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幸せの行方

 伊豆急行、伊豆高原駅から車で県道を15分くらい、林の中を走ると、突然開けた場所にでる。陽だまりの向こうに石造の建物が見える。白亜のしゃれた外観だが格子の入った窓は小さい。痴呆性高齢者グループホーム、ハリウッドだ。

 痴呆症の進んだ入所者は、名前を覚えることもおぼつかない。スタッフは皆、ニックネームを大きく書いた名札をつけている。施設長はニコルと呼ばれている。ハリウッドの俳優、ニコール・キッドマンからとったらしい。

 比較的痴呆の症状の軽い入所者は、自分にニックネームをつけている。談話室からはキャメロンやコン・リー、ジョディーらの笑い声が聞こえてくる。裏庭の菜園でキュウリを穫り入れているのはパリスだ。オドレイも居るが、口の悪いのにかかると、オードリーだろうと言われている。本人はトトゥのつもりだが、ヘップバーンのほうがお似合い、などと言っているのはニコルだ。

 4月の中旬、新しい入所希望者、佐久間さんの面接があった。グループホームへの入居は、要介護者で痴呆の状態にあることが条件だが、共同生活を営むことに支障がないことも必要である。入所に当たっての面接は重要だ。

ポール・ニューマン

ニコルって?


ニコール・キッドマン

皆ニックネームを持っているのよ。
私はニコール・キッドマンにそっくりだからニコル。
佐久間さんも、誰か俳優さんで好きな人が居たら、ニックネームにいただいたら?


ポール・ニューマン

それは個人情報保護からもいいね。
で、ポールはどうだろう。


ニコール・キッドマン

ポール・牧ね。
雰囲気はあるわ。


ポール・ニューマン

じゃなくって、、、、


ニコール・キッドマン

ポール・アレン?


ポール・ニューマン

窓売りのアレンじゃない。


ニコール・キッドマン

ポール・アンカ?


ポール・ニューマン

なにか、あ行から攻めてるようだけれど、、、次はポール・アンダーソン?
ポール、、、ハスラーに出てたと思うのだけど思い出せないんだ。
しょうがないから、ボギーではどうだろう。昨日のことも覚えてないし。


ニコール・キッドマン

じゃあ、ボギー。いくつか質問させてね。
日常生活で一番困ることは何かしら?


ハンフリー・ボガード

記憶が日に日に薄れていくこと。
でも、一番困るのは感情をコントロールできないことかな。
怒りっぽくなって、すぐ、かっと頭に火がつく。 
昔から、瞬間湯沸かし器とか、消し炭とか言われてきたけど、ひどくなってる気がする。


ニコール・キッドマン

どうすればいいのかしら?


ハンフリー・ボガード

怒るのは私じゃないから、どうにもならない。


ニコール・キッドマン

どういうことかしら?怒るのは誰?


ハンフリー・ボガード

私の頭の中の消し炭





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フクロウと大理石企画、特別読者アンケート

 いつも「フクロウと大理石」を読んでいただき、ありがとうございます。今後、より楽しいお話をお届けするため、簡単なアンケートに、ご協力をお願いいたします。
<

問1: あなたの性別は?
<男性 <女性 <その他

問1で女性、その他と答えた方は問2にお進み下さい。男性と答えた方は問10にお進み下さい。

問2: あなたの年齢は?
<16~19歳 <20~29歳 <その他

問3: お気に入りの靴を履いたときの身長はどのくらいですか?
<166.5cm以下 <その他

問4: 好きなことはなにですか?
<一人でお酒を飲む 
<友達とお酒を飲む
<前後不覚になるまでお酒を飲まされる
<その他

問5: 休日はどんなことをして過ごしますか?
<洗濯 <命の洗濯 <究極の選択 <その他

問6から9までは、読者の方が持っている、このブログの筆者、佐久間のイメージについて質問します。

問6: 文章からこのブログの筆者の性別を推測してください。
<男性 <女性 <その他

問7: 文章から推測した、この筆者の年齢は何歳位だと思いますか?
<34歳以下 <35歳9ヶ月 <36歳以上

問8: 筆者の身長を推理してください。
<166.5cm <180cm以上 <その他

問9: あなたの感じた筆者の性格を一言で表すと。
<独りよがり <ひきこもり <くどい <独りよがりで、引きこもりで、くどい <その他

問10: アンケートにご協力ありがとうございました。最後に、このブログの総合評価を教えてください。
<すばらしいのでこれからもがんばってください。
  普通
  面白くない。

