ミス・メリーのクリスマス雑学講座♪

今年もブログ主に代わってクリスマスソングを歌うわよ♪

2015年、クリスマスには歌を歌おう♪その6

2015年12月26日 17時33分48秒 | クリスマス
はぁい♪ミス・メリーよ♪
日本のクリスマスは終わっても、ここでのクリスマスは終わらない。
むしろこっからが正しいクリスマスよ!
特に12月26日の今日はキリスト教暦において殉教者ステファンを偲ぶ重要な日。
また英国等ではクリスマス中に貧しい人達への寄付を募った箱を開ける日、という由来からボクシング・デーと呼ばれているの。
現代では商店がクリスマス商戦後の売れ残りを値引きして、大セールを開催する日って一般には知られてるわ。

さて、日本のテレビアニメの中のクリスマス・エピソード、第6回目の今夜は1975年1月5日~12月28日迄、フジテレビ系列で全52回放送された、「フランダースの犬」第52話「天使たちの絵」!
テレビでの「懐かしのアニメ名場面特集」で定番のように流れるから、話は知らなくてもラスト・シーンだけは観て知ってるって人多いでしょうね。
原作はイギリス出身の女流作家ヴィーダ(本名はマリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー)が、1872年に母国で発表した児童向け短編小説。
アニメ版を制作したのはズイヨー映像と日本アニメーションで、放送前からラストに主人公が死ぬって広く知れ渡ってたそうなの。
そのせいかどうかは解らないけど、最終回は関東地区で30.1%の高視聴率を記録したそうよ!
ちなみにこの数字は「世界名作劇場」アニメシリーズの最高記録なんですって。
それにしてもこんな暗い結末のお話を、記念すべき「世界名作劇場」シリーズ第1作目に、どうして選んだのかしら?

19世紀ベルギー北部アントワープ郊外の村に住む少年ネロは、年老いた祖父ジェハンのミルク運搬業を、忠犬パトラッシュと一緒に手伝いながら、慎ましい暮らしを送っていた。
そんなネロの夢は将来画家になる事、17世紀の偉大な画家ルーベンスに彼は憧れていて、アントワープの聖母大聖堂に掲げられた2枚の大きな祭壇画を、何時か観たいと願ってたの。
けれど大聖堂の祭壇画を観るには高価な観覧料が必要な為、貧しいネロには手の届かない願いだった。
ネロの親友は村の大地主の娘アロア、ところが彼女の父親は彼の事が気に入らない。
アロアの父親の目にはネロが絵ばかり描いてる怠け者に映り、彼と自分の娘が一緒に遊ぶのを苦々しく思ってたの。
春が過ぎ、夏が過ぎ、秋が過ぎ…或る年の冬、ネロの唯一の肉親である祖父が亡くなると、彼の暮らしはいよいよ厳しいものになる。
不幸は重なるもので、アロアの家の使用人ハンスは、自分が管理していた風車小屋での火事の責任を逃れようと、アロアの父親へ「ネロが放火した」と嘘の報告をしたの。
怒ったアロアの父親はネロを村八分に追い込み、他の村人達が彼を手助け出来ないようにしたのよ。
ネロとパトラッシュは日々食べる物にも困窮するけど、意地悪なハンスは容赦無く家賃を取り立てに来る。
辛い境遇に喘ぐネロの唯一の希望は、応募した絵が絵画コンクールで入選する事だった。
ところがクリスマス前日に発表された結果は――落選。
傷心のネロがパトラッシュと共に家へ帰る途中、雪の中に大金が詰まった袋が埋まってるのを発見する。(見付けたのはパトラッシュ)
袋にはアロアの父親の名前が刺繍されていた。
正直者のネロはお金をアロアの家まで届け、パトラッシュを密かに託し、心の中でアロアへの別れを告げる。
お金もご飯も希望も無い、絶望に取りつかれたネロは、家に帰る事無く、猛吹雪の中を歩いて行く。
一方、アロアの家では、帰って来た彼女の父親が、落とした大金がネロによって届けられた事を妻から聞かされ、良心の呵責に苦しんでいた。
そしてアロアの家へ密かに託されていたパトラッシュは、ネロが居ない事に気付くと外へ飛び出し、吹雪の中に微かに残った彼の匂いを追い駆ける。

