近年趣味としている直木賞の予測、2024年1月17日に結果が発表されますが、それに先んじて候補作6冊を読んで検討してみました。
河﨑秋子著『ともぐい』新潮社
今回は、この作品を1冊目に読みました。
感想としては、他にこれをしのぐものがなければこれが受賞作になると予想しました。
動物の描写が秀逸で、スケールが大きい話です。
2022年下半期の直木賞受賞作千早茜の『しろがねの葉』をほうふつとさせる作品だと思いました。
加藤シゲアキ著『なれのはて』講談社
登場人物の把握が難しかったです(個人の感想です)。
昆虫(蟻地獄、カマキリ)の描写が秀逸なのと、いろいろなことをよく調べて書いているという印象です。
以前読んだ『傘を持たない蟻たちは』もよかったです。
どちらの作品も昆虫の視点が見られるという共通点があります。
大作家の片りんを示していると思います。
島津輝著『襷がけの二人』文藝春秋
波乱万丈な女の一生(半生)が描かれている作品です。
性器の描写がおもしろかったです。
万城目学著『八月の御所グラウンド』文藝春秋
二つの作品が収められています。
「十二月の都大路上下(かけ)ル」はまず、タイトルが京都の住所表示の「上ル」「下ル」とかけていて面白いと思った。
実はこの書を読んだのはちょうど高校女子駅伝大会の当日および翌日であったが、物語でも高校女子駅伝の当日と翌日が描かれていたため、臨場感もありおもしろい読書体験となりました。
もう一つの作品「八月の御所グラウンド」は沢村栄治投手が出てきて意外な展開でした。
どちらもわかりやすく読めました。
宮内悠介著『ラウリ・クースクを探して』朝日新聞出版
力作であることはわかりました。
幼なじみとの再会や歴史上の人物ではない人物についての物語でした。
なかなか触れることのない国エストニアについての小説です。
村木嵐著『まいまいつぶろ』幻冬舎
江戸時代第9代将軍徳川家重についての書です。
家重は障害を持っていたが長子のため将軍に就任しました。
物語の中に出てくる、木曽の三川の例えがおもしろいと思いました。
言葉を使わぬコミュニケーションについても至言がありましたが、全体的に直木賞受賞とは思いませんでした。
ちなみに高校時代の日本史の授業で徳川家重について習ったかどうかすっかり忘れてしまっていましたが、山川出版社の『日本史用語集』(改訂版)(2020)
によると、以下のような記述がありました。
(参考)
徳川家重(とくがわいえしげ)1711~61 9代将軍(在職1745~60)。吉宗の長男。言語が不明瞭で、彼の意を理解できた御用人大岡忠光(ただみつ)の専権を許し、吉宗の施政が後退した。(p.189)
ということで、今回の僕の直木賞受賞作の予測は
河﨑秋子著『ともぐい』新潮社
です。
ちなみに芥川賞候補作については、以下の2作品のみ読みました。
安堂ホセ著『迷彩色の男』河出書房新社
男性の同性愛者の話でした。
共感を持つのはやや難しく感じましたが、恋愛感情は異性愛と同じことが描かれています。
三木三奈著「アイスネルワイゼン」(『文学界』2023年10月号)
いかにもありそうな現代の人間関係、言葉のやりとりがごく自然な流れで書かれています。
芥川賞候補はあと3冊ありますが、読めていませんので予想はしがたいのですが、「アイスネルワイゼン」は受賞可能性があると感じました。
以上、勝手な意見を書きました。
前回の直木賞予測についてはこちら。
第169回直木賞予測間に合わず - 山内 圭のブログ(Kiyoshi Yamauchi's Blog)
河﨑秋子著『ともぐい』新潮社
今回は、この作品を1冊目に読みました。
感想としては、他にこれをしのぐものがなければこれが受賞作になると予想しました。
動物の描写が秀逸で、スケールが大きい話です。
2022年下半期の直木賞受賞作千早茜の『しろがねの葉』をほうふつとさせる作品だと思いました。
加藤シゲアキ著『なれのはて』講談社
登場人物の把握が難しかったです(個人の感想です)。
昆虫(蟻地獄、カマキリ)の描写が秀逸なのと、いろいろなことをよく調べて書いているという印象です。
以前読んだ『傘を持たない蟻たちは』もよかったです。
どちらの作品も昆虫の視点が見られるという共通点があります。
大作家の片りんを示していると思います。
島津輝著『襷がけの二人』文藝春秋
波乱万丈な女の一生(半生)が描かれている作品です。
性器の描写がおもしろかったです。
万城目学著『八月の御所グラウンド』文藝春秋
二つの作品が収められています。
「十二月の都大路上下(かけ)ル」はまず、タイトルが京都の住所表示の「上ル」「下ル」とかけていて面白いと思った。
実はこの書を読んだのはちょうど高校女子駅伝大会の当日および翌日であったが、物語でも高校女子駅伝の当日と翌日が描かれていたため、臨場感もありおもしろい読書体験となりました。
もう一つの作品「八月の御所グラウンド」は沢村栄治投手が出てきて意外な展開でした。
どちらもわかりやすく読めました。
宮内悠介著『ラウリ・クースクを探して』朝日新聞出版
力作であることはわかりました。
幼なじみとの再会や歴史上の人物ではない人物についての物語でした。
なかなか触れることのない国エストニアについての小説です。
村木嵐著『まいまいつぶろ』幻冬舎
江戸時代第9代将軍徳川家重についての書です。
家重は障害を持っていたが長子のため将軍に就任しました。
物語の中に出てくる、木曽の三川の例えがおもしろいと思いました。
言葉を使わぬコミュニケーションについても至言がありましたが、全体的に直木賞受賞とは思いませんでした。
ちなみに高校時代の日本史の授業で徳川家重について習ったかどうかすっかり忘れてしまっていましたが、山川出版社の『日本史用語集』(改訂版)(2020)
によると、以下のような記述がありました。
(参考)
徳川家重(とくがわいえしげ)1711~61 9代将軍(在職1745~60)。吉宗の長男。言語が不明瞭で、彼の意を理解できた御用人大岡忠光(ただみつ)の専権を許し、吉宗の施政が後退した。(p.189)
ということで、今回の僕の直木賞受賞作の予測は
河﨑秋子著『ともぐい』新潮社
です。
ちなみに芥川賞候補作については、以下の2作品のみ読みました。
安堂ホセ著『迷彩色の男』河出書房新社
男性の同性愛者の話でした。
共感を持つのはやや難しく感じましたが、恋愛感情は異性愛と同じことが描かれています。
三木三奈著「アイスネルワイゼン」(『文学界』2023年10月号)
いかにもありそうな現代の人間関係、言葉のやりとりがごく自然な流れで書かれています。
芥川賞候補はあと3冊ありますが、読めていませんので予想はしがたいのですが、「アイスネルワイゼン」は受賞可能性があると感じました。
以上、勝手な意見を書きました。
前回の直木賞予測についてはこちら。
第169回直木賞予測間に合わず - 山内 圭のブログ(Kiyoshi Yamauchi's Blog)