土曜は京都へ。
「木ノ下歌舞伎」なるものを見てきた。
歌舞伎を題材にして、演劇に仕立てる、というものらしい。
今回は「勧進帳」。
会場に入ると、中央に舞台として道路が設けられており、
それを挟んで客席が配置されている、という構造。
この道路を義経一行が通ろうとする、
それを富樫が関守として遮ろうとするのだな、と想像。
開演前から2人の若い人が舞台に立っていろいろ喋ったり、
注意事項を連絡したりしている。
下っ端の人かな、と思っていたのだが、
後で自己紹介されると監修の木ノ下さんと演出の杉原さんだった。
意外に若い。私と同世代かな。
以下、芝居の感想を羅列。
芝居の後「アクターズトーク」というのがあったが、見ずに帰ってしまったので、
そこで語られたことがあるやも知れぬ。
・全体に、
「あ、勧進帳をこういじってくるんだ」というのはいろいろ面白かったが、
「勧進帳を使って何を表現したかったのか」はイマイチ分からなかった。
それは特に目的にしていないのかも知れない。
・最初の「今時の若者が騒いでいる」部分の意味合いがよく分からない。
明礬の役割なのかな。
・普通の服装で、歌舞伎の技法(発声・歩き方など)でやっている。
これはこれで面白い。
謡や科白の途中で「ポン」とか入れるのもウケていた。
個人的には卑怯なウケの取り方だな、と思わいでもないが。
・番卒と義経の四天王を、2人の役者が兼ねていた。
途中で義経一行に入って「山伏」(だったか)の服を着ればそちらの役になる、
というのは黒衣の「お約束」の発想っぽくて面白い。
狭い舞台で人数を減らして密度を上げるためにも良かったと思う。
・弁慶が外人の役者さん。
出オチ感がなきにしもあらず、で最初違和感があったのだが、
柄の大きさ、「別世界の人」という歌舞伎の弁慶の造形とも近く、
結果として良かったのかな、と思う。
弁慶が義経一行と話している間に富樫は本を読んでいるのだが、
その本を落とす音が気にはなった。
図られたタイミングで音を出しているとは思うのだが、
「本を落としている」ことで観客の集中力がそがれた気がする。
・弁慶が途中で崩した口調で科白を言っていくのは「緊張の緩和」っぽくて面白い。
これも、卑怯と感じないではないが。
・勧進帳を読むところ、山伏問答など歌舞伎っぽくやっていた。
山伏問答は(外人さんであるためかも知れんが)ちと聞き取りづらかった。
・呼び止められて、義経を打つ。
このあたりの弁慶の気迫は良かった。
義経を打つのは歌舞伎風に形で。
もう少し切れがある動きだと、なお良かったと思う。
押し戻しや「義経を切るぞ」というあたり、かなり迫力もあった。
・弁慶が頭を下げるあたりで兜巾を外すのだが、
これ、何故だろう。
「武装解除」の意味があるのかも知れないが、
その後また富樫が出てきたときは多少緊張感があるので、
外してしまっては良くないと思うのだが。
・飲むところは楽しく。
大きな器(洗面器?)を天井から下ろす(紐に明かりまで付いていた)のは
歌舞伎にも通じる遊び心で面白く感じた。
ビール瓶を番卒に返すところで投げていたのだが、
個人的には歌舞伎のように転がしてきれいに戻せたらいいのに、と思った。
舞台が狭いので難しいとは思うけど。
・踊りは陽気。その中で義経を立たせるところはきっちり、ちょっとクサ目に。
・最後、跳び六法なし。
「勧進帳」と言えば跳び六法なので、何らかの形で入れて欲しかった。
勿論、入れるのは難しいと思うのだが、
それなしの「勧進帳」は不足感がある。
そんなところで、1時間程度の芝居。
まあ、楽しめた。
【追記】
「跳び六法」:「飛び六方」が正ですね。六法全書が跳ねてどうする。
「跳び」が良いか「飛び」が良いかは微妙かも知れないが。
