朝寝-昼酒-夜遊

日々感じたことを思いのままに書き散らすのみ。
※毎週土曜更新を目標にしています。

納得できないが、楽しめる芝居

2008年11月09日 04時27分26秒 | 歌舞伎・文楽
昨日は9時頃に家を出て歌舞伎座へ。

「盟三五大切」の通し狂言。
確か服部幸雄の本で粗筋を読んだことはあるが、見るのは初めて。
仁左衛門の源五兵衛、菊五郎の三五郎、時蔵の芸者小万、
というのが主な役どころ。

話の筋は、いま一つ納得しづらいところがある。
源五兵衛が、三五郎という亭主があることを知らないまま
小万に惚れ込み、金を注ぎ込んでしまう。
三五郎から自分が夫だ、と明かされて騙されたと分かり、
恨みを持って刃傷沙汰になる、
というのが一つの筋。
まあ、「籠釣瓶」とか「伊勢音頭」のパターン。

もう一つは、源五兵衛が実は赤穂浪士であり、
三五郎はその元家臣の子で、主人が仇討に加えてもらえるよう、
金を集めている、という流れ。
忠臣蔵の、勘平に関係するところと同じ感じ。

この二つの筋が絡み合ってくるのだが、
大詰でのあまりにも残酷な描写(源五兵衛が、小万と三五郎の間の赤子まで
殺してしまうのは、正直ちと引く)と、
最終場で三五郎が腹を切る(絵面的に、六段目の勘平切腹のパロディかと感じた)
ことで、うまく決着しているか、というと、
私にはそうは思えない。

結局源五兵衛が晴れて四十七士に加えられるのだが、
あれだけ残酷な殺しをやっておいて、それはありなのか?と感じてしまう。
ここは、私がどうしても近代人の感覚で見てしまう部分だと思うのだが。

ただ、個々の場面はそれぞれ満足。
仁左衛門の声や調子は好み。
騙されて以降の「殺し」の場面では、冷気が舞台から漂ってくる感じ。
凄いなあ。
菊五郎も、市井の小悪党らしい雰囲気が今回はハマった。
あと、歌昇の真っ直ぐな家臣の感じが快かった。
# 主人の代わりに縄打たれて引っ立てられるところは
 あまり理解できなかったが。

陰惨な場面もあるが、
各場面で細かいクスグリがあったり、濡れ場があったりして
楽しめるように作られていたと思う。

大詰まで見て満腹し、
藤十郎の声は聞きたくなかった(生理的に合わない)ので
「吉田屋」は見ずに出た。
コメント
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