顔。3月・4月に極度の日照不足で春野菜が高騰したのは記憶に新しいけど、植え付けたばかりの夏野菜の生育が悪いということは、要するに地温が上がらないってことだ。今はそんなに日照が少ないとも思わないけど、このまま梅雨に突入しちゃうとちょっとまずい。今年は夏野菜の価格にも気をつけた方がいいかも。

さてと、この数日の乾いた風でキノコの方もしばらくダメそう。去年もスタートは随分遅かった記憶があるから、そう焦ることもない。

用事の道すがら「里山公園」というのがあったのを思い出し、偵察がてらに立ち寄ってみた。……想像していたのとは随分違う。っていうかこれって……公園っていうより田んぼと畑。すごいなー。どうやら休耕田になっていた棚田の地形をそのまま生かして公園にしてしまったらしい。近所の小学校が体験学習で使っている専用の田んぼもあるみたいだ。

畑の脇にゲンゲが咲いていた。



管理人さんなのかボランティアなのかわからないけど、公園の(畑の?)整備に忙しく立ち働いている人もいる。池ではザリガニ釣りする子どもたちの姿もあった。ずいぶんいい場所なんだねぇ。ふだんあまり気づかないけど、こういう面白い試みはあるもんなんだと感心した。

池のほとりにえーと、こりゃヒメキクラゲ?変な場所に生えてたから、一応撮ってみた。



キノコには見えん。大きなお世話だろうけど。

進路は南でよーそろー ~新規開拓~

2010-05-27 20:53:16 | キノコ
さてと、これからどうするかなっと。

どうせ期待できない日なんだから、偵察もかねて新規開拓でもしようかな。面白い場所がみつかるかも……
進路を北にとって、期待の持てそうな場所を探す。

最初の一ヶ所目は、まだ新しい公園。地図で見る限り、かなり広い敷地のようだけど……結論から言ってハズレだった。もともとあった山や林を削ってサラ地にしてしまったあと、池や芝生や植木を設計図どおりに配置して出来上がった、典型的ハコモノ公園。今日最初に足を運んだ、歴史あるK公園とは対極に位置する公園だ。子ども連れで来る大人には安心なんだろうけど、なんだか空っぽな気がして、私は好きでない。こんな公園でも100年経てばK公園のようになれるんだろうか……
唯一期待できるウッドチップキノコも今日は不発のようだ。

二ヶ所目に、かなり山の中の公園。こんなとこにホントに公園なんかあるのか、というような細い山道を伝っていくと、いきなり開けた場所に出た。わ、すごい、ホントにあった。
平日とは言え、ここは見事にスッカラカン。さっきの公園はまがりなりにも人がいたのだが、こっちは人の気配がほとんどない。ある意味、こっちのがよほど問題があるような……
ただ、公園の作りとしてはこちらの方が何枚も上手。芝生広場とは別に、既存の雑木林を利用して作った自然遊歩道がある。ぐるりと回って見ると、せせらぎや湿地帯なんかも取りこんであって、なかなか期待の持てそうな場所だ。いいとこ見つけたかも……



スジオチバタケを見つけた。



白と紅色のストライプ。これがなかなかビジュアル的に侮れないキノコなんだよね、じゅうぶん主役を張れる。そういえばこんな模様をした飴、京都の和菓子屋さんで売ってたような気がする。

また来よう。


進路は南でよーそろー

2010-05-26 19:35:32 | キノコ
久々の平日休み。

まだまだキノコシーズン幕開け前とはいえ、雨上がりの、しかも晴れ時々曇りという絶好のロケーションを得てしまえば、これがキノコを探さずにいられようか。

あんまり当てはないが、ともかくも進路を南にとる。ちょっと距離はあるけど、まずはK公園に行こう。なんとなく期待の持てる場所だし、仮にオケラでも、歩くだけで気持ちのよい公園だからくたびれもうけになることもない。なんかあるといいな……

車を降りて探すこと10分、ようやくキノコを見つけた。先日の暑さにびっくりしてベニタケの仲間がもう発生を始めているのか。写真の赤い小さいのとカワリハツ似の大きいのを発見。このあとテングツルタケとおぼしきキノコの腐ったやつも見つけた。夏は近い。

朽ち果てた倒木にチャヒラタケ系の何かか?ウジャッと生えていたけど、ビジュアル的にいかんともしがたかったのでスルー。隅っこにチョロっと生えてるクヌギタケ系のを狙ってみた。



