東京・代々木上原の東京ジャーミイで、ラマダンのイフタールを体験してきました。広いホールの入口には、トレーの上にドライデーツがてんこ盛り!
イフタールとは、断食明けの食事のこと。 イスラム教では毎年イスラム暦のラマダン月に1カ月の断食をする定め。厳しい修行のように思えますが、飲食できないのは日の出から日の入りまで。日が沈むと待ってましたとばかりにイフタールをいただく! それが1ヵ月間続いたあと、さらに断食明けの大祭が待っていて、ごちそうを食べまくる! 意外や意外、ラマダンとは食を断つことで逆に食を楽しむ一大イベントなのです。
東京ジャーミイは1938年に建てられた日本最大のモスク。
この日は正門が工事中のため、裏手に回ります。
裏の入口から入ると、美しいアラベスク模様がお出迎え。
廊下にはラマダンの飾りつけ。イスラム暦は太陽暦とは毎年11日ずつズレていくので、断食月間も毎年変わるのだそう。
2024年の日本のラマダンは、3月12日から4月10日頃まで。日が短い季節はいいけれど、緯度の高い地域で夏至に当たったらキツそうです。でもイスラム暦だと、世界中の信徒さんたちが、順繰りにいろんな季節にラマダンを迎えることになるので、公平が保たれるとのこと。
まだ日没まで時間があるので、併設のハラールショップ へ。
国内最大級の品ぞろえというだけあって、目移りします。
デーツだけでも棚ふたつ埋まるくらい種類豊富。
甘くて美味しい危険なお菓子たち!もちろん各種購入。
そろそろ日没なので、イフタール体験者はホールに集合。
イフタールは本来、モスクに通う信徒さん用に用意されるものですが、一般の人も事前申し込みで1人1回だけ体験可。ムスリム1年生の友人に「イフタールに行くなら断食していってくださいね!」と言われて、その気満々だったのですが、よりによってこの日ランチミーティングの予定が入ってしまい、 あえなく挫折。
始まる前にラマダンについて説明を受けます。断食には、食べ物の大切さや貧しい人の気持ちを知り、自分の欲を抑えるなど、さまざまな意義があるとのこと。日没後の礼拝が終わると、いよいよイフタールです。
トレーを持って行列に並び、順番に食事をよそってもらいます。日本人、トルコ系、アラブ系、アジア系など人種もさまざまな信徒さんたちが、トレーを持って続々とホールに入場。行列もテーブル席も男女別々が基本ですが、中央のテーブル席のみ男女同席可でした。
この夜のイフタールのメニューは、牛肉のパテとマッシュポテト、トマトソース和えのパスタ、ヨーグルト系のスープ2種。写真右下のスープは、キュウリとヨーグルトのスープ「ジャジック」、荻野恭子先生のレシピ本にも登場するトルコの飲むサラダ。どれもおいしく、スパイシーながらも辛すぎず、奥深い香り。
断食明けには、まずデーツと水で胃を慣らしてからイフタールをいただくのだそう。イフタールにかかる費用は、すべてザカート(喜捨)によるもの。ホール入口には、寄付者として国際NGOカタール・チャリティの名が記されていました。断食もしていないのにイフタールをいただくのはさすが気がひけるので、入口にあった募金箱にザカートしてきました。
井の頭通り沿いに建つ東京ジャーミイの夜景。オスマン様式の壮麗な建物が、大山町の閑静な住宅街によく映える。
しょうもない余談ですが、代々木上原はかつて住んだことのある勝手知ったる町。なので、帰りに赤提灯で1杯、いや2杯生ビールをひっかけてしまいました~。こんなことでは禁酒を守るムスリムの友人に叱られそう。とまれ、貴重な異文化体験ができました。
興味のある方は、東京ジャーミイ公式サイトのトップページから「イフタール予約」を。(了)