朝寝-昼酒-夜遊

日々感じたことを思いのままに書き散らすのみ。
※毎週土曜更新を目標にしています。

書感「リーダーのためのコーチングがイチからわかる本」

2025年02月12日 07時50分53秒 | お仕事
「リーダーのためのコーチングがイチからわかる本」(あべき光司)読了。


※画像をクリックすると、「楽天」のページに飛びます

筆者は税理士で、「オーナー士業」を実践し、士業を育てるためのコンサルもやっている。
# 実は同学年で、同じ北摂出身だったりする。

「オーナー士業」というのは士業事務所を組織化し、
代表自身は実業務は減らし、可能な限り経営に専念する、という形。
この形でポイントになるのは、「いかに組織化するか」というところであり、
そのための重要なツールが「コーチング」である、ということになる。

私は実務が好きであり、また人を動かすことに苦手意識もあるので(自分でやったほうが早い病、なのだが)、
「オーナー士業」という形は少なくとも現時点では考えていないのだが、
元々「コーチング」に関心があったこともあり、
別の書籍の出版イベントで筆者の話を伺ったりしていた。

この本は、恐らく、コーチングを専門にされている方にとっては基本的なことなのだろうが、
自社やクライアントの「人」や「組織」を改善しようと考える者にとっては
俯瞰的にコーチングの意義と進め方の全体が捉えられ、良い「イチからわかる本」と感じた。
実際に始めてから、詳細の部分はより専門的な書籍で深掘りしていけば良いと思う。

印象的な部分、参考になった部分は多いのだが、
特に印象的だったのは
「上司が上から指示・命令するよりも、チーム全体で「問い」を共有するほうが組織の力が上がる」
という部分。
「「問い」を共有する」という表現が印象的で、
「理念」や「価値観」の共有はよく言われているのだが、ここで「問い」というのが興味深い。
「問い」を共有することで、皆が主体的・積極的に考え、それぞれの立場からの多様な意見が出てくる。
また、自発的に行動することに繋がる。

例えば、こんなことかな、と思った。
「お客様第一主義」という理念ではなく、
「何が今の状況では、私にとって、お客様第一主義の行動だろう?」という問いを共有する。
その「問い」を共有することで、「私は、今、○○と思う」という思いが出てくるし、
そのような行動に繋がる。

逆に「問い」が共有されていない組織だと、
「そんなこと、どうでもいいじゃない?」「私の普段の行動とは関係ない」になってしまう。

「経営理念」はあるし、皆唱和できるが、日々の行動で実践されていない。
そのような組織で「問い」を共有することは一つの方向性としてあり得ると思う。
また、そのやり取りの中でコーチングやその構成要素となるスキルは重要だろう、と改めて感じた。
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30年。

2025年01月17日 10時58分26秒 | 社会
阪神淡路大震災から30年。

私は当時北摂の実家に住んでいたのだが、
最初の「ドーン」と突き上げる揺れで目を覚まし、
「何!」と叫んだ覚えがある。
その後ゆっさゆっさと本棚が揺れているのを
「倒れてくるかな、倒れても当たらないかな」と眺めていた。

家の被害は、姿見が倒れて何かに当たって割れただけで、
大したことはなかった。
電車が止まっていたので早々に大学に行くのは諦めて、
自転車で行ける母校(高校)を覗きに行っていたが、
そちらは校舎が一部ひび割れたりしていた。

ボランティアに行く同級生もいたが、
私が行ったのは仮設住宅に落語の慰問で行ったくらいで、
それも10月か11月だったと思う。

プライバシーのない避難所。仮設住宅。
当時から「震災死」は問題になっていたし、
その劣悪な環境が一切変わっていないのは非難されていた。

しかるに今も。能登はどうなっている?
災害関連死とは何か?基本的な理解と対策を通じて家族の命を守る - 空飛ぶ捜索医療団_ARROWS_

「公助」が弱いから、それを「共助」「自助」に回している。

ボランティアを称揚するのは良いが、まず、金を出せ。
国民の最低限の生存を守れずして国防だ何だと、
順序が違うのでは?
予算の向け先が違うのでは?
利権にならないものは後回しなのか?