結果的にはイマイチな出来だったけど、あーでもないこーでもないしながら撮るのは楽しい。

あとで気づいたのだが、この日はホワイトバランスが変な設定になっていたため、後で画像処理するのに苦労した。修正すると手間がかかるは画質が落ちるはでロクなことがないので、以後気をつけまする……

この日の12時55分ごろ、銀色の道具を持ったあやしい人影が……何者だろう、そう思った次の瞬間、消えていた。忍者?それとも私は幻を見たのだろうか……

キノコ速報

2010-05-25 23:47:57 | キノコ
5月25日
場所:あちこち
環境:緑地公園(常緑・落葉広葉樹林)

結果:チョロっと

コメント:探すとこ探せば小型菌がそこそこ生えてる。谷筋の材上を狙えば、ウラベニガサ類、クヌギタケ類、キクラゲ類などを中心に期待が持てる。地上ならオチバタケやカレバタケ、ヒトヨタケの仲間も狙えるだろう。わずかながらベニタケ類、テングタケ類の姿も……

前回の答えは③とうちゅうかそう と⑤まいたけ でした。

冬虫夏草が載ってないのは意外。他に載っていたのは きくらげ、マッシュルーム、さるのこしかけ。霊芝や粘菌、イグチなんかもあってよさそうなもんだけど、載ってなかった。意表をついてシャグマアミガサタケなんかが載ってるかもしれないから、ヒマな人はチャレンジして欲しい。

新解さん 追伸

2010-05-24 23:37:28 | キノコ本
しめじ〔湿地または占地の意という〕山林に群がって生える小型のキノコ。灰色で、柄は下部が太くて白い。食用。〔マツタケ科〕「千本―」 かぞえ方 一株

マツタケ科?一体いつの分類群なんだか(今はキシメジ科)。ホンシメジのことを指していると思うんだけど、ホンシメジって小型だったっけ。

ちなみに、広い意味での「シメジ」はいろんなキノコの名前につけられているけど、あんまり法則性はないような。多少の例外をのぞけば「地上に生える、標準的な形のキノコにつけたくなる名前」ってところか。

多少の例外……ブナシメジ  よりによってお前かブナピー。木に生える。
          ニオイオオタマシメジ  ハラタケ科ではこいつだけ。形も標準には遠すぎ

……ついでに他のキノコも調べてみた。

まつたけ【松茸】秋、主として赤松の林に生えるキノコ。かさの上面は濃い茶色で独特の香気がある。キノコの代表として珍重される。〔マツタケ科〕〔愛知・岐阜、近畿・四国の方言では「まったけ」、雅語形では「まつだけ」〕 かぞえ方 一本

しいたけ【椎茸】シイ・クヌギなどの枯れ木に生え、また盛んに栽培されるキノコ。柄が短く、かさは黒茶色。食用。だしを取るのにも使う。〔マツタケ科〕 かぞえ方 一枚

えのきだけ【榎茸】エノキ・ヤナギなどの幹に生え、また栽培もされるキノコ。かさは黄茶色で、柄は細い。食用。えのきたけ。〔マツタケ科〕 かぞえ方 小売の単位は一把・一束

なめこ〔「滑子」の意〕ブナなどの枯木に生え、また栽培もされるキノコ。色は茶色で、ぬらぬらしている。食用。〔マツタケ科〕「―椀・―おろし」

……やっぱ全部マツタケ科になってる。ナメコはモエギタケ科だから全然グループ違うし……でも他の記述は、かなりマトモ。当たり前か。ぬらぬら……

さて問題。このなかでこの国語辞典に記載されていないものが二つある。どれとどれ?
①はつたけ
②トリュフ
③とうちゅうかそう
④しょうろ
⑤まいたけ

答えは後日。

『都会のキノコ図鑑』

2010-05-20 20:14:26 | キノコ本
『都会のキノコ図鑑』大館一夫・長谷川明 監修

簡易的な図鑑と親身なキノコ講釈という構成でなかなかの出来ばえであった『都会のキノコ』の続編とも言うべき本。本書は純粋な図鑑という形での出版だ。

図鑑としての作りはバリバリの硬派で実用重視。各キノコに対する記述は簡潔で要点を押さえており、キノコ写真も複数枚を載せることでより実用度をたかめている。ときには胞子の検鏡写真もまじえるなど、レベルの高さが随所にうかがわれる。とにかくまじめな作りの本、まさしく「誠心誠意」の言葉がふさわしい図鑑だと言える。

