goo

ナンバー1とオンリー1 @『もう君はひとりじゃない』ドリアン助川

 



 ひと昔前に、SMAPの『世界で一つだけの花』が流行って以来、「ナンバー1より オンリー1」と、みんな思ってるよね。確かに、耳に心地よいセリフだ。

 でも、あえてその正反対(「真逆」じゃないよ)のことを言います。

 ナンバー1だからこそ、オンリー1になれるのだ と。

 2009年、今やすっかり見かけなくなった蓮舫さんの「2番じゃダメなんですか」というのが、流行語になった。これだって、「1番をめざしたからこそ、2番になれた」ってことは 心の中では、みんなわかってるよね。

 ロンドンオリンピック見てたら、なおさらそう思う。

 世の中の人、物、すべて生まれながらにして みんなオンリー1です。でも、だから、それで輝けるのか?

 そんなことをつらつら考えると、必ず思い出す詩があります。ドリアン助川の『もう君はひとりじゃない』の巻末に収録された、題名すらない「名もなき詩」です。
 

今日がダメだった人は
明日に向けて頑張れなんて
僕は言わない
今日がダメだった人は
明日もきっとダメだろう
でも明後日はほんの少しだけ良くなって
その次の日はもう少しだけ良くなって
さらに次の日も少しだけ良くなって
いつか気づくと
今日がだめだったことなんて忘れている
だってスイカが大きくなる瞬間なんて誰にも
ほんとに誰にも見えないのだから

涙がとまらない人に
いつかはいいことがあるさなんて
僕は言わない
涙がとまらない人は
本当に涙がとまらないのだ
でも君の涙はとてもきれいだね
心の中からいっぱいわいて出てきて
優しい人だからつらいんだねと
僕も泣きそうになりながら
言ってあげよう
涙がでない人間になってしまったら もうその人は枯れてしまったのだ
生きてる木の 大きな木の
枝や葉には たくさん流れているよ 涙は

世界で一番長いコンブは
世界で一番長いことを知らないで
ゆらゆらゆらと揺れている
世界で一番大きい鯨は
世界で一番大きい事を知らないで
海の間で泳いでいる
世界で一番白い鳥は
世界で一番白いことを知らないで
雲に向かって飛んでいる
世界で一番優しい人が
世界で一番優しいことを知らないで
恋人にふられて泣いている
ほら 君のことだ
誰もが世界で一番なのに
誰もがそれを知らないで
生きていく 生きていく 生きていく


 人との比較なんかじゃなく、自分自身が自分自身のことを ナンバー1だと思える自分、それがオンリー1のあなたです。

 苦しんだからあなただからこそ、オンリー1になるんです。

 希望は絶望のど真ん中にあるのです。

 

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 金沢大学 泉... マックの「0... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。