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今回の旅は、ゲージツの薫り高い上野をうろうろすることをメインにおいて、
昨日はトーハクをメインに見学して回りましたが。
本日、11月19日は、
東京芸術大学付属博物館にて皇室の彩(いろどり)を観にいくことに。
いや、せっかく上野っていうか東京へ行くのに、
あとなにか面白いものはないかなって思っていたら、
ごくごくご近所の藝大で、こんないいもんがあるって知ったので。
便乗見学、もしくは、博物館のハシゴです。
実はフライングというか芸術の秋にふさわしいテレビ番組で、
あちこち特集されていて、結構見ていたので「別にいいかなー」って
思ったんだけど。
すでに内容はどんなものが出ているのか知ってはいるものの、
実物を見るのはまた違う感動があるだろうし。
ってことで行くことに。
昨日は、トーハクおそるべしで、チケット買うのにあんなに並び、
入る段階でまたまた並びしたので、
今度こそはタイムロスをなくすために、
チケット屋さんで仕入れてからいこうと思ったら、
それも売り切れで叶わず。
どうしたもんかと思っていたら…。
なんか良いモノがあるではないですか!
その名も公式オンラインチケット
スマホから買って、スマホ画面を提示すればそのまんま入れるってすぐれもの。
おお、これだってことで早速購入。
とりあえずチケットもゲットできて当日朝会場へ。
一時間前についてみれば私の前は十名ほどが並んでいるのみ。
そういえばここは、チケット売り場が門(というか、自動ドア)の中で、
一列に並んでいる人はチケットを持っている人も、
これから買う人も、同じ列に並んでいるようでした。
ま、私はチケットレスのオンラインチケット持っていますから、いいんですけどね(フン)
時間が来て、建物入りしたのは早かったし、チケットも買わなくていいんですが、
ロッカーに荷物を預けていたら、どんどん後ろの人に抜かされてしまい、
会場入りは一番ではありませんでした(そんな目的じゃないだろー)
今回の展覧会は、藝大創立130周年の記念展示。
『この度、東京美術学校を継承する東京藝術大学の創立130周年を記念し、
特別展「皇室の彩 百年前の文化プロジェクト」を開催することとなりました。
大正から昭和初期にかけて、御即位や皇室の方々の御成婚などをお祝いするため、
当代選りすぐりの作家たちが各自の技量を発揮して献上品を製作しました。
このように献上品制作の他に、皇室による作品の御買上げ、宮殿の室内装飾の依頼などは、
伝統技術の継承と発展につながる文化政策の一面を担っており、
皇室は文化振興と深い関りをもってきました。
大正十三年(一九二四)の皇太子(後の昭和天皇)御成婚に際しては、
絵画、彫刻、工芸の各分野を代表する作家たちが参加し、飾棚、棚飾品、画帖などの
献上品を製作する国家的な規模の文化的プロジェクトが企画されました。
その際の立役者として采配を振るったのが東京美術学校の五代校長・正木直彦です。
この時製作された作品は、この時代の美の最高峰とうたわれています。
しかし、献上された後は宮殿などに飾り置かれていたため、
一般の人の目に触れる機会が極めて限られてきました。このプロジェクトについても、
今ではあまり知られていません。
本展では、宮内庁に現存する作品によって、この知られざる文化プロジェクトを中心に、
東京芸術学校ゆかりの名作や資料類もあわせて紹介いたします。
皇室献上後、皇居外で初めてこうかいされる作品を含む優品の数々を通して、
百年前の皇室が支えた文化プロジェクトの精華をお楽しみください。
皇室の御慶事に際しての献上品の制作は、制作者にとって最高の栄誉となり、
伝統技術の継承と発展につながる文化政策の一面を担っていました。
本展では、宮内庁に現存する作品とともに、その制作にまつわる作品や資料が紹介されます。
また、東京美術学校を継承する東京藝術大学の創立130周年を記念して、
東京美術学校にゆかりある皇室に関わる名品の数々も展示されます。
横山大観、上村松園、安田靫彦、高村光雲、六角紫水など、
皇室献上後、皇居外で滅多に公開されない作品も鑑賞することができます。』
図録冒頭・ごあいさつより
つまり、ここに並んでいるものは、皇室に献上されたものが大半ってことで、
世が世なら(今でもだけど)見せていただけるものではないわけで。
それが、目の前に並ぶっていうプライスレス!
飾り棚に指をかけて、にこやかにほほ笑む香淳皇后の写真。
(会場で見たのか、図録にあるのかちょっと記憶があやふやだけど)
その飾り棚の実物が目の前にあるという奇跡。
おお、なんということでしょう。
わたし、香淳皇后と同じものを見ているのね…。
それだけでポヤンとしてしまいます。
そして当の飾り棚だってものすごい手がかかっています。
普通見えない部分…棚板の裏面や、壁際に置けば見えなくなってしまう背面も、
すべて蒔絵が施されています。
どこから眺めても、完璧。
さすが、これが制作者の心意気なのね。
わたしの目には確認できなかったんだけど、
実際に使用していた証として、正面と裏面では、
前面の方は色が若干褪せているのだとか。
畏れ多いけど、この棚に乗っていたであろう、
春柄と秋柄の刺繍による装飾を施した写真立ては本当に愛らしく、
レプリカでもあればほしいくらい。
(しかし、その中にはどんな写真を飾るというのだ?私の写真では勿体無いぞ)
「裁縫箱並ニ道具」では、ハコは源氏物語中の和歌を主題にした自然物と
歌文字を散らしているのが見事。
でも私はその中にあった定規に目を奪われました。
見た目は「撥鏤尺(ばちるのしゃく)」によく似た紅の定規で。
美しい!
似た文様のプラスチックの定規(笑)は持っていますが、
本物はやっぱり美しいなあ。
写真立てと裁縫箱のお写真はこちらを参考に
こんな素晴らしいものに囲まれているのね>皇室の皆様。
まあ、こんな素晴らしいもの、ウチにあっても、
ハコ(家)とのバランス悪すぎで、活きないでしょうし。
横山大観の富士と太陽を描いた『日出所日本』
金堂壁画に見入る洋装姿の男女を吉村忠夫が描いた『法隆寺』
こんなものが”自宅”に飾ってあるなんて、
フツーのウチじゃ無理ですしね。
わたしは図録買って、それで我慢がまんです。
皇室に献上するからと、全身全霊をかけて製作された工芸品・美術品。
逆にそれらの伝統工芸を守る人の生活と手わざを、買い上げという形で支援した皇室。
それらを見せていただけるわたし(たち)。
いい時代です。
それこそ、皇室に献上された品は作成したご本人であっても、
二度と目に触れることはないことが大半だったでしょう。
それが、チケット買えば、だれでも見られるようになったんですもの。
ああ、なんということでしょう★
上村松園の『雛祭』ってすごく気に入ったので絵葉書を買いましたが、
これだって皇居の中で大切に収蔵されてきたものの一つ。
松園自身だって、収めた後はみることも無かっただろうし。
良いものを見せていただきました。
ゲージツの秋を堪能した二日間でした。