<
<

 今、アンケートに記入が終わり、ボタンを押すとアンケートが送信されるような仕組みを考えている最中です。そんなわけで、残念ながら現時点では、アンケートを送信することは出来ません。真面目にアンケートに答えてきたのに、それはあんまりだ、と思う方は、下のランキングのボタンを押して、憂さを晴らしてください。


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画像情報解析手法

 内閣情報調査室は日本の諜報活動を総括している。その中に内閣衛星情報センターという部門があり、米国のエシェロンに対抗し情報の収集および分析を行っている。

 このセンター要員の教育は中野にある施設で行われている。実際に通信を傍受したデーターが画像分析のカリキュラムで使用されているのだがそのうちの一枚がこれだ。
問題写真

 基礎コース前期の資料として使われているこの画像は比較的簡単なもので、特殊な教育を受けていなくても注意力さえあれば民間人でも解読できる。

 分析の基礎は「何である」と「何でない」を識別することから始まる。この写真で言うと「トンネルの中の写真である」というのが「何である」の例である。これは壁の状態、壁に取り付けられた照明の位置および色で明らか。

 この写真の「何でない」としては「日本ではない」がそれにあたる。これは2車線の対面通行のトンネルだが、右側通行をしていることで明らか。

 このような手順で解析を進め可能な場合警察庁、公安調査庁、防衛庁などのデータベースにアクセスしながら写真の撮影された位置、日時を特定する。残念ながら詳しい分析手法について述べることはできないが、解答は下に示してある。

 問題の写真の6秒前に撮影された写真がこれ。黄色い車の前にこちらを向いてとまっている車が問題の車。実は日本でないと言うのは誤った分析で、場所は北陸自動車道の事故現場。追突された反動で問題の車は180度回転している
解答のヒント

 今年の秋は遅くまでずいぶん暖かだったがこの日は突然冷たい雨が降り始め、山沿いではミゾレになった。恐竜博物館を見た後、敦賀から米原まで車で送っていただいたのだが、路面にうっすらと雪が積もり事故を2件目撃することになった。雪道を走るのがますます億劫に成りそうだ。

 

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しっぺ返し戦略の有効性と効果

 北陸旅行に出かけるときは東海道新幹線で米原まで行って乗換えだ。新横浜と米原に停車するひかりは一時間に1本しかなく、なかなか予約が取れない。今回の旅行も朝6時53分発のひかりを一ヶ月前に予約をしようとしたのだが取れなかった。結局取れたのが10時53分のひかり369号で半日損をしたような気分になった。

 問題は帰りである。あまりちゃんとした予定を立てていないのであらかじめ指定席をとっておくわけにいかない。自由席車両に乗るのだが、米原に止まるひかりは本数が少ないからかとても混んでいて立っている人も多い。

 そういうときの奥の手が喫煙車両だ。ひかりで言うと3両目が喫煙車になっていて、たいてい座ることが出来る。それに最近は喫煙車両でもタバコを吸わない人が多くなってきている。多分1割も吸っていないだろう。元喫煙者として少々の煙は気にならないので快適に座ってくることができる。

 ただ明らかに喫煙者で無いような人も喫煙車両に乗ってくるようになってきた。喫煙車両も最近はだんだん競争が激しくなってきている。皆考えることは同じか。

 ところで同僚の左脳君、彼の場合喫煙車両でも座れなかったとき、もう少し積極的な作戦をとるらしい。十年も前に禁煙した彼だが、タバコを買って自由席にのるのだそうだ。そしてこれと目星をつけたターゲットのそばでタバコを吸うのだが、立て続けに2本も吸うとターゲットは禁煙車両に避難するという。2本以上吸うとまた喫煙が始まってしまいそうなので、2本吸っても駄目だったら潔くあきらめるらしい。ルール違反ではないが人格が疑われる作戦ではある。

