平成22年の正月も無事終わり、奈良検定も受け、鏡開きも済んだので、
今年初のお写経に行ってきました。
去年「丑年」のお札を受けたので、今年は「寅年」のお札を…と
思っていたにもかかわらず、奈良検定が終わるまでは動くに動けん。
ようやく受験(だよね)も済み、自分の誕生日も済んだので
薬師寺東京別院へ行ってきました。
(単にお寺よりもピューロランドを優先しただけさ★)
そんな本日は、1月12日。
12日といえば薬師縁日です>東京別院の場合。
こいっぁ~春から縁起がいいやってなもんで、行く気満々でしたが。
当日になってみれば雨、かつ寒い。
しかし、前々から予定していたし、なんといっても今年のお札がまだ無い。
なので寒空の下、傘さして、ダウンコートを着込んで行って来ましたよ。
一時からの法要を前に別院入りしたのですが、ものすごい人ひとヒト。
思えば私、薬師縁日に来たことがありません。
今年最初が人生初でもあり、どきどきです。
とりあえず空いていた席を確保して、ヒトの振り見て我が振りとす。
「ではこちらに座っている方~」
と声をかけられて動く人の波にいれてもらい、行った先はお経の山。
折本の表紙には「大般若波羅密多経」と書いてあります。
それをウヤウヤシク受け取って、胸に抱き、席へ戻ります。
もしかして、これ読むの?
ピンポーン!正解です。
げげげー!
しかしですね、ずぶの素人がそんなものをスラスラ読めるはずもなく、
「転読」するのに手元に配られたのでした。
転読ってあれですね、本買ったまま山積みにしていくの
>ってそれは、積読(つんどく)!
※って関西人っぽいひとり突っ込み。
正しくは、経典を左手から右手へ扇状に開いてぱらぱらぱら~っとやり、
「読んだことにする」アレです。
薬師寺の本家(?)の方では見たことはあるのだけど、
まさか、自分がそれをやることになろうとは…。
お時間が迫ってきたら、その練習をする時間もちゃんと設けられていました。
折本を開いて一番最初の題を「だ~いはんにゃあ~はらみたきょぉーう…」
第なん巻というのを読むのだけど。
それぞれ手にした経典の巻数が書かれているので、それを読み上げると。
で。
私のいただいた巻数は
「三百三十三巻」
あのさ、いくら昨日私が誕生日だったからって、
そんなにゾロ目じゃなくてもいいもんでしょうよ。
(ま、ちょっとうれしかったけどサ)
この経典は全部で六百巻。
各自が手分けして、それぞれの巻数を読み上げて読了とする。
この経典の印刷は京都のどこそこってところで行われていて、
そこでしか刷っちゃいけないものなんだそうな。
昔の印刷ってのは、主に経典刷りだったってそういえば、
書誌学でやったっけ(遠い過去)。
しかも、お経を刷る時は、全巻まとめて刷らなくてはいけなくて、
一巻だけ失くしてしまったから、そこだけ刷ってくれってのは
できないんだとのこと。
「だから、終わったらさっさと回収するんですよ~。
記念に持って帰っちゃダメですからねー」
爆笑の渦です。
で、一時から管主様による法要。
途中からは「みなさまご唱和ください」のコーナーも。
お写経の朱印帳は持ってきたけど、薬師寺の勤行集を
持ってくるの忘れたうっかりハチベエの私。
仕方なく周囲の人の唱えるお経に耳をそばだてておりました。
その後、みなさんご参加による、大般若経の転読。
高く掲げた左手から、胸の前の右手に向けて、バラバラバラ~っと。
扇を広げるようにして、お経を左から右へと流し読み。
このとき起こる風に触れるだけでご利益があるんだとか。
ああ、ありがたやありがたや。
法要の後は法話。
それにしても、坊様、特に薬師寺の坊様は話がうまい。
話がうまいというか、口がうまい(笑)
まあ、それだけで西塔を建て、金堂を建て、大講堂を建て、
回廊をめぐらし、玄奘三蔵院を建てたんだから。
「金があったら幸せかっていうとそうとは限りません。
金なんて、薬師寺の写経に払う程度の金があったらええんですよ」
ドッカーン。
「苦に病むな世情に金は撒いてある欲しけりゃやろう働いてとれという句があります。
でも、本当にあるんでっせ。原っぱで棒を振り回して一億円もろた若者がいますよ。
誰やと思います?いしかわりょう、いいまんねや」
ドッカンドッカン。
ふふふ。
薬師寺の坊様はこうでなくてはいかん。
爆笑続きの長めの法話(笑)の後は、
管主様自ら念をこめたお札の授与をやってくださるというので、
どうせならばそこでゲットするべとお札売り捌き行列に並びます。
寅年のお札と、吉祥天さんのお札を無事管主様からお受けしました。
そして、本日は年の初めの薬師縁日ってことで、
なんと東京別院にも吉祥天さんがおでましになってました。
奈良の薬師寺では吉祥天さんに会えるんだよね~なんて
思っていたら、東京にもおでましとは。
せんとくんなみの、各地出没の術(謎)
そのまん前で手を合わせてじっくりお顔を拝することもでき、
ああ、雨の中来た甲斐があったなあと。
その後、抹茶のご接待を受けたあと、ようやく写経へ突入。
今回は3階の写経所ではなく、どうせなら吉祥天さんの前で
写経したい!ってことで、さっきまで法要が行われていた堂へ。
吉祥天さんがよく見える場所に陣取って、まずは墨をすりすり。
嗚呼、なんて贅沢なんだー!
こりゃ奈良の薬師寺にいてもできないことざんすよ。
墨をするうちに何故か涙がポロリと。
先日亡くなったうちの猫と、不調のダンナのために、
一生懸命写経させていただきました。
字がキレイになったらしようなんていっていたら一生できひん。
心が落ち着く状態になったらなんていっていたら一生できひん。
とりあえず、写経をしようと思い立った時が、書きどき。
きったな~い字でしたから、まあ、吉祥天さんも笑っていたことでしょう。
勘弁してちょー。
今年初めて「奈良」な体験でした。