ただ、そのマジメさが災いしたか、せっかくの「都会のキノコ」という好題材を生かしきれていないのが心残り。たとえば都会の公園にキノコがはえている風景写真を合間に織りこんでみるとか、ウッドチップキノコ特集を組んでみるとか、キノコ写真の背景に人や車やガードレールなんかが映りこんでいるっていうそれだけでもいい、『都会の』という部分を感じさせるものが欲しかった。

それともうひとつ、作りがストイック過ぎるんじゃないかと。せっかく自分の手で図鑑を作れるチャンスが巡ってきたんだから、もうちょっと趣味的な作りにしちゃってもバチは当たんないでしょ?少々カタチ崩しちゃってもいいから、もっとキノコ愛を開放して(?)遊べば良かったのに……とも思った。

ま、そんな私個人の注文はさておいても、数あるローカルキノコ図鑑の中でもかなり気合の入った労作であることに違いはない。見事なものだ。

菌類とは

2010-05-19 22:37:47 | キノコ本
菌類とは……えーと、分類学的に「菌界」に属する生物群のこと……って、全然説明になってへんな。

あちこちの本にそれなりのことが書かれていて、だいたいおおまかなことはわかるんだけど、定義っていうと、なかなかまとまった形では書かれていない。もうちょっとアカデミックな本があれば別なんだろうけど……

正確かどうかは別として、『朝日百科 キノコの世界』にかかれているのがシンプルにまとまっている。
――『体が主として多数の細胞からなり、その各細胞はしっかりした壁(細胞壁)で囲まれるが、全体としてはあまり分化せず、その各細胞の内部には1個以上の核があり、光合成要素を欠き、吸収により栄養をとる生物』

って、なんかわかったような、わからんような。とりあえず
①光合成しない
②細胞壁がある
③細胞が連結した菌糸体を本体とする(細胞1個からなるコウボみたいなのもある)

あたりは間違いのなさそうなところだ。

ちなみに菌糸というのが、きわめてシンプルでありながら、けっこう独特の性質を持つ組織であるらしく、細胞分裂や生殖方法なんかも含めて「オモロイなー」と思うところが、個人的には多々ある。ただそれは、高校生物で苦痛を感じながら暗記した「げんすー分裂」とか「ゆーせー生殖」とかいう(一見ムダとも思われる)知識があるからであって、そういう勉強をしていない人にはチンプンカンプンなことだろう、とも思うので、ここでは割愛する。(勉強したい向きは『都会のキノコ』大館一夫 著 がオススメ)

生態学的には、有機物を無機物へ分解する「分解者」としての役割を担っている、とされている。まあ分解ってのは、消費との境目がけっこう曖昧だし、例外も多かろうから、これを菌類の定義とは言いづらいけど。それでも菌類というひとかたまりの生物群としては、「分解」が重要な性質であることに違いない。

えーっと、ちなみに「細菌」というのは同じ「菌」がついていても、キノコやカビ、コウボといった「真菌類」とはまったく遠縁の、別個の生物群だそうだ。……知らんかった。ただ、生活用語として「菌類」という言葉を使う場合、どちらかというと「細菌」のことを指しているように思う。

結論。個人的な感覚で言ってしまうと、菌類ってのは

「植物ではないし動物でもない、下等ではないが上等ともいいきれない、はっきりしない連中」ということでよかろうと思うのだが、いかが。(……こんだけ調べといて結論はそれかよ)

新解さん菌解さん

2010-05-17 21:29:24 | キノコ本
きんるい【菌類】
葉緑素を持たない ごく下等な植物のうち、キノコ・カビ・酵母などの総称


……ああ、もう、だから植物じゃないってのに!

「ごく下等」というのも気に食わん。草や木にくらべりゃ構造はたしかにシンプルだけど、生き物としての設計コンセプトが根本的に違うもんね。チンパンジーとヤンバルテナガコガネの美人比べするみたいなもんで、高等か下等かなんて、まったく意味ないもん。

あと、この書き方だと、細菌類はあぶれちゃう。どちらかっていうと人間にとっちゃこちらの方が菌類の主役だと思うけど。まったくもう、ダメだね~。

かつて『新解さん』と呼ばれ勇名を馳せた(その個性を分析した『新解さんの謎』という本が出版されたほどだ、この本はオススメ)国語辞典だが、理系分野に関しては、どうも勉強不足が露呈しまくっているようだ。

でもよくよく考えると菌類の定義って難しそう。ちょっと調べてみよっかな。

『新明解国語辞典 第六版』

2010-05-14 21:05:15 | キノコ本
きのこ【菌】〔木の子の意〕湿った所や木の皮などに生える胞子植物。柄とかさが有り、胞子で増える。例、マツタケ、シイタケ。「―狩り・―雲」 表記「蕈・茸」とも書く。かぞえ方 一株

おいっコラッ!
国語辞典にしてその認識の浅さ、いくらなんでもあんまりじゃないか!

