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「休業支援金」について気になること

2020年06月22日 14時00分53秒 | お仕事

「休業手当ゼロ」の労働者に支援金、特例法成立も…企業からの「妨害」などに懸念

新型コロナウイルスの影響で仕事が休みになったのに、休業手当を受け取れない労働者に対して、休業支援金の支給などができるようにする雇用保険法の臨...

弁護士ドットコム

 


>新型コロナウイルスの影響で仕事が休みになったのに、休業手当を受け取れない労働者に対して、
>休業支援金の支給などができるようにする雇用保険法の臨時特例法が6月12日に成立した。

以下のような疑問(考えるべき課題)がある、と感じる。
1.従業員にとって、法律通りの「休業手当」よりも「休業支援金」が有利になるのではないか?
2.従業員が「休業支援金」を受けた場合、労基署が事後「休業手当を支給していない」として
 取り締まりを(現実に)行うのか?
 その場合、事業主より「休業手当」を支給させ、従業員に「休業支援金」を返金させるのか?

この1.を中心に考えてみたい。

【従業員にとって、「休業支援金」は法定の「休業手当」より有利なのでは?】
法律では「休業前賃金の80%(月額上限33万円)」となっている。

この「休業前賃金」の計算方法は、この記事だけではよく分からないが、
例えば「育児休業給付金」同様、
休業前6か月間の賃金を180で割ったもの、と考えると
だいたい「平均賃金」と同じになる。

となると、「休業手当」は法定では「平均賃金の6割以上」だから、
法律通り支払っている事業主に比べると、
この「休業前賃金」の方が高い、ということになる。

さらに、「休業手当」は課税対象であり、そこから所得税が差し引かれる。
それに対してこの「休業支援金」は非課税なので、
その点からも従業員にとって有利になるのでは、と考えられる。

従業員にとっては、法律通り「休業手当」の支給を受けるよりも、
「休業支援金」を受給した方がトク、ということになるのではないか。
また、既に「休業手当」を法律通り受給した従業員も、
「今後は「休業手当」は要らないから、「休業支援金」の申請をしたい」と
言ってくるかも知れない。
その際、
「法律的に、「休業手当」を支給する義務があるから、少ない額で我慢してくれ」と
事業主が従業員に言うことになるのか?

このあたり、非常に「いびつ」な構造になっている、と感じる。

【労基署の取り締まりについて】
「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合において」休業手当を支払うことは
事業主の義務であり、
労働基準監督署による指導・監督の対象であるし、
事業主には「三十万円以下の罰金」を科せられる可能性がある。

ただ現時点で、今回の「新型コロナウイルス」に伴う休業について、
これが「使用者の責に帰すべき事由」にあたるのか、「天変地異」にあたるのかは
不明確である。
参考:
休業手当について(2)「使用者の責に帰すべき事由」とは? - 朝寝-昼酒-夜遊
休業手当について(2)「使用者の責に帰すべき事由」とは?(「経営上の障害」について) - 朝寝-昼酒-夜遊


個々の事情で変わってくるものと思われるが、
余程明確に「使用者の責に帰すべき事由」にあたる事案でない限り、
労働基準監督署としてすぐに「指導」するのは難しいのでは、と思う。

となってくると、「休業手当」が支給されない場合に、
即、労働基準監督署から「休業手当」を事業主が支給するように指導する、ではなく、
せいぜい「休業支援金を受給できるように、事業主は協力しなさい」という方向に
なるように思う。

そして、こうして「休業支援金」が受給された後になって、
「休業手当」を支払うように、と指導するのだろうか。
先ほども見たように、
恐らく、法定の「休業手当」の方が、「休業支援金」より低額だろう。
従業員についても、「本来受給できない「休業支援金」を受給しようとした」として
不正受給に該当するとも言い難い。
(実際には働いていて給与を支払われているのに、
 さらに「休業支援金」を二重取りした、というのであれば別だが。)

その状況で、他の「給与不払い」等の事案で忙殺されている労働基準監督署が、
敢えて(従業員も損をするかも知れない)この取り締まりを優先するだろうか。

# 強いて言えば、本来支払うべき「休業手当」を事業主が支払っていなかった場合には、
 国が支払った「休業支援金」の一部に充てるものとして
 国が徴収する、という発想はあるのかも知れない。

まだ未確定な部分(計算方法、手続など)が多い制度ではあるが、
関心は高いと思われるので、注視していきたい。
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