 その左脳君、先日京都で自由席に乗り込んだのだが喫煙車両も満員。早速作戦開始と見つけたターゲットが地味なスーツを着た20歳代中ごろの可愛い女性。しきりに資料を読んでいる横でタバコに火をつけたのだが、、、、、、チラッとこちらを見ただけで又資料を読み始めてしまった。煙にむせながらもう一本吸ったのだが全く効果なし。作戦大失敗。

 ところがよくしたもので、名古屋で彼女の隣の席が空いたらしい。ありがたく座らせてもらい、めでたしめでたしになるはずだったのだが。

 名古屋を出て30分くらいたったころチラッと左脳君を見た彼女がバックから取り出したのはなんとタバコ。それから5分おきに一本吸われてとうとう左脳君、禁煙車両に避難したそうだ。

 「可愛い顔をして人の顔に煙を吐きかけるんだ」と左脳君。十年も禁煙していたのにまたタバコをはじめてしまったようだ。まさしくこれはゲーム理論に言う「しっぺ返し戦略」の有効性を証明してると言える。専門用語で言うと自業自得とでもいうのだろう。

 JR東日本は来年3月のダイア改正で全ての新幹線を禁煙にするという。ちょっと残念な気もする。


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日本経済の動向

 最近ブログの更新頻度が落ちている。ブログの更新に義務感はないし(実のところは凄いプレッシャー)、気の向いた時に更新しているのだがそれにしても頻度に波がある。

 ところが最近面白い事実を発見した。私のブログの更新頻度と日本経済に密接な関係があるのだ。下のグラフを見てもらおう。赤い線が日経平均、黒い線が私のブログの更新頻度。見事に一致している。

日経平均とブログの更新頻度

 一致というよりも先行指標となっているところに価値がある。つまり私の更新頻度が上がると数日して株価も上がると言うわけだ。私のブログを読んでくださる皆様はこれから更新頻度に着目して株式投資に活用していただけたら大変うれしい。

 ブログランキングに投票してもらえると、もっとうれしくなってブログの更新頻度が増えるかもしれない。そうすると日本の株価が上がるわけだから皆さまのクリックが日本経済を明るく照らすことになる、、、、、かもしれないと言うのは楽しい話ではないか、、、、、、

 株が下がるとがっくりときて何もする気が無くなるのだろう、などというのは下種のかんぐりと言うものだ。それにしてもサブプライム問題は、、、


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ゼブラはペンか

 スケッチブックがいつもそばにある。実際、絵を描いてみると自分が対象物をどう見ているのかが良くわかる。もっともたいていの場合、絶望的に観察力が不足していることを思い知らされるのが関の山だが。

 と言うのは嘘で、確かにA3サイズより一回り大きいスケッチブックはそばにあるが、メモ帳の代わりに使っている。電話を受けた時のメモや、熱が出た時のグラフや、物理の計算やOSのクリーンインストールの手順などが書いてある。このくらいの大きさがあると字でも絵でも自由に書くことができて便利なのだ。

 ただスケッチブックとして生まれてきたからには、たまには絵も書いてやらねばかわいそうだ。そんなわけでところどころに鉛筆で書いた素描がある。気の向いたときは水彩絵の具で色をのせたりもしていた。まあ自分の手を動かすと言う自己満足だけの世界だが。

 ところが最近ではこれが面倒になってきた。鉛筆で輪郭を書いて擦筆でぼかす。筆に絵の具を溶いて、、、、と言うのがである。

 そこで登場したのがボールペンと色鉛筆。ボールペンで輪郭を書き、べたっと色鉛筆を塗る。漫画の世界であり、何かを表現したいと言うよりも、手を動かすと痴呆対策になると言う、大人の塗り絵の世界だ。



 もちろん男の趣味であるから当然道具にこだわりはある。色々な種類のボールペンを購入し比較した結果、今ではゼブラ社のTECHNO LINE 0.4を使っている。これは適当に筆圧をかけた場合きれいな線が引ける。字を書く場合は筆圧が軽くてすむ筆記具が好きだが、絵の場合はこのゼブラが気に入っている。