「木ノ下歌舞伎」なるものを見てきた。
歌舞伎を題材にして、演劇に仕立てる、というものらしい。
今回は「勧進帳」。
会場に入ると、中央に舞台として道路が設けられており、
それを挟んで客席が配置されている、という構造。
この道路を義経一行が通ろうとする、
それを富樫が関守として遮ろうとするのだな、と想像。
開演前から2人の若い人が舞台に立っていろいろ喋ったり、
注意事項を連絡したりしている。
下っ端の人かな、と思っていたのだが、
後で自己紹介されると監修の木ノ下さんと演出の杉原さんだった。
意外に若い。私と同世代かな。
以下、芝居の感想を羅列。
芝居の後「アクターズトーク」というのがあったが、見ずに帰ってしまったので、
そこで語られたことがあるやも知れぬ。
・全体に、
「あ、勧進帳をこういじってくるんだ」というのはいろいろ面白かったが、
「勧進帳を使って何を表現したかったのか」はイマイチ分からなかった。
それは特に目的にしていないのかも知れない。
・最初の「今時の若者が騒いでいる」部分の意味合いがよく分からない。
明礬の役割なのかな。
・普通の服装で、歌舞伎の技法(発声・歩き方など)でやっている。
これはこれで面白い。
謡や科白の途中で「ポン」とか入れるのもウケていた。
個人的には卑怯なウケの取り方だな、と思わいでもないが。
・番卒と義経の四天王を、2人の役者が兼ねていた。
途中で義経一行に入って「山伏」(だったか)の服を着ればそちらの役になる、
というのは黒衣の「お約束」の発想っぽくて面白い。
狭い舞台で人数を減らして密度を上げるためにも良かったと思う。
・弁慶が外人の役者さん。
出オチ感がなきにしもあらず、で最初違和感があったのだが、
柄の大きさ、「別世界の人」という歌舞伎の弁慶の造形とも近く、
結果として良かったのかな、と思う。
弁慶が義経一行と話している間に富樫は本を読んでいるのだが、
その本を落とす音が気にはなった。
図られたタイミングで音を出しているとは思うのだが、
「本を落としている」ことで観客の集中力がそがれた気がする。
・弁慶が途中で崩した口調で科白を言っていくのは「緊張の緩和」っぽくて面白い。
これも、卑怯と感じないではないが。
・勧進帳を読むところ、山伏問答など歌舞伎っぽくやっていた。
山伏問答は(外人さんであるためかも知れんが)ちと聞き取りづらかった。
・呼び止められて、義経を打つ。
このあたりの弁慶の気迫は良かった。
義経を打つのは歌舞伎風に形で。
もう少し切れがある動きだと、なお良かったと思う。
押し戻しや「義経を切るぞ」というあたり、かなり迫力もあった。
・弁慶が頭を下げるあたりで兜巾を外すのだが、
これ、何故だろう。
「武装解除」の意味があるのかも知れないが、
その後また富樫が出てきたときは多少緊張感があるので、
外してしまっては良くないと思うのだが。
・飲むところは楽しく。
大きな器(洗面器?)を天井から下ろす(紐に明かりまで付いていた)のは
歌舞伎にも通じる遊び心で面白く感じた。
ビール瓶を番卒に返すところで投げていたのだが、
個人的には歌舞伎のように転がしてきれいに戻せたらいいのに、と思った。
舞台が狭いので難しいとは思うけど。
・踊りは陽気。その中で義経を立たせるところはきっちり、ちょっとクサ目に。
・最後、跳び六法なし。
「勧進帳」と言えば跳び六法なので、何らかの形で入れて欲しかった。
勿論、入れるのは難しいと思うのだが、
それなしの「勧進帳」は不足感がある。
そんなところで、1時間程度の芝居。
まあ、楽しめた。
【追記】
「跳び六法」:「飛び六方」が正ですね。六法全書が跳ねてどうする。
「跳び」が良いか「飛び」が良いかは微妙かも知れないが。