――と、ここまでが最終回以前の粗筋、第52回最終話「天使たちの絵」は、パトラッシュがネロを捜して吹雪の中を駆けずり回るシーンから始まるの。
同じ頃、ネロの家の隣人だった老婆のヌレットは、彼とクリスマスを祝う約束を果たしに戻って来た。
ところが訪れたネロの家には誰も居ない。
そこへネロの祖父の古い友人である木こりのミシェルが、家へ丸太を届けに来る。
ミシェルはヌレットに、ネロの祖父ジェハンが既に亡くなっている事を告げた。
その頃アロアの家には、ネロの理解者の一人である風車職人の老夫ノエルが、ネロの放火の濡れ衣を晴らしに訪れていたの。
ノエルに叱責され項垂れるハンスとアロアの父親。
アロアは父親とハンスにネロへの一刻も早い謝罪を要求し、二人を連れてネロの家を訪れるが、そこに彼の姿は無く、ヌレットやミシェルを含め一同が読んだ置き手紙には、家賃の残りが払えなかった事へのお詫びと、パトラッシュをお願いしますとの頼みが書いてあり、アロアへのサヨナラで締められていた。
そこへ今度はネロと親しい兄弟のジョルジュとポールが、ヘンドリックと言う絵画コンクールの審査員をした画家さんを連れて来たの。
ヘンドリックはネロの優れた画才を見抜き、彼を養子に引き取って、絵の勉強をさせたいと考え、会いに来たんですって。
…もう……なんでこんなに間の悪い人ばかりなのっ!(泣)
アロアの父親は集まった皆の前で泣きながら懺悔し、ハンスも漸く人としての情を取り戻し深く後悔したの。
ネロを知る人達は必死になって彼を捜したけど見付からない。
その頃ネロはたった1つだけ残った願いに引かれて、アントワープの大聖堂まで来ていたの。
中へ入ると、何時もカーテンに遮られて観る事が叶わなかったルーベンスの2枚の祭壇画が、どういう訳か公開されたままになっていた。
神様がネロの切なる最期の願いに応えてくださったのかもしれない。
漸く観る事が出来た憧れの絵、心の底から満足したネロは、冷たいお堂の床に横たわる
そこへ、ネロが道に落とした靴や手袋の匂いに導かれ、パトラッシュがやって来た。
疲れ果てた一人と1匹は眠気に誘われ、寄り添ったまま目を閉じる。
静寂に包まれた大聖堂の天井から光が差し、輝く天使達が舞い降りた。
ネロとパトラッシュは天使達の案内で、全ての悲しみ苦しみから解放される天の国へと旅立つのだった。

「ネロとパトラッシュは、お爺さんや、お母さんの居る、遠いお国へ行きました。
 もうこれからは、寒いことも、悲しいことも、お腹の空くことも無く、みんな一緒に、いつまでも楽しく暮らすことでしょう。」

……自分で紹介しといてなんだけど、クリスマスに観るような話じゃないわね。(泣)
いいえ、クリスマスだからって、病気になる人も、怪我する人も、死ぬ人も居る。
原作者はそういう思いを込めて、この作品を書いたのかもしれない。
それにしたって10歳そこらの子供を、よってたかって追い詰めるなんて!と、アニメを観ていて許せない気持ちになったんだけど、原作のネロは15歳という年頃のイケメンで、アロアの父親はそれで娘に近付く悪い虫(←父親視点)の彼を嫌ったみたい。
「フランダースの犬」を放送してた時代のテレビアニメは、基本子供向けに制作する事を義務付けられていて、主人公の年齢が原作より低めに設定されるのはザラだったのよ。
ネロの年齢を高くし、彼がイケメンである事を念頭に置いて、物語を観直すと、受け取る印象が多少変わるかも……しれないわね。(ネロは「色男、金と力は、無かりけり」を地で行くタイプだったのね)
原作ではネロの味方は父親とパトラッシュとアロアくらいなのに比べ、アニメでは他にも結構居る、むしろ敵対する人の方が少ないんじゃ?という印象も、アニメの最終回を観てる時に感じる歯痒さの原因ね。
これだけの理解者が居るのに、ネロはどうして死ななきゃならなかったの!?」って叫びたくなるわ。
ちなみにアニメで有名な、ネロとパトラッシュが天国へ向かうシーンは原作に無いの。
噂では、当時のスポンサーだったカルピスの社長が、熱心なクリスチャンだったからって言われてるわ。
吹雪の中、ネロを皆で必死に捜し回るシーンも、原作には無いの。
原作の方が「渡る世間は鬼ばかり」度が高いって事ね。
そもそも原作は短編だから、アニメの物語の多くはオリジナル。
原作の舞台のベルギーでは、原作者がイギリスの作家という理由も有って長く知られて来なかったし、アメリカではあまりに救われない結末を理由に今でも評価が低いの。
「フランダースの犬」を世界に発信し、有名にしたのは日本人なのよ。