 このボールペンであるが、米国では単にペンと呼ばれているらしい。ゼブラ社も日本でこの啓蒙活動を始めたようだ。

Zebra, This is a pen.
それにしても看板にThis is a pen.とは、、、、、、、笑えるでしょう。



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すかいらーく

 休日の朝はガストでモーニングプレートを食べることがある。スクランブルエッグとカリカリベーコンを食べると元気になる。こんな日のお昼はバーミヤンで豚肉と野菜の生姜炒めランチ、なんたってライス大盛りにしてもただ。おやつ用にFloで洋ナシのタルトを買って帰る。こうなったら夕食もファミレスだ。すかいらーくでハンバーグを食べる。その後で友人と少し飲もうと言う話になり、藍屋で手羽塩焼きやアナゴ天ぷらを肴にビール。夜中に腹が減るといけないので小僧寿しで太巻きとイナリを買って帰る。

 最近ファミレスもいろいろなバリエーションがあって便利になった。しかし今日行った店にはある共通点がある。全てすかいらーくのグループ企業なのだ。すかいらーくグループにはこのほかにもジョナサンや夢庵など30以上の業態があるという。

 このすかいらーく、創業者による株買収により昨年上場を廃止した。近年、外食産業は縮小しているが新規参入も続いていて競争はますます激しくなっている。短期利潤を求める株主の要求にはこたえられないというわけだ。長期戦略を実行していくための上場廃止、見識である。

 株の買収と言えば放送事業がターゲットになった。ライブドアによるニッポン放送買収であり、楽天によるTBS買収。防衛策が議論されているがそもそもマスコミが上場すること自体がおかしい。現経営陣は色々言っているが防衛するなら身銭を切って自分で買収するべきだろう。

 さて今日の摂取カロリーは5000kcalを超えていそう。こうなると一時間程度走っても消費できそうに無い。又デブへの道をまっしぐら。ところでケーキの食べ放題で平均して女性の食べる量は20個だそうだ。ひとつ250kcalだとするとやはり5000kcalとなる。一緒に走ってきましょうね、、、、


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世界標準と日本

 20年位前オーストラリアに半年暮らした。仕事は夕方の4時には終わり、日没が8時過ぎだとするとやることはひとつ、ゴルフである。

 平日は毎日9ホールつまりハーフを回るのだが、調子の良いときは18ホール回ることが出来る。パブリックコースなので安い、たしかハーフで3オーストラリアドルだったと思う。休日はゴルフ場のはしごであったが、他にやることは無かったのかといえば、自信持って言える。他にやることは無かった。

 半年後にはハーフで50を切るようになっていたが、これには理由がある。このパブリックコースにはバンカーが1箇所しかないのだ。18ホールで1箇所。それにOB無し、隣のコースに打ち込んでも帰ってくればよい。

 日本に帰ってきてゴルフに行ったが、全く別のスポーツである。全てのホールにバンカーはあるわ、林や池まである。何だいったいこれは。あまりにも人工的なレイアウトに人間不信に陥る。人間とはここまで意地悪くなれるものか。本来ゴルフとは自然との闘いではなかったのか。

 おまけにキャディまで付く。自分でカートを引っ張って走り回っていた山猿が急に王侯貴族のまねをしているようで落ち着かない。もっとも「あの杭から三本奥の木の根元に落ちました」などと教えてくれるから、たしかにボールの消費量は少なくなった。

 120も叩いて身内には「上手だと聞いてたんだけどなあ」と言われてしまったし、お客様にも「肩の力を抜いてーー、リラックス」などと気を使わせてしまった。

 日本には世界標準からかけ離れたものが多いが、ゴルフはその代表であろうか。オーストラリアのゴルフのほうがよっぽど特殊だと言う意見もあるがそれは違う。

 オーストラリアのBright People Booksで刊行している"On the origin of golf by means of natural struggle"と言う本がある。そこにはゴルフの起源として原住民アボリジニーの"Goe-lx-fum"という遊びが英国に伝わったものであると言う説が書かれている。

 ことの真偽は別としても、日本のゴルフは性にあわない。あれからゴルフのお誘いはお断りしている、、、、ということになっている。かわいそうに本間のパーシモンは車庫で腐っているが、そのうちシャフトを切って文鎮にでもしてやろうと思っているのだが、、、


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高速道路の正しい歩き方

 高速道路は木の葉を落とした広葉樹林の間を貫いて海岸線に向かって続いていた。この時期、この高速道路を使う人はほとんどいない、貸切状態だ。ほどなく冬の太陽は日本海に沈むだろう、急がなくては。すこしスピードをあげる。今日の宿は新鮮な魚料理で有名なひなびた民宿、山波。こんな寒村にあるのに予約がなかなか取れない有名宿だ。

