東京芸術大学で「
興福寺仏頭展」をやっていると聞いて、ヒトっパシリ行ってきました。
(走ったのは電車で、私は乗っていただけ、だがね)
当日は”
藝祭”なる学祭をしていて、キャンパス内は大変にぎやかでした。
普段は敷居が高くて入れないところまで、入っちゃいましたし、
模擬店でジャージャーメン食べたりもしましたよ。
って、そんなことはどうでもいいのだが。
「興福寺仏頭展」である。
これ、
奈良検定の勉強をしていて、仏塔に関する記事を探していて知ったのだけど。
何が幸いするかわからんもんで。
しかし、仏頭でしょ、わざわざ上野まで行って見なくても…。
とかとか思っていたんですよ、行くまでは。
でも断言する。
これを国宝館で、何度も、何十回も、何百回も見ている人でも、
ここでの感動はまた別物だから!
見たほうが良いです。
絶対に!
会場は
上野の芸大美術館の地下二階と地上三階部分を使っての展示。
平日だったから人も少なめで(それでもそこそこの入りだけど)、
ゆったりしていて見やすかったです。
今回の目玉はもちろん「旧山田寺本尊仏頭」だけど、
国宝板彫十二神将像が十二枚まとめて出陳なのと、
国宝木造十二神将立像が堂々のそろい踏み!
さらに同期生(?)としての深大寺釈迦如来椅像もお出ましとなれば、
白鳳ブツが大好物な人としては外せないラインナップ。
二次元と、三次元の十二神将、あなたはどちらがお好み?
(なんのこっちゃ)
国宝板彫十二神将像は興福寺国宝館でも見られるけど、
すべてを並べて展示してるもんでない。
それが一堂に会するってんだから、それだけでもスゴイではないですか。
どうやら「板彫十二神将」は東金堂の本尊の台座の四方を、
ぐるりと囲んでいたのではないかという研究がなされたので、
今回は四方に三枚ずつ配置してその当時の雰囲気を出しての展示となっています。
が!
これめっちゃ受けた面があります。
名づけて(あたしが勝手に命名した)「右ナナメ眺め隊♪」
「毘蝎羅(ビカラ)」「珊底羅(サンテイラ)」「波夷羅(ハイラ)」 の皆さんが、
向って左足元方面を眺めているんですの、全員が>ゆえに、「右ナナメ眺め隊♪」
雰囲気は→
こんな感じ(全然違うけどね)
(あ、波夷羅が向かって右端だったのは確かなんだけど、
あとの二人(?)がそのお名前だったかはあやふやだ←ダメじゃん。
これから行く人は、よく見て、メモって来て教えてくださいませ)
※punipuniさん、チェックありがとう!(謝謝)
その揃った姿がなんともワタクシのツボに入って思わず会場で爆笑。
(この様子が、絵葉書とか、グッズとかで売っていたら買ったのになあ)
なかでも「ハイラ」さんの鼻が「ブタ鼻」なんですよ、マジで、豚の鼻。
ブヒブヒ。なぜに豚バナ?
とかとか変なところに目が行く困ったアタクシ。
個人的には「迷企羅(メキラ)」さんの筋骨隆々の足とか、
「摩虎羅(マゴラ)」さんのクルクルパーマとかも気に入った。(この人も豚鼻だった)
そうそう、波夷羅&摩虎羅のおふたりの足元はフリル付きブーツ・リボン付き、
というおしゃれさなのに(?)、鼻は豚鼻なんですのよ。
(なんでそんな所にしか着目できんのだ、君は)
では、写実的な表現ということに着目すると、迷企羅さんの足は筋骨隆々。
裸足の右足で地面を踏みしめて、左ももを上げて足の裏をこちら側に向ける。
この右足の甲の筋が非常に力強い感じを与え、ふくらはぎからふとももにかけての
筋肉の動きも巧みに表現してます。
(→
ここの10番がメキラさん)
そしてなんといっても、左足の裏!
偏平足にならず、踵と指の表現も肉感的で、
少し窪んだ土踏まずなんて無防備にこちら側に向けているのをみると、
コチョコチョコチョ~とかくすぐってみたくなってしまうのは私だけか?
