漁船衝突:中国人船長を釈放へ 「日中関係を考慮」 - 毎日jp(毎日新聞)
中国人船長釈放:手続き終えチャーター機で帰国の途に - 毎日jp(毎日新聞)
不透明な終結。
考える上での情報が不足していると思うが、
とりあえず現時点で感じることを整理。
まず、検察官が「我が国国民への影響や今後の日中関係を考慮」と言いつつ、
官房長官が「政治的な配慮」を否定するのはおかしい。
検察官が単独で「日中関係を考慮」とか発言できるとは思えないから、
実際、検察に対して何らかの介入はあったのだろ?
国として率直に「超法規的措置」であることを言明するべきではないか?
ここを糊塗し、隠蔽すべきではないだろう。
また、国が「政治的な配慮をした訳ではない」と言うのは、
中国に対して「譲歩してやった」とアピールする上でも弱くなるだろう。
他にも不透明な点がある。
中国漁船から体当たりしてきた、と言うのであれば、
何故撮影したビデオを公開しないのだろうか。
公開しないメリットがよく分からない。
何かやましいことがあるのでは、と勘繰ってしまう。
また「公務執行妨害」容疑なのだが、
釈放理由がよく分からない。
「計画性が認められない」とは何なのだろう。
公務執行妨害の構成要件に「計画性」はないよな?
証拠隠滅の恐れがないから、ということなのかな?
まあ、無理やり付けた理由だろうから、
論じても仕方ないかも知れないが。
このあたりが不透明なままの「釈放」劇からは、
無為無策に「理屈もなく、中国が怒っているから従属した」印象を受ける。
まあ、事実そうなのだろう。
今回の件は「敗戦」と認識すべき。
最大の敗因は今回の対応が拙かったことではなく、
「戦い」になった時にどうするか、の準備が不足していたためだ、と感じる。
観光やら産業やらで中国への依存度が高まっており、
そのリスクを分散するための手が打たれていなかった。
例えば、レアメタルの供給源を中国以外にも求める、など、
打っておくべき手はあったのではないか。
2004年に小泉が「大局的な判断」で強制送還したらしいが、
その後有効な手は打たれないまま、
依存度は高まっているのが現状だろう。
(参考:
漁船衝突:中国側が学生1000人の万博招待延期 - 毎日jp(毎日新聞)
「見方が強い」と書かれている点は根拠薄弱と感じるが。)
次に敗れないためにどうするべきなのか。
「敗れても良い」と感じなくもないが、いったんそこは措いて、
以下ぱらぱらと思うことをとりあえず。
「中国と協調する」も当然必要だが、それは別途。
まず、一国で対応するのではなく、
「中国を包囲する」発想を持つ必要があると思う。
中国の拡大志向は東南アジアでも危機感を持たれているようだし、
領土問題で中国に対して利益を同じくできるのではないか。
あるいは「人権」を巡って欧米と足並みを揃えていくとか。
軍備増強は無意味だと感じる。
例えば「北京にミサイルをぶち込む」と脅したところで、
今の国際社会でその脅しや実行は認められないし、
中国も現実には無理であることを踏まえて行動してくるだろう。
また、人口で勝てないし、広大な中国に武力で対抗するのは非現実的。
北朝鮮みたいに、国家予算の大部分を軍事費に注ぎ込むか?
それは日中戦争の敗戦を繰り返すだけだと思うが。
東南アジア諸国に警戒感を持たれるだけ、
「中国包囲」にとってもマイナス。
「生意気な中国を叩きのめせ」的な言動をとる人間でも、
中国の安い製品やサービスに依存している現状は認識しなければならない。
この現状で「物価上昇」「サービス低下」に耐えられないのであれば、
結局中国に従属している状態だろう。
従属が嫌なのであれば、
長期的に、中国への依存度を下げるような施策や
個人の意識の変化が必要だと思う。