 異常を感じたのは熊野トンネルを抜けてすぐ、川沿いに走る高速道路が大きく右にカーブしているあたりだった。突然車体がふっと突き上げられ、前輪のグリップを失ったのだ。時速160キロで走っていた車は、そのまま直進する格好でガードレールに向かっていく。

 事故は避けられない。被害を最小限にするためにアクセルを軽く踏む。かろうじてグリップを回復した車の左側面をそっとガードレールに当てていく。すさまじい音と、火花が10秒も続いただろうか、車は止まった。よかった、スピンは避けられた。

 幸いなことに右側のドアーを開けることが出来たので、後続車に注意して外に出る。ガソリンのもれている匂いはしない。引火の危険性は少ないと思うが、用心に越したことは無い。

 乗っていた人間にはほとんどショックは無かったが、車は無残なものである。左のフロントタイヤは90度横を向いていて、バーストしたタイヤがへばりついている。エンジンは停止していて、水蒸気を上げている。

 と、突然地面が激しく揺れた。地震だったのか?かなり激しい。高架になっている路面が波打って見える。後ろのほうには30センチもあろうかと言う段差が見えた。これでは後続車も期待できない。

 山の中だ、携帯電話も圏外を示している。およそ200メートルくらい先の26キロポストまで歩いて非常電話をかけるがダイヤルトーンも聞こえない。地震の影響か回線障害が起こっているようだ。

 困った、ここがどのあたりか見当が付かない。カーナビに頼っているから地図を積んでいないのだ。ハイウエイを歩くしかないのだが、先に進んだほうが良いのか戻ったほうが良いのか判断がつかない。高速道路を歩くための情報は極度に不足しているのだ。

 こんなときに役に立つと思うのが、高速道路のサービスエリアで配っている「ハイウエイウォーカー」高速道路を楽しく歩くためのガイドブックだ。

Highway Walker

 それにしても「ハイウエイウォーカー」という名前を奇異に感じる人はいないのだろうか。いろいろとウォーカーシリーズを出している角川の情報誌だから「ハイウエイウォーカー」にしたのだろうけれど、話題づくりのための確信犯だったりする。この文章はまさに角川の作戦に引っかかってしまったとしか言いようが無いのだが、、、、



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肩こりに究極の磁気を、、

 渡り鳥は曇って太陽が見えない日でも正しい方向に飛んでいくことが出来る。一説によると鳥には地磁気を感じ取る器官があって、そのため正しい方角を知ることが出来るなどといわれている。

 旅先で飼い主とはぐれてしまった犬が、何十キロも歩き続けたすえ自宅にたどり着いたなどという話も聞く。きっと犬にも地磁気を感じ取る器官があるのではないか。

 毎年人間ドックを受けている。ここ数年、体重は増え続けているのに、どうも頭のほうは軽くなったような気がする。脳みそを輪切りにして撮影する頭部MRIもドック・メニューに入っているというので受診してきた。

 MRIはレントゲンと違って放射線を使わない。その代わり電磁波と強力な磁石とを使う。実際に検査されたことのある方はご存知だろうが、検査中ガタンゴトンと大きな音を立てているのが磁石の動作している音だ。

 どのくらい強力な磁石かというと、磁気ネックレスの十倍くらいもあり、検査室に金属の持ち込みは厳禁だ。このくらい強力だと、きっと人間も磁気を感じ取れるのではないか。いきなり北に向かって旅立ちたいという衝動を抑えきれなくなったり、極彩色の幻覚が見えたりしないか。期待に興奮しながら検査台に横たわった。

 「大体40分ぐらいかかります、大きな音がしますけれど故障じゃありませんから安心してください。眠ると良いと思いますよ」と言われたけれど冗談でしょう。眠るわけが無い。

 「では、はじめます」ピッ、ガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトン、、、、、、、、、、、、、、「はい終わりましたよ、起きて下さい」