それじゃあここで6曲目のクリスマス・ソング、「フランダースの犬」最終回で、ネロが祭壇画を見詰めるシーンに流れた――「アヴェ・マリア」!
紹介するのはシューベルト版、歌詞はラテン語で、発音を()書きにしたわ。
今回はなるべく日本語バージョンに拘って来たけど、これは日本語に直したら雰囲気台無しよね。(笑)



【アヴェ・マリア】



  
Ave Maria♪(アヴェ マリア♪)
Gratia plena♪(グラツィア プレナ♪)

Maria Gratia plena♪(マリア グラツィア プレナ♪)
Maria Gratia plena♪(マリア グラツィア プレナ♪)

Ave♪(アヴェ♪) 
Ave Dominus♪(アヴェ ドミヌス♪)
Dominus tecum♪(ドミヌス ティクム♪)

Benedicta tu in mulieribus♪(ベネディクタ トゥ イン ムリエリブス♪)
Et benedictus♪(エト ベネディクトゥス♪)
Et benedictus fructus ventris♪(エト ベネディクトゥス フルクトゥス ヴェントゥリス♪)
Ventris tui,Jesus♪(ヴェントゥリス トゥイ イエズス♪)

Ave Maria♪(アヴェ マリア♪)


Ave Maria♪(アヴェ マリア♪)
Mater dei♪(マテル デイ♪)

Ora pro nobis peccatribus♪(オラ プロ ノビス ペーェカトーリブス♪)
Ora ora pro nobis♪(オラ オラ ポロ ノビス♪)

Ora ora pro nobis♪(オラ オラ ポロ ノビス♪)
Peccatribus♪(ペカトォリブス♪)

Nunc at in hora mortis♪(ヌンク エットゥ イン ホラ モルティス♪)
In hora mortis nostrae♪(イン ホラ モルティス ノストゥレ♪)
In hora mortis nostrae♪(イン ホラ モルティス ノストゥレ♪)
In hora mortis nostrae♪(イン ホラ モルティス ノストゥレ♪)

Ave Maria♪(アヴェ マリア♪)



【訳】

おめでとう、マリア
恵みに満ちた方

恵みに満ちた方、マリア
恵みに満ちた方、マリア

おめでとう
おめでとう、マリア
主は貴女と共に居られます

貴女は女性の内で祝福された方
そして、祝福されています
そして、貴女の子も祝福されています
貴女のお腹の子、イエスも

おめでとう、マリア


おめでとう、マリア
神の母

私達罪人の為にお祈りください
お祈りください、私達の為にお祈りください
 
お祈りください、私達の為にお祈りください
罪人の為に

そして、今も死を迎える時にも
私達が死を迎える時にも
私達が死を…死を迎える時にも
私達が死を迎える時にも

おめでとう、マリア



…こんばんは、びょりです。
数年前の再放送以来、観るのは2度目になるのですが……いやぁーーー……泣くより怒りがこみ上げました。(笑)
最終回の視聴率が30%を超えたって、それだけの人達が、主人公が死ぬシーンを見届けようと、チャンネルを合わせたとすれば救われない。
「アニメ版では観ている子供に配慮し、主人公を生かすかも」と思い、観ていた人も居るかも知れませんが。
しかしスタッフはそんな甘っちょろい理由で、原作のラストを変える気は無かったと…プロである。
ちなみに米国版では、生き別れの父親に再会してのハッピーエンドに書き換えられてるとか、流石アメリカである。(笑)

毎度、歌はこちらを参考にされてください。(※音が出ます)
歌詞と訳のテロップ入りという親切仕様な為、有り難く倣う事にしました。
今回の写真は昨日と同じ東京丸の内で、クリスマス露店の屋根に飾られてたイエス生誕劇の像。
本場ドイツっぽい雰囲気ですね~。
コメント (4)
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