象が転んだ

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”生け贄”か?それとも”見せしめ”か?〜”黒い霧事件”と読売という名の悪の化身

2024年09月30日 13時51分43秒 | スポーツドキュメント

 水原被告への量刑言い渡しが、12月に延期された。理由はギャンブル依存の報告書を作成する精神科医を探す為だという。
 大谷選手の元通訳・水原一平被告(39)が大谷の口座から約26億円をだまし取ったとして銀行詐欺罪に問われた事件で、米連邦地裁は10/25に予定の量刑言い渡しを12/20に延期すると決定した。
 水原被告は6月の前回審理で罪を認め、量刑言い渡し後、即座に収監される見通しだ(読売新聞Online)。

 但し、某国際弁護士によればだが、水原被告には大谷から盗んだ26億円に加え、追徴課税や罰金を含めた約30億円の支払い義務が課せられるが、実際には支払わずに済む可能性が高いという。
 その理由として、大谷側が26億円を取り戻すべく、アメリカでの判決を日本で承認する手続きを取るのは理屈上はできるが、可能性は低く、アメリカでの支払命令を日本で執行するのは難しいとの事だ。
 確かに、”26億円キレイに揃えて返せ”って大谷側が逆訴訟を起こせば、双方で泥沼に陥るだろう。結果、罰金の4億だけが動き、裁判所だけがボロ儲けって事態も考えられなくはない。
 勿論、「されど大谷#32」のコメントにある様に、大谷に違法賭博側との接触があったり、水原被告の賭博依存を既に知ってたのであれば、話は全くの別モノになる。つまり、最悪はMLBを永久追放処分となるのだが・・
 少なくとも”嘘だと言ってオータニ”と言う声だけは聞きたくない。勿論、常識的に考えれば、ありえない話ではある。
 私的にはだが、水原被告の違法賭博は薄々と感づいてはいたが、身の危険を察し、大掛かりな闇組織との直接的接触を避けたというのが、本当の所ではないだろうか・・・というのも、2年を跨ぐシーズン中はともかく、オフに自分の懐に対して全くの無頓着とは考えにくいからだ。
 

巨人軍と自民党と反社会的行為

 飛ぶ鳥を落とす程の勢いで稀有の大記録を更新し続ける大谷だが、J・ジャクソンも池永もかつては(大谷にも負けない程の)輝かしい将来を確約された稀有の天才選手の1人だった。 
 事実、ブラックソックス事件(1919)も現役の判事ランディスがコミッショナーに君臨してまで、当時のMLBを蔓延していた違法賭博事件を調べたが、時すでに遅く、選手はおろか審判や球団関係者にまで広く及び、違法賭博は手が付けられない程までに地下深く埋もれていた。
 ランディスは仕方なく、当時MLB史上最高の打者とされたジャクソンを含め、CWSの主力選手8人を永久追放処分するだけに留まった。いわゆる”見せしめ”である。
 これに関しても、私はランディス自身も闇組織に脅されてたのでは?と勘ぐる所がある。事実、賭博に手を染めてた(同じ4割打者の)タイカップが無罪というのも、未だに理解できない。つまり、真相は闇のまま葬り去られた事になる。

 その丁度半世紀後、日本プロ野球でも同じ様な八百長事件が起きた。
 当時、日本列島を震え上がらせた”黒い霧”事件(