 不覚にも眠ってしまった。残念ながら幻覚は見えなかったし、妙な夢も見なかった。それじゃあ何も無かったのかと言うとそうではない。肩こりが嘘のように楽になったのだ。もう少しで磁気ネックレスを買ってこようかと思ったほどだ。

 もし同じようにMRIで肩こりが治ったという方がいたら連絡して欲しい。それに今「MRI肩こりサロン」の開業を検討しているので出資したい方も連絡して欲しい。料金は40分2万円の予定だが、利用されたい方も連絡して欲しい。効きますよーーこれは、、、、回数券購入の方には肩の血流測定サービスもつけようかと思っているのだが、、、、


注:渡り鳥が地磁気を感知するというのは現在のところまだ仮説で、検証された事実ではありません。 


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100匹目のドジョウ

 「100匹目のドジョウ」はアンソニー・サクマが創作した生物学の現象である。利根川水系に生息するドジョウの生息域は主に樹木の陰であり、従って柳の下にドジョウを探すのは理にかなった行動であるにもかかわらず、誤った格言「柳の下にドジョウが二匹」により、愚かな行動とされてきた。

 しかし近年「柳の下のドジョウ」は確率的に正しい戦略であることが再認識されている。手当たり次第にドジョウを探すより、木陰を探したほうがはるかに効率が良いのは明らかであるからである。

 そして「柳の下のドジョウ」を肯定的に引用する人が100人を超えた時、この考え方が急激に日本全体に拡散した。お互いに交流の無い、地理的にも隔離された人たちが、たとえば淀川水系で柳の下のドジョウを探し始めたのである。

 当初、社会科学的にこの知識の拡散と言う現象が分析されたが、知識の共有に至る過程を解析することが出来なかった。そして、生物化学的なメスを入れたとき、驚くべき事実が判明した。

 どうも百匹目の猿現象が人間にも起こっているらしい。ある知識の所有者が100人という閾値を越えると、空間を隔てた他の個体に容易に伝播するらしいのである。この超自然現象とも言える事実に対し、科学の目はインターネットやグーグルといったキーワードを基に解析を進めているようだ。

Photo: http://www.agri.pref.kanagawa.jp/suisoken/naisui/fishfile/dojyou.htm
注:この記事は事実に基づいていない完全な創作です。
 
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バスと呼ばれた娘

釣られた魚: あのー、ちょっと聞きたいことがあるんですけれど、、、、、

釣り人: うぅん?

釣られた魚: 私、これからどうなるんでしょう?

釣り人: えっ、どうなるって、、、、

釣られた魚: 私、食べられちゃうのよね?

釣り人: バスなんか食べないさ。

釣られた魚: だって、、、じゃ、どうして釣ったの?

釣り人: 君、ブラックバスだろう。バスフィッシングを知らないの?

バス: それって、、、あなたが勝手に決めたことでしょ、私は知らないわ。

釣り人: ま、バスとの知恵比べ、スポーツと言っていいかな。

バス: スポーツって、偽の餌で釣るなんて、フェアとも思えないわよ。

釣り人: でもこれ、プラスチックワームって言うんだ、良く出来てるだろう。

バス: あなたねえ、これ腐らないの知ってる?湖の底にはいっぱい沈んでるのよ。

釣り人: ははは、じゃあ君、知ってて食ったんか、あほか。

バス: あほかって、、、誠実さのかけらも無いわね、あなた女友達いないでしょう。

釣り人: 、、、、い、いきなりなんだよ、、、、、、

バス: 他人と向き合えないから、魚相手してるんでしょう。

釣り人: そ、そんなこと言うんだったら、バスだって魚食い荒らして嫌われてるじゃないか。

バス: それって私のせい? 上野動物園のライオンに同じこと言ってらっしゃい、馬鹿。

釣り人: ちっ、狭い湖に閉じ込められているわりには、世間を良く知ってるなあ。

バス: 広い世界にいても見えない人にはなんにも見えないのよ。でも、なんか苦しくなってきたわ。

釣り人: おぉ、いますぐリリースするからな、目つぶってしっかり耳押さえて、、、

バス: ちょっ、ちょっとまって。この橋の上から水面まで30mはあるわよ。脳震盪起こしちゃうよぅ。

釣り人: 、、、、、、

バス: やめて、やめて、、、うあああああ、、、ああああああ、、、ああああああ、、、、、、、、、とぷん、、、、

 宮が瀬ダムにかかる橋の上で大勢の人が釣りをしています。あちこちからリリースされた魚の悲鳴がこだましています。飛び魚じゃないんだから、まったく。


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最近の若者と企画会議

 「原因不明の仮病にかかりました」って電話してくるか?普通。笑えませんかって?笑えません。人間が他の動物と違うのは笑うことだって?カラスだって笑ってるよ、あほー。まったく最近の若者は何考えてんだか。笑ってちゃ仕事にならないんだよ。