湿った所や木の皮などってのはいいとしても、胞子植物ってナニ?いつの言葉?しかもキノコが生物本体みたいな書き方がしてある。キノコは胞子バラまくための一器官だよ!さらに「柄とかさがあり」に至っては涙が出てきそうになる。キクラゲがキノコだって知ってる?(海洋生物だと思ってる人が結構いる)パフは?チャワンは?

一般人のキノコに対する認識って、こんなもんか……

次の改訂版を出すときに全面的に見直すよう提案してみよう……きのこ人の名にかけて!

『きのこ 森の妖精』

2010-05-09 00:07:42 | キノコ本
『きのこ 森の妖精』藤澤寿 著 谷川俊太郎 詩・編

その妖しい形状からか、はたまた神経毒のせいか、キノコは幻の中に舞う妖精を連想させるものであるようだ。むろん、現実の世界でシイタケを見たとしても、想像できるのはおよそ妖精とは似ても似つかない(たとえばスターウォーズに出てくるヨーダが型崩れしたような)ものであろうけれども。それは、多分現実にキノコを見てしまったからだ。キノコに現実を見てしまったからだ。

キノコを媒介としてファンタジーの世界にひたるには、現物のキノコを見てはならない。それには、あれを、そうだ、キノコの幻を 見ね……ば……


キノコ ちいさな

ひかり やみに

アリの憲兵 露の一夜

見あげるか そのこころを

そしてそこにあるのは 詩か


……ハッ。私にはここまでが限界のようです。私は現実のキノコとそこに巣食う崩れヨーダに心奪われし者。これ以上幻想にくみするわけには参りません。あなたがあなたの幻想へと参られるというのなら、あえてお止めはしませんが。でも心してください、キノコを介してあなたの魂が妖精と出会うとき、その現実において身体は少しずつ蝕まれていくということを。

そう、薄水色の悪魔の手によって。


……妄想モード解除。
谷川俊太郎氏の詩が数偏に、名だたる作家の作品に登場するキノコの断片がいくつか。そして、名も無き極小キノコたちの写真。どのような経緯で作られたものか、このようなキノコ本も珍しい。なんだかよくわからん縁というヤツが菌糸はびこる地下でイタズラをした、その賜物なんだろう。

さぞかしピント合わせが難しかったろう、というのはキノコ写真を撮る身としての評。

『なめこインサマー』

2010-05-03 21:08:50 | キノコ本
――ファミレスに行く。ファミレスは今まであまり行くことがなかったが、ファミというだけあり、子どもから老人までフォローするメニューはみごとである。
老人メニューのひとつ、なめこそばを頼む。娘には子ども用のケチャップ色したセットのやつ。
食べる前にいってほしいものだが、それぞれのものを食べ終わったあと、娘が、
「私もなめこが食べたかった!」
と悲しい顔をした。
子どもの好き嫌いは、小さいうちはあっという間に変わっていくものらしいが、最近はキノコではなめことしいたけが好き、しめじとマッシュルームが嫌いなのだという。
じゃあ今日のおやつはなめこにしよう、と冗談でいうとニッコリうなずいた。
本当かよ、と思いながらスーパーでなめこを買う。
さて、おやつなのでそばをゆでてやることもないだろうと、とりあえずめんつゆを少し用意した。なめこをさっと湯通しし、めんつゆであえる。それだけだ。汁が少ないしぬるいので、なめこ汁ですらない。
一、二個試食をして見たら、あたりまえだがめんつゆの味のただのなめこだった。
喜んで食べましたね、娘は。
これがある夏の日の午後四時ぐらいのおやつである。本人は満足そうだった。

……「吉田戦車の珍ごはん なめこインサマー」より

さすが吉田戦車、笑わせてなおかつ寂しげな余韻を残すそのワザは、漫画ばかりでなくエッセイにも発揮されてあまりある。

それにしても表紙のなめこ男爵(知らん。わたしが勝手に名づけた)の造形もみごとであるなぁ。