30年経っても、同じ疑問を持たねばならないのは、情けない話。
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日経新聞の「年間予定2025」を見ながら

2025年01月03日 06時24分38秒 | 社会
あらたまの年たちかへる朝より
 若柳水を汲み初めにけり

2025年。戦後80年であり、昭和100年である。

毎年、正月だけは紙の新聞を購入するのだが、
日経新聞を見ていると「年間予定2025」が掲載されていた。
以下、個人的に気になる予定をピックアップし、ところどころに所感を残しておく。

【1月】
1日 愛知銀行と中京銀行が合併し「あいち銀行」発足
   青森銀行とみちのく銀行が合併し「青森みちのく銀行」発足
  ⇒地方銀行の生き残りが難しくなっている。
   さて、奈良ではどうなるのか。「1都道府県1銀行」でなくなれば、南都銀行だって京都銀行に吸収される可能性はある。
2日 日本生命が予定利率引き上げ
6日 みなと銀行、勘定系システムをりそなグループと統合
  ⇒これも「銀行生き残り」の一つの流れだろう。
17日 阪神大震災から30年
  ⇒そうか、30年か…。とこれを見て思い出した。
   ボランティアが一般的になったのもあの震災からだと思う。
   しかし体育館での避難生活の酷さは、相変わらず、なんだよなあ。
19日 アメリカでTikTok規制法が発効
  ⇒アメリカで規制されるものが、日本や他国でどの程度の影響を受けるのか、要注視。
20日 米大統領就任式
月内にも
   対中制裁関税上げに向けた米大統領令署名

【2月】
11日 国民民主党大会
24日 立憲民主党大会
  ⇒参議院選挙、次の総選挙に向けてどのような方向になるのか、注視は必要。
月内
   次期温暖化ガスの排出削減目標の国連への提出期限

【3月】
1日 22年4月の東証の市場再編に関し、上場維持基準の未達企業に適用してきた「経過措置」が順次終了
  ⇒元々東証に上場しており、Indexに入っていた企業の株価にけっこう影響が出るのだろう。
9日 自民党大会
20日 地下鉄サリン事件から30年
  ⇒阪神大震災から30年、ということは、そういうことだよな。

【1月~3月】
   TSMCが第2工場着工

【4月】
1日 東京のカスタマーハラスメント防止条例が施行
  ⇒ここから、恐らく各地方自治体に広がり、企業の「カスタマーハラスメント防止規定」にも反映されていくだろう。
1日 東京大が授業料を引き上げ
  ⇒授業料免除や、無利息奨学金の範囲が拡大するのであれば良い(仕方ない)とは思う。
   結局、文部科学省が3流官庁であり、金も人材もないのが最大の問題。
1日 南海電鉄が泉北高速鉄道を吸収合併
   京成電鉄が新京成電鉄を吸収合併
  ⇒初乗り運賃が二重にかかるために高い、と言われた部分が改善されるので、
   吸収合併される側の利用者にとってはメリットしかないだろう、と思っているが。
13日 2025年国際博覧会(大阪・関西万博)が開幕
25日 JR福知山線脱線事故から20年

【5月】
17日 男女雇用機会均等法成立40年

【6月】
1日 懲役・禁錮刑を「拘禁刑」とする改正刑法を施行
  ⇒「へえ、そうなんだ」と思うくらいキャッチアップできていなかった。
6日 GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法施行
  ⇒「脱炭素」から「原子力だったらOK」という飛躍がなあ。
   脱炭素はあくまでもSDGsの一部であり、
   それがために持続可能でなくなったら何のこっちゃ分からんのだが。
中旬 韓国憲法裁が尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾是非を判断する期限
  ⇒為政者から民主主義を勝ち取ってきた国だから「内乱罪で逮捕」なんて出来ることだよなあ。
月内にも
   ホンダと日産が経営統合の最終契約

【7月】
30日 奈良市長任期満了
  ⇒また出るのかねえ。

月内にも
   参院選
  ⇒衆議院解散・同日選挙があるのかどうか。

【8月】
12日 日本航空機の御巣鷹山墜落事故から40年
15日 終戦の日、全国戦没者追悼式
  ⇒終戦50年。また色々と「虫」が涌いてくるのだろうけど。

夏にも
   米グーグルの独占解消策について米ワシントン地裁が結論
  ⇒このあたりはAIにも影響が出る可能性があるので要注視。

【9月】
30日 三菱UFJ銀行と三井住友銀行が紙の手形・小切手帳の発行受け付けを終了

【10月】
1日 ふるさと納税、ポイント付与の仲介サイト禁止
  ⇒楽天がやたらと署名活動をしていて鬱陶しかった。
   個人的には、そもそも「ふるさと納税」という制度は「税」の趣旨から考えて適切なのか?という感覚はあるのだが。

