今回は、浅草の天ぷら屋、大黒家に行ってきました。
仲見世を少し外れると江戸の町並みを再現した商店街があり、その中にあります。
これが名物の天丼。
最近は、店内は仕切りがあり、お客さんどうしで話が弾むなんてこともなく、
仲居さんはお客様より低い位置から接客、
料理は味付け盛り付けともに京風がはやり、
それが普通のようになってしまってきている中で、
ここは、とても浅草の色が出ている店でした。
店内は最低限の仕切りだけ。
他のお客さんが何をどのくらい食べているのか周りを見渡せば
すぐ分かる
たくさんの仲居のおばさんが、座敷に広がるお客さんのテーブルの間を
行ったり来たりしている。そして、気さくに話しかけてくる。
なので、こんなことも有り得てしまう。
「ふすまの裏側に、同じくらいの女の子がいるのよ、ちょっと開けるわよ」
娘同士のご対面。交流が生まれる。
このみんなおんなじ空間を楽しんでいる感じ、たまらない
天丼の盛り付け味付けは、上品にきれいにというより、
どうだ、これが大黒家の天丼だ、うまいだろ!
と言っているような堂々たるものである。
どんっと盛られた海老の天ぷらは、口にしてびっくり
驚くほど肉厚があり、味も甘くて濃厚。
衣も流行のさくっとしてジューシーの対極な、もっちりとしていて、厚い。
けれど、この天ぷら、胃もたれしない。
このもっちり感が、この甘めの濃厚なたれに合っている。
たれも濃厚なのに、くどくない。
自分はまだ料理の常識の範囲内にいるなあと改めて感じた。
また、これは浅草ならではの商売だとも思った。
大事な方を接待するには向かないが、
気の合う仲間を連れて行ったり、浅草を満喫したいなら
絶対お勧めの名店と感じました。