(って、結局そんな感想になるのかい)
あんまりウケたのでその台座風展示の周りは二周してしまいましたよ。
途中「キセル?」「ビリヤードのキュー?」とか囁かれていた、
アニラ大将が細長いものを持ったポーズですが、
あれは手にした矢が反ってないかのチェックしているお姿です。
(→
ここの8番がアニラさん)
※鏃の造形が脱落したんでしょう、棒だけになっているのは。
ということで。
板彫十二神将像も感動もの(着目点が違うけど)だったけど、
次はいよいよ木造十二神将像です。
薄暗い会場に入ると………。
オオオオオオオオオオオオ。
海洋堂のフィギュアかと思った。
(作ってくれたら売れると思うなあ)
左右に六体ずつ、合計十二体を配し、その一番奥にかつてのご本尊・仏頭サマ。
この光景が実にいいのだ~。
普通お寺の須弥壇だと奥行がない場所に横長で配置されることが多いけど、
今回は奥行が深くて、左右の仏像が少しずつずらしてジグザグに配置され、
奥の本尊さまは見通せるし、普段は重なってゴチャっと安置されている十二神将が
広々とした空間で、独立した像のように立っているので見やすい。
しかも、どの像も360度ぐるっと周囲を回れるようになってます。
十二神将さまは丸いサークルの中に立っていて、観覧者はその周りをぐるぐる回る。
もちろん後頭部も背中も見放題です。
それは仏頭につても同様で、普段は正面からしかみえないお顔も、
ぐるっと後ろに回ると、痛々しい後頭部の欠損も、左耳の陥没も見えます。
左のこめかみの”パッチ”も間近で見えます。
白鳳の貴公子 どのお顔が好き?などという私好みの質問があったけど、
確かにこの被災で頭部が歪み、右と左の顔が若干違うようです。
ちなみに私は右斜め四十五度(滝川クリステルとは逆)の
”右斜めからの横顔B”が一番好きです。
今回の展覧会の名前は『国宝興福寺仏頭展』ですから、
もちろん仏頭サマは、この展覧会の主役。
あちこちに「(仏頭は)山田寺の旧本尊を興福寺に
移したものです」等々、
異口同音に書いてあったけど、なんか釈然としない。
さすがに仏頭くんの脇の展示メモには、
「興福寺の僧衆が山田寺から強奪してきたものです(大意)」と書いてありましたけどね。
そうそう、奪取してきたものですからね。
言葉を置き換えちゃダメダメ。
そして最後の部屋には白鳳期の同期生、東の横綱、深大寺の釈迦如来椅像。
このかたも、明治末期に元三大師堂の本尊壇下から発見されたんだとか。
(そんなところにも類似性が…)
深大寺に行ったとき、実際にガラス越しで対面できたことはあったものの、
今回は後ろに回り込んでのガン見もOKという破格の待遇(?)
後頭部&背中フェチとしてはたまらないものがあるけど、
一番気になったのは、その台座。
釈迦像が腰掛けている箱がいやに美しい文様が入っているのです。
えええー、これなんだ?
と思ったら、正倉院御物の模造を手がけた工芸界の第一人者だった
吉田包春の作だそうで。
作られたのは大正2年(1913)というからそんなに古くはないのだけど、
こんなところにこんな美しいものが隠されていたとは…。
これだから、出開帳はたまらんのだのぉ。
二時間堪能させていただきました。
なんて贅沢な空間だったんだー。
現地で見るに勝るものなしと思ってたけど、
出開帳ってのもいいもんだなあと思わせてくれる展覧会でした。
このおでましが、またまた再建金堂の瓦代になるんだろうなあ(ウハハ)
眠れる興福寺、目覚めるって感じ?
もう一回行ってもいいかなーって思うくらいの満足度です。
(近所だったら、必ず行くなあ)
近郊のかたは是非ゼヒ、遠方のかたも是非(笑)
白鳳の貴公子とふた組の十二神将を満喫してくださいませ。
(その他の出陳品も要チェック)