ホウジョウキ  ++ 小さな引籠り部屋から ~ ゆく川の流れは絶えないね

考えつつ振り返り、走りながらうずくまる日々。刻々と変わる自分と今の時代と大好きなこの国

宇宙飛行士の引退

2011-08-30 21:00:24 | 日本文化
宇宙飛行士の山崎直子さんが、宇宙研究開発機構を退職する、というニュースが流れた。

理科系でもなく、特別天体好き、宇宙好きでもない私は
このことをネットのニュースで今日初めて知った。

山崎直子さんが宇宙飛行士候補に選ばれた時、
宇宙へ飛び立った時、
世間は彼女をとても好意的に話題にしていたと思う。
美人で秀才、そして宇宙飛行士になった女性、
夫も子供もいる、何でも手にしているスーパーウーマンのような扱いだったと思う。

私は、日本人最初の女性宇宙飛行士、向井千秋さんについての本を何冊か読んでいる。

宇宙飛行士になることの困難さ、
宇宙飛行士に選ばれてからの訓練の過酷さ、
を、向井千秋さんの夫が克明に書き記してくれたおかげで、知ることになった。

どれほど聡明で、強く逞しく、明るく、果敢にチャレンジする人
私は宇宙飛行士になる、という人に対してそういうイメージを持っている。
たぶんそのイメージは、そんなに外れていないんじゃないかと思っている。


山崎直子さんは、二人目のお子さんを妊娠中である、という。
そうか、お子さんを産むから、引退するのだろうか。それはわからないが。

ただ、ああ、世の中の男性達にやっかまれるのだろう、とまず思った。
彼女が宇宙飛行士になったために、自分が振り落とされた、と思っている
宇宙飛行士を目指して諦めた男性がたくさんいるだろうと思う。
宇宙飛行士候補を選抜する試験は、相当熾烈だ、と向井万起男【向井千秋さんの夫)さんが書いた本で読んでいる。
多くの優秀な人たちの中からたった3人とか4人とかの、ごくごく選び抜かれた人が
最終的に宇宙飛行士候補として採用になる。

その後、宇宙へ行くための訓練を長い間(2年とか3年とかそれ以上とか)積むのだ。
そういう試練に耐えて勝ち残った人だけが、宇宙飛行士として宇宙へ行くことができる。

山崎さんは、そういう中を勝ち残った人だ。
そして宇宙へ行った人だ。

それを、40歳の若さで引退することに違和感を持つ人がいて当然だと思う。
何でも手にできる人は、簡単に手放すんだな…というようなやっかみ。
そして、女はやっぱり物事を成し遂げられないんだな、という男性の見かた。

子供を出産して、また宇宙飛行士としてチャレンジし続ける人生も
なかったわけではないのだろうと思う。
優秀な人材を、一度宇宙で仕事を成し遂げてきた人を、組織が簡単に手放すとも思えない。

それでも、宇宙飛行士を辞める理由が、彼女にはあったのだと思う。

女性が仕事をしていると必ずぶつかる、「仕事」と「女性として生きる人生」の板挟みという壁。
私も何度もぶつかってもがいた覚えがある。

子供を育てようという人は、もっと難しい選択や決断をしながら、危ういバランスを取っている
というのが現実で、上手くバランスが取りきれず、どちらかをやめる人が多いのだ。

山崎さん、引退する理由を特に語ってはいないようだ。
宇宙飛行士候補に選ばれた時、宇宙へ行くことが決まった時
彼女は語っていた宇宙への夢を語っていたし、宇宙飛行士としてやり遂げたい夢も語っていた。

そんな彼女の人生の方向転換。


そのことを、道半ばでのキャリアロスと考えるのか、
軽やかな転身、と考えるのか、

これから夢を成し遂げようとする、後進の女性たちはどう受け取ればいいのか。
彼女自身も、社会も、今までの社会の固定観念のバイアスで見ないでほしいと思う。
それはきっと今までの既成の価値観に偏りがちな目線だし、
これからの社会が、その古い価値観のままの社会でいいとも思えないから。

お子さんを産んで、また違う道で光り輝く山崎さんに、是非会いたいと思う。

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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2011-08-30 23:59:24
人の人生への感想は、結局は書いた人の心理の射影か。
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Unknown (Unknown)
2011-09-08 01:19:54
そうですね。
自分の人生に照らし合わせること以外に、どうやって人の人生を語ることができるでしょうか?
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