 企画書出来ないって言うけど、こういうとき「はい、やってみます」と言えないのかなあ。そう言ったら、なんて言い返されたと思う?「世の中には何でも『Yes』と答える無鉄砲ものと、何でも『No』と答える小心者がいます。進歩するのは後者のほうです」だとさ。君のオリジナルじゃなさそうだね。どこで聞きかじったんだか、口だけは達者なんだから。

 やっと出てきたこの企画書はなんですか。里谷多英じゃあるまいし、下手なコザックしやがって。最近流行のラジコンヘリの機体を子豚にして「ヘリコブタ」って、、、だじゃれですか。そんなもん商品にならん。

 「先輩、やっぱり新宿西口でフォークソング歌ってたんですか」って、今度は何をたくらんでるんだ。豚皮をはったギターで「ポークギター」って、うちはキッチン用品の会社だよ。ダジャレで蔵たてたやつはいないんだよ、ちょっとはまじめに考えてよ。

 こんなブレーンストーミングをやりながら商品化にこぎつけたとしか思えない商品、「ブタの落としぶた」。ヒット商品らしい。要するに駄洒落が九割の商品なんでしょうけど、こりゃ金を産むダジャレ、、、、お若いの、おみそれしました。 え、北米市場で勝負するって?それは止めときなはれ、、、


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新文章作法、起床転落

 文章の問題提起の部分。問題点を整理された抽象的な表現で表し、結論の記述も重要。梗概とも言え、この部分をしっかり読むことで、文全体の意図を間違えなく捉えられるようにする役目の段落である。

 文章の床になる部分。問題を具体的な例で示してある。この部分は創作ではなく実例であることが多い。「フクロウと大理石」では起床転落という構成になっているものが多く、「新文章作法、起床転落」も当然この構成になっている。

 場面を大きく転換したり、発展させる。この部分は大いに創作するところであり、荒唐無稽であればあるだけ良い。転は語源的に展が転化したもので、事実という狭い枠組みにとらわれず、創造を添加した段落である。

 落ちの部分であり、自虐落ちか駄洒落が主である。落ちを書きたいために文章全体を書くことが多い。どう落とすかしか考えていないので、落ち以外の段落は読者に考えるきっかけを与えるという目的以外何の目的も無いことが多い。普通の落ちとは大違いである。この「新文章作法、起床転落」は自己言及の面白い例と思うが、語るに落ちるというのはこのことである。

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LDコンパイラ

 「一度しかない人生、自分のために生きる」という人、ちゃんと自分のために生きてますか。「自分のために生きる」は目的じゃないでしょう。繁殖以外の目的は無いというのが人生の真実。でなければ人生についての議論がこんなに有るわけ無いではないか。ここに宗教の生まれる余地があり、スパゲッティ・ミートソースを神として拝む人生だって可能である。そんな人に弊社開発ライフデザイン・コンパイラ宗教合成ツールをお勧めします。

 歴史を見ても宗教は支配のために利用されてきました。この危険を避けるためのツールがライフデザイン・コンパイラです。貴方だけのオーダーメイド宗教を生成できます。操作は簡単。生年月日と名前の画数、趣味、血液型、手のひら認証データを入力するだけです。写真は手のひら認証データの例です。

 特注とはいえ宗教というからには奇跡ぐらい起こします。めったに起こらないから奇跡というのですから1千万分の1ぐらいの確率で起こるものを提供しています。ライセンスアグリーメントの裏にジャンボ宝くじを張ってあります。奇跡の訪れとともにあなたは億万長者になるでしょう。

 人生なんてこんなものです。若者よ、繁殖につとめ私の年金を払ってください。人生の目標は繁殖しかないのですから。LDコンパイラは現在開発中です。

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