そのころのTG会の根拠地は部室が最も大きかったAG大にあった。空手部や柔道部といった格闘系の人間もそのサークルに所属し、勧誘の際はボディーガードのように付き添っていた。マサルとヒカルはMG大の部室に連れ込まれ、入部届けに記入を求められた。二人とも正直に現住所を記載し、父母の名前や職業まで書き込んでしまった。強面の男たちが威嚇するかように周りを取り囲んでいれば誰でも従わざるを得ない状況がそこにはあった。ただし、二人の前で指示をするのは体の線がはっきり解るニットのワンピースを着た大学生には見えない色気のある女性だった。終始笑顔で彼らに書き方を説明した。さらに二人の両脇には二人の女性が記載状況を確かめるかのように胸の柔らかさを感じるくらい接近し、彼らの手元を見ていた。最後に一枚のパンフレットを手渡され、狭い部室を後にした。
彼らが大学の中庭にさしかかると両脇にいた二人の女性のうちの一人の女性が追いかけてきて手をかざしながら、
--自由への旅が始まりました。ぜひこの集会にお越しください。あなた方の孤独と束縛は必ず取り除かれます。家族と呼べることを信じて、おやすみなさい。--
呆気に取られている二人を残してそれだけ言うと女性は立ち去った。二人は思わず顔を見合わせた。こみ上げるものをこらえながら、正門を出ると大爆笑に陥った。二人はパンフレットの内容も確かめることなく「ベース」向かった。
彼らが大学の中庭にさしかかると両脇にいた二人の女性のうちの一人の女性が追いかけてきて手をかざしながら、
--自由への旅が始まりました。ぜひこの集会にお越しください。あなた方の孤独と束縛は必ず取り除かれます。家族と呼べることを信じて、おやすみなさい。--
呆気に取られている二人を残してそれだけ言うと女性は立ち去った。二人は思わず顔を見合わせた。こみ上げるものをこらえながら、正門を出ると大爆笑に陥った。二人はパンフレットの内容も確かめることなく「ベース」向かった。