恐怖感がヒデオを寡黙にしたのか。ヒデオの言葉から想像すると父親は母親にも暴力をふるっていたようだ。母親の働いていた居酒屋は主人が料理を作り、客に手渡すようなカウンターとテーブルが3個の小さな店だった。接客はヒデオの母一人で、はじめのころ、常連客に冗談交じりにケツを触わられたりすると虫唾が走り、つい客を睨みつけてしまった。主人はそんなヒデオの母をきつく叱責した。クビにならないためにヒデオの母は自尊心の傷つくのを封印した。2,3ヶ月するとそんな客の手を笑顔で叩いて冗談を言えるほどになっていた。そして、客の誘いで店が終わってから飲みにいくことが徐々に増えてきた。