【11月】
10日 第30回国連機構変動枠組み条約締結国会議(COP30、ブラジル、21日まで)
  ⇒これに付随して、そろそろ2030年のSDGs後の話がどうなるか、も注視しておく必要があるだろう。

ざっとこんなところか。
後半の予定はまた増えてくるのだろうけど。
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2024年総括~戦後80年に向けて~

2024年12月31日 08時14分55秒 | 政治
2024年が暮れていく。

年頭は岸田が首相だった。
「増税メガネ」と言われるのが嫌なあまり、「定額減税」などという
減税の恩恵を感じられず、地方自治体や給与計算担当者の手間ばかりかかる
忖度屋が言い出したであろう馬鹿制度が導入された。
しかもまだその調整も終わっていない。馬鹿制度の負の遺産が残っている。
このコストがどれくらいかかったか?試算して欲しいところ。

7月は都知事選。首相が交代し、10月には衆議院選挙。
また、11月には「パワハラ」等に伴う兵庫県知事選挙が行われ、
しかも再選するという事態もあった。
選挙結果に向けて一過性の熱狂が創造され、
選挙後はその検証も行われない。
そして次の選挙では、新たな熱狂が作り出されるのであろう。
そこには「熟議」も「醸成」もない。
「民主政は最悪の政体である」という古典的政治観の妥当性が証明される動きになった。

正月には能登で地震が発生。能登は夏の豪雨被害も受けた。
地方は、生存すら確保できないほど脆弱になっているように見える。
全ての原因を国鉄の「分割民営化」に帰することはないが、
地方崩壊を加速する要因にはなっているだろう。

本来、全てはバランスであり、行き過ぎないように徐々に進めていかなければならない。
しかし、そこにスペクタクルはなく面白くないし、
様々な要素を含み、比較衡量して進めていく必要があるので、分かりづらい。
結果、視聴率は取れない。再生数も伸びない。
そこで、視聴率や再生数を換金するために、
多くの要素を捨象した上で、面白く対立構造を抽出し、善悪を明確にする。
それはある意味合理的な行動である。
だが、民主主義における主体者として、視聴率や再生数を求める者の「理」に乗っかる義理はないし、
それはあくまでもそいつらの「理」である、と相対的に捉える必要がある。
そのように相対的、俯瞰的に物事を捉える訓練は不足しているし、
学校教育の教育者も(そのような訓練は不足しているから)そもそも教えることができない。
結果、「分かりやすさ」「面白さ」を求める理のみが肥大化する。

1945年の敗戦から、来年はちょうど80年になる。
様々な意図から、また「憲法改正」の動きが出てくるのかも知れない。
しかし、このような有権者の姿勢は、雪崩を打って「改憲ありき」に流れるのではないか、と危惧する。

本来は、「改憲の是非」ではなく、「改憲内容」が問題。
しかし、従来の改憲案が全て「戦前への回帰」を目論んできていたところから、
戦前への回帰を目指す者は「改憲派」となり、
戦後(西洋的)民主主義を維持・発展させようとする者はそれに抗する立場から、
(最終的には天皇制廃止を目指す者さえ)「護憲派」になっていた。
元々の「改憲」「護憲」の背景は、そういった戦略的な側面があったにも関わらず、
それが独り歩きしているように見える。

私も立場的には「護憲派」になるのだろうが、
別に今の憲法を「不磨の大典」と考えるのではなく、
いわゆる「新しい権利」を反映してアップデートしていくべきものだろう、と思う。
しかし、今「憲法を変える」話になると、
結局「政府の権力を強くする」「市民の権利に制約を加える」方向の話が噴出してくることになる。
であれば、本意ではないが、「護憲」の方向で悪しき(と私が感じる)価値観を抑える方向で
進まざるを得ない、と判断している。

来年は戦後80年。
極論に流れず、中庸やバランスが意識できているか?見ていきたい。
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第50回衆議院選挙と、民主主義の限界

2024年11月04日 09時07分19秒 | 政治
【議席確定】衆議院選挙 自民党・公明党 過半数割る 自民は追加公認も検討 立憲民主党と国民民主党は大幅増 _ NHK _ 衆議院選挙

与党(自民党+公明党)が過半数を割る、という結果。
いわゆる「裏金」問題で非公認だった議員について、
「禊が済んだ」とばかりに追加で与党に入れていっている訳だが、
それでも過半数は難しい、という感じだろうか。

比例代表の得票数の前回比較を見てみると(衆院選比例 自民533万票減、公明114万票減 過去最少の得票数 _ 毎日新聞)、様々なことを感じる。
また、日経の記事(衆議院選挙、若者の自民党傾斜が一転 比例票は第3党以下が過半(チャートは語る))も面白い。

【自民党約533万票減】
保守党が約115万票、参政党が約187万票なので、約50%はここが受け皿になっているのだろう。
残りについては、かなり国民民主党にシフトしたように見える。

【公明党約114万票減、共産党80万票減】
固定票が多いはずのこの両党の減少は、両党にとってかなり深刻な話。
公明党は「下駄の雪」と揶揄されながら与党の一角を担い続けていた訳だが、
今回の「裏金」問題を見ると、
元々の創価学会員からしたら「何故いつまで自民党と一緒なの?」という思いは出てくるだろうな。
そうなった時、「ではどこに?」となれば「国民民主党」という選択肢はとりやすいと思う。

共産党は、「野党統一候補」に入れ上げていたために、かなり足腰が弱ってきているのだと思う。
特に若年層への浸透度合が弱い。
このあたりは、「れいわ」に流出しているのだろう。

【維新約295万票減】
この票は、明らかに国民民主党にシフトしている印象。

立憲民主党は議席数は大きく伸ばしたが、
比例代表の得票数は殆ど増えていない、というのは考えた方が良いだろう。
# こう見ると、万一「国民民主党が与党に入る」ということになると
 詐欺的な話になってくるわな。

日経の社説にもあったが(民主主義は失敗の積み重ね 頼りない議員を生む私たち)、
現時点では民意を反映している、と(「小選挙区制」で思いっきり歪んでいるが)言えたとしても
これが今後数年に渡って投票者の意向を反映しているか、というと、そうとは限らない。
結局「自分たちの投票が間違っていた」という失意、無力感に繋がり、
次の選挙ではまた新たな「人気者」を作り出し、そこに投票する、という行為を繰り返す。
それは「民主主義はダメだ」というニヒリズムに繋がり、
「英雄」に全てを任せる、という方向に陥りかねない。

まず「民主主義」と選挙はイコールではない、ということ。
コスト(時間・経費)はかかるが、日頃から「民主主義の担い手」として政治・社会に対して関心を持つこと、
そのためには政治・社会に対して関心を持つ時間的・経済的な「余裕」が必要だし、
それを提供するのが、本来民主主義社会における政治運営担当者の責任だと思う。

その背景として、民主主義には限界がある、という意識が必要だと思う。
民主主義の根本的な姿勢は、「多数の人間が集まれば、正解を出す確率が高くなる」ということ。
しかし、これは非常に「胡乱」な姿勢であることを忘れてはいけない。
「人間」は「今・ここ」の制約から離れて物事を考えることはできないし、能力的にも限界がある。
この制約を前提として、Betterな選択をするために「熟議」が必要になってくるのだが、
Bestな選択は難しい。

そのくせ、決定は現在選挙権を持っていない年齢層や、まだ生まれていない者にも影響を与える。
現実には「代表なく、課税あり」になってしまう。

間違いは起こり得るし、
代表権がない者にも影響を及ぼすところから、
(これは民主主義に限った話でもないだろうが)
「民主主義」での決定、まして「選挙結果」に全てを委ねるのは危険でしかない。

「何をやっても、政治・社会は変わらない」とニヒリズムに誘導する。
時間的・経済的余裕を剥奪する。
さらに、全てを「選挙結果」に連動させる。
結果として、己らの都合の良い方向に政治・社会を動かす。
そんな策動に乗っかるのは、
少なくとも社会における「主体者」として望ましい姿勢ではないだろう。
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