昨日は夜繁昌亭へ。
去年に引き続きのタカラヅカファンの噺家が集まって
タカラヅカにちなんだネタや、
仲入り後にレビューをやる、という落語会。
補助椅子も出る大入り。
幕が開くと、後ろに定式幕が下がり、
高座布団はフリルが付いている、という状態。
「もぎ取り」(染雀):△+
軽く楽屋の様子に触れてネタに入る。
入り方はごくまとも。
スムーズに喋っている。
1つ目は「1間のいたち」でまともだが、
2つ目は「タカラジェンヌ」、3つ目は「お床拝見お釜拝見」。
2つ目は若干の無理から感もあって面白かったが、
3つ目は外で聞いた瞬間に客席が
「茶道」でない方を先に思い浮かべてしまっていたので、
結局中に入らずに飛ばしてしまった。
「もぎ取り」としては、喜六清八の間の細かいやりとりが多く、
トントンと運ばれていなかったのが好みではない。
ポーズをつけながら下がる。
高座返しのお茶子さんにもメイドの恰好をさせていた。
「宗論」(花丸):△+
これも軽くマクラを振り、ネタへ。
基本的にタカラヅカに引っ掛けずに「宗論」。
十字架にかかる場面は少し掛かっているのかな。
まあ、花丸の「宗論」は普通の「宗論」とはかなり違うのだが。
どうせならば「宗論」とは言い難いかも知れないが、
タカラヅカに嵌まった若旦那と歌舞伎役者か何かの家の親旦那、
といった話にしても良かったのかも知れない。
これまたポーズをつけながら下がる。
「ヅカ丁稚」(生寿):○-
この会には今年初出演。
師匠の影響でハマったようだが。
ネタは「蔵丁稚」で芝居でなくタカラヅカにハマった丁稚、という設定。
「芝居にハマって」があるならば
「タカラヅカにハマって」もごく自然な話なので、
時代設定さえ気にしなければまあ良いのかな、と思う。
「宝塚大劇場の前で会った、船場から心斎橋に行くのに何故宝塚を回る」とか、
一家中で明後日タカラヅカに行く、と言われた丁稚が
「お弁当」「ぼんのお守り」「下足番」と何とか付いていこうとするのに対して
「具体的な食堂の名前を出す」「託児所の場所を言う」「靴は脱がない」と返すのは
「蔵丁稚」より面白いところもあるなあ。
「五段目の猪」に対して「ロケット」を出し、
「トップスターが出てくる訳がない」から「現に今まで見てた」の流れも自然。
押さえ付けられて歌うとか。
「お腹が空いているから」ではなく「5時からの番組を見たいから」も
まあ、あり得るけど難しいところだなあ。
「真似をしていたら見たいのを忘れられる」かどうか。
蔵に閉じ込められて「ロメオとジュリエット」の場面を思い出して
歌ったり剣を抜いたりする。
この場面はこの人が本当にタカラヅカが好きなんだな、と分かって、
「蔵丁稚」と同様の良さがあった。
皆が飛び込んできてサゲまでの流れは少しごちゃごちゃした印象。
もう少し公爵の言葉で入ってきた連中を抑えて、
その流れでサゲまで持っていければ尚良い、と感じた。
これもポーズをつけつつ下りる。
「男装エレジー」(あやめ):△
タカラヅカや相撲部屋などの「引退」の話。
引退イベントや人前で断髪式を開くようなレベルでない人の話。
若干整理の悪いところもあった。
ネタは「タカラジカ」で引退した男役のジェンヌが箒会社に就職して、
就職先でのドタバタを描くネタ。
ジェンヌが「ジェンヌだったと知られたくない」ことや
就職先の奥さん(常務)が今まで関心がなかったのに
急に「誰と同期」とか「男の人と付き合ってこなかったの」といった
訊かれたくない話をするようになる、といったポイントは通底しているが、
それでも一つ一つのエピソードが羅列的な印象は拭えない。
ギャグとしてもそこまで素晴らしいものがある訳でもないし。
また、奥さんの転換は私がそう感じただけで、
もしかすると描きたいポイントではなかったのかも知れない。
最後の方に地震が起きる。
これが唐突過ぎる。
元ジェンヌが倉庫に大事な箒を背負い、女性を抱えて出てくるのが
歌劇で羽根を背負って大階段を降りてくるところの重なり、
地震の話からの「断層」と「男装」が掛かってサゲになるのだが、
うーん、無理過ぎると感じた。
「ヘビーヅカテーション」(生喬):○
上がる前に(メイド姿の)お茶子さんが膝隠しを取替え、
見台の前に怪しげな袋を置いていく。
去年末のオールナイト落語会で初演された
干支にちなんだネタらしい。
噺家の弟子入りの場面から始まり、
弟子入りしたことを聞いた他の一門、
兄弟子などの反応を描いて
「タカラヅカ」と同じにした修行生活を描く。
生喬一門もこんななのか、と感じさせるのも一つの目論見か。
分かれば良いだろう、という感じでタカラヅカの学校の修業内容を
師匠から弟子に説明する形で見せたり、
小林一三の墓参りに行った、と言ったり。
最後は一門の勉強会で「レビューをする」ということで、
例によって派手に歌いだす。
着物を肌脱ぎになると、下には派手な衣装。
袋の中から様々な小道具を出したり、
膝隠しが観音開きになってそこにラインダンスの絵が描かれていたりする。
全体に師弟の話で一貫しており、
小手先のギャグではなく、根本的にずれているのが面白い、という
作り方で、個人的には満腹。
演者のタカラヅカ好きが共通認識になっているのでウケている、
という点は否定できないが。
花詩歌グランドロマン「ベルサイユのバラ名場面集」
長い仲入りの後、演者にとってのメイン。
最初にスクリーンで「ベルサイユのバラ」を説明しつつ
古いパンフなどを見せる。
その後演者が様々な役に扮して歌ったり、芝居をして見せたりする。
非常に凝った扮装や小道具が凄い。
最初の方で一人一人が歌っていく場面は、
1曲1曲が短く、少し物足りなく細切れになっている感じ。
皆が歌ったり芝居したりするのが好きなのだろう、
というのがよく分かり、楽しめた。
暗転での舞台配置転換で少し手間取るところが目に付いた。
このあたりは準備不足だったのでは、と思う。
こってりしたデザートで、全体には満足。
きょうは、噺家の話題でしたから、たどって参りました・
前に、「消えた千円」でお邪魔していたのでした。