美術館サイドの紹介記事(転載)
フランスの彫刻家ジェルメーヌ・リシエの彫刻《蟻》(1953年)を初公開します。リシエ(1902–59)は、第二次大戦後における女性彫刻家の先駆的存在の一人で、近年その再評価が急速に進んでいます。
オーギュスト・ロダンの助手、エミール=アントワーヌ・ブールデルに学び、古典的彫塑の手法を守った点で近代彫刻の正当な継承者と言える一方、人体と自然界・動植物のイメージを有機的に結合させた独自の作風を確立して注目を浴びますが、キャリア全盛期に病に倒れました。
リシエと同時期にブールデルに学んだ戦前の日本人彫刻家、リシエに大きな影響を受けた戦後の日本人彫刻家、第二次大戦後の荒廃と芸術との関係など「時代」からつながっていく拡がり、あるいは人間と動植物との混成、天を仰ぐ女性、彫刻の肌と骨格など「造形」からつながっていく拡がり。多方向にその網を張りめぐらす、リシエの彫刻の豊かな表現をお楽しみください。
春の美術展ではどんな企画が行われるのか・・、まず驚愕したのがジェルメーヌ・リシエの企画展。近代美術館が同作品を3億3千万円で売却したのは昨年のこと、売却物件がまさかこの春に展示されるとは! 何があったのか知らないが、恰も小生のために観覧できる運びになったと思わせるほどの驚きだ。
去年ポンピドーセンターで開催された「リシエの大回顧展」について、比較文化史家・宗教歴史研究家の竹下節子さんが、きめ細かい報告と美術批評をブログで展開されていた。それを契機に、リシエの作品に啓示をうけ、さらに彫刻家・柳原義達を詳しく知ることになった。紹介文では、戦前にもジェルメーヌ・リシエの薫陶をうけた日本人がいたらしいが、このひとが誰なのか興趣が湧く。
会期は[1.23–4.7]だから2、3日前に始まったばかり。ここだけの入場料は一般500円(夕方以降300円)だが、MOMAT常設展は観覧することができる。本企画展の「中平卓馬展 火と氾濫」は1800円、こちらにも興味のある方は、この料金ですべての会場OK.
★アンリ・マティス 「自由なフォルム 切り紙絵の大作《花と果実》初来日 ~
美術館サイドの紹介記事(転載)
20世紀最大の巨匠アンリ・マティス(1869-1954)。自然に忠実な色彩から解放された大胆な表現が特徴のフォーヴィスムの中心人物としてパリで頭角を現します。後半生の大半を過ごすこととなるニースではアトリエで様々なモデルやオブジェを精力的に描く一方で、マティスは色が塗られた紙をハサミで切り取り、それを紙に貼り付ける技法「切り紙絵」に取り組みます。
本展はフランスのニース市マティス美術館の所蔵作品を中心に、切り紙絵に焦点を当てながら、絵画、彫刻、版画、テキスタイル等の作品や資料、約150点を紹介するものです。なかでも同館が所蔵する切り紙絵の代表的作例である《ブルー・ヌードⅣ》が出品されるほか、大作《花と果実》は本展のためにフランスでの修復を経て日本初公開される必見の作品です。
本展ではさらに、マティスが最晩年にその建設に取り組んだ、芸術家人生の集大成ともいえるヴァンスのロザリオ礼拝堂にも着目し、建築から室内装飾、祭服に至るまで、マティスの至高の芸術を紹介いたします。
マティスは切り紙絵を基にしたステンシルによる図版とテキストで構成される書物『ジャズ』(1947年刊行)を手掛けます。るふす彩色された紙を切り貼りする切り紙絵の技法は、厳密な色面の構成を可能とし、印刷物やテキスタイルなどの表現媒体にも適応しやすいものだったのです。1948年から始まるヴァンス礼拝堂の建設計画とともに、切り紙絵はますます自律的な表現方法としての地位を確立します。
マティス 青の時代の形成
▲以上 NHKBSドキュメント「マティス 青の時代をつくったモロッコ」より手取りで撮影
★国立西洋美術館:小企画展:真理はよみがえるだろうか:ゴヤ 版画〈戦争の惨禍〉全場面(37点初公開)
2024年2月27日〜5月26日 一般500円(400円)、大学生250円(200円)その他各種割引有
美術館サイドの紹介記事(転載)
〈戦争の惨禍〉は、スペインの芸術家フランシスコ・デ・ゴヤ(1746-1828年)が制作した版画集です。1808-14年に戦われたスペイン独立戦争に取材し、戦いの光景やその中で苦しむ民衆の姿、そして政治風刺を主題としています。ゴヤは、フランス軍の暴挙に対するスペイン民衆の抵抗という図式を超え、戦争という非常事態に生み出される様々な暴挙や愚行を驚くほど冷静に、かつ仮借なく捉えました。人間の抱える深淵なる闇の世界を抉り出している点で、時代を超越した普遍的なメッセージを放つ傑作といえるでしょう。
本連作はゴヤの存命中には公開されず、1863年になってようやく、スペインのマドリードで80点からなる初版が出版されました。国立西洋美術館は1993年度にその初版を収蔵、以降多くの場面を様々な機会に展示してきました。また2017年度には、番号が振られながら初版には含まれなかった未発表作2点も収蔵しています。しかし、これらのうち半数近い37点はこれまでに展示したことがありません。そこで本展では、連作全点と未発表作2点を合わせた計82点を披露、版画集の全像をご紹介します。
2022年2月にロシアがウクライナに侵攻し、2023年10月にイスラエルとパレスチナの間で軍事衝突が勃発したことは周知のとおりです。ゴヤが銅版に刻んだ、時に目を逸らしたくなるような悲劇は、遠い昔の出来事ではなく、我々のアクチュアルな問題でもあるのです。真理や真実、正義が歪められ、文明の闇が露呈した時、我々は何をすべきなのか、根源的な問いを投げかける作品と向かい合ってみたいと思います。(下線は筆者)
〈戦争の惨禍〉より7番《何と勇敢な!》
〈戦争の惨禍〉より30番《戦争の惨害》
〈戦争の惨禍〉より59番《茶碗一杯が何になろう?》
〈戦争の惨禍〉より71番《大衆の利益に反して》
〈戦争の惨禍〉より80番《彼女はよみがえるだろうか?》
今回紹介したのは奇しくも小企画展の展示。常設展を含め、いずれも500円もしくはそれ以下で観覧できる。春を待ち望み、美術展を訪れることをささやかな希望としている身なれば、これだけ目白押しなのはちょっと怖い。桜が咲きはじめる3月中旬に目標を定め、体力づくりに勤しみたい。
春風や出番はあるか車椅子
花匂ひ死生を語るアート展
春が来た美の回廊に誘われ
まさに
「春が来た美の回廊に誘われ」
車椅子の活用、出番です!
ご夫婦で日の回廊巡りを楽しまれてください。
小寄道さまがアップなさってくれている画像にわたしも前傾姿勢です。
2月までもう少し、今年は閏年なので1日増えますが、3月までもうちょっとです。
養生して、外の暖かな空気を吸い込みます。
いつもありがとう。
その日までどうかご自愛ください。
心から応援しています。
ありがとうございます。リシエに対峙すること、その歓びは他に欠けがえのない嬉しさです。そう、だから実現しかありえません。
ちょっと頑張ろうかな。いや、頑張ります!
ありがとうございました。
ジェルメーヌ他の美術館巡りをするために車椅子も第二の足に使ってしまいましょう。
小寄道様の美術館巡りのブログを楽しみにしております。
第二の脚、車椅子の助けも必要でしょう。
しかし、場所によっては、自力歩行も考えているのです。もう少し、筋力がつけばそれはかなえられます。
小さい希望ですが。
あまり自分を追い込むのも、なんなんですがね。
ありがとうございました。