最初は指が触れた。微かに触れ合った。その重さで、触れる時間の長さで僕らは感じた。許しあえれば手のひらを重ねた。体温が同じになるのを感じたら、見詰め合った。瞳の奥に自分の顔が映り、瞬きの回数が少なくなるころ触れ合いから抱擁に移った。常にドキドキしながら抱きしめる強さと感触で「許し」の深さを感じとった。また最初に戻るときもあれば、キスを知ることもあった。抱擁の中で呼吸が重なり、魂の一体感が生まれるまでゆっくりと確かめ合った。皮膚の下の体温の変化が次に進む合図になった。
言葉を使わないこと、それは信じきることに似ていた。だから、言葉が必要となったとき、僕らは感じきることができなくなるのではないかという不安を覚えた。たぶん、「外側の人間」の集団だったぼくらに言葉はなにを強要するのか、「集団」が「組織」の変わり始めていた。
言葉を使わないこと、それは信じきることに似ていた。だから、言葉が必要となったとき、僕らは感じきることができなくなるのではないかという不安を覚えた。たぶん、「外側の人間」の集団だったぼくらに言葉はなにを強要するのか、「集団」が「組織」の変わり始めていた。