小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

ベトナムの人たちに支えられて

2018年05月20日 | まち歩き

▲代々木公園に架かる橋の上から会場をみる。混乱せずに、屋台に並ぶ列の隙間を人々がすりぬける。雑然としているが、平穏なのだ、この賑わいの中でも。

代々木公園のベトナム・フェスティバルに行ってきた。澄みきった青空の下、たくさんの人、屋台、ブースが会場を埋め尽くす。

行き交う人たちは半分以上がベトナム語を話している。ほとんどが20代の若者たちだと思われる。東京近隣に住むベトナム人が、一斉にここに集結したのだろうか。

▲しばらくぶりに見たアオザイ姿の女性たち。

昼頃に着いたが、メインホールは既に立ち見客が並び入り込めそうもない。和太鼓のパフォーマンスはパスし、私たちは早めに昼食をとることにした。

フォーやらフランスパン・バゲット風のサンドイッチを買い求める。その「バインミー」の有名店には長蛇の列だったので避けたが、それでもすべての食材を揃えるのに30分ほどかかった。

▲木陰で地べたに座ってランチを食す。ベトナムの黒ビールを初めて呑む。爽やかでコク薄し、南国風だ。

会場にはベトナム人形劇のコンパクト版が上演されたが、これも立錐の余地がなくタブレットを高く掲げてやっと撮影できた。妻はなんとか前に潜りこんだが、満足に観られたかどうか・・。30分ほどのショーだったが、熱気と人いきれも凄かった。妻は、缶ビールを呑んだ後だったので、例の貧血症状に見舞われた。

▲架設とはいえ本場の雰囲気をうまく作りあげていた。ベトナムの民謡は、その節回し、コブシが日本と変わらない。ルーツを感じるぐらいだ。

この日のNHKスペシャルは「縮小ニッポンの衝撃現役世代3500万人減」とものものしいタイトル。その副題には「80代まで働く時代到来 頼みの綱は外国人?」とあった。しょっぱなから、未来を担う外国人にベトナム人の若者が登場。オリンピック会場になる埋立地の建設現場では、ベトナムなまりの日本語で釘打ちの見本をみせる若者。ヘルメットと作業服を着た知的な感じのベトナムの青年が、なんと格好は同じだが3人の日本人の若者に的確な指示を出していた。

次に岡山県美山市では、今後の人口縮小にそなえてベトナム人の働き手を誘致。市の人口の1割3000人を呼び込む目標をたて、ホーチミン像まで建立した映像が映し出される。東京にはこんなにもベトナムの若者がいるのに、やはり地方には行きたがらないのだろうか。

過疎化が進み、人口のほとんどが高齢者となる限界集落もどんどん増えている。人口構造が「棺桶型」(※注:下図参照)という人口構成比になった日本の政策は、高齢化と少子化のストレスをいかに乗り越えるか、いま世界から熱い視線をおくられている。

5月はじめの新聞に、福1施設内の作業員にベトナムの外国人実習生を就労させていた記事が掲載されていた。東電では就労させない方針だというが、丸投げだから元請け会社が勝手にやったとのこと。3Kを集約したような作業に人が集まらないからといって、技能実習生としてベトナムからきた若人を騙して派遣したのだ。

ベトナムの若者たちにとって、日本は働く場として魅力的な場であるらしい。経済的なメリットもあれば、文化・ファッションにも憧れがある。日本の若者はもう3Kの仕事には見向きもしない。だから、そういう日本人がやりたがらない仕事だけを、外国人だけにやらせるのではいつか破綻するだろう。

ベトナム人だけに頼るわけにはいかない。介護の仕事では、インドネシア人の心配り・丁寧な対応が高評価だ。その他、中国、韓国、タイ、フィリピンなどの若者たちにも力を借り、高齢化社会ニッポンを支えてもらわないと立ち行かなくなること必定。

こうした事実を真摯にうけとめ、国政には将来の確かなデザインを描いてもらいたい。企業にしても、外国人労働者を雇い受けするときに、3Kばかりを押し付けていると、そのうちソッポを向かれるはずだ。人口縮小、高齢化、AI、そして経済政策、これらをリンク・フィックスして考えざるをえない。


(※注)「棺桶型」(西洋風)の人口構成⇒これまでピラミッド型、つりがね型、つぼ型、ひょうたん型など、日本の人口構成をあらわすグラフのパターン図には、年代の特長をあらわす類型があった。「かんおけ」という形を当てはめる想像力は、刺激的かつ的確といえる。

しかし、あのドラキュラが眠るような西洋風の「棺」にイメージづけたのは、日本人だとしたら女性の経済アナリストである。なぜなら、未来社会を冷静かつ客観的にイメージできるのは、子どもを産むことのできる女性だからである。

このことの本質に気づいている政治家はいない。女性政治家がこのことを言語化して語っているのを聞いたことがない。

ともあれ、「棺桶型」という呼称は、NHKの報道番組だからE.トッド本人、その系列の人口経済学者の見立てであろう。

それはともかく、2055年以降、上部を占める後期高齢者が退場してからが、日本の真価が問われることになる。つまり「負の遺産」の清算するメソッドが用意されているか否かなのだが・・。

    

 


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
自然数 (絵本のまち有田川)
2020-01-19 11:37:00
≪…つりがね型…≫は、[空間・時間」の[結合」の[モナド]か?
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双子素数 (小寄道)
2020-01-21 01:30:49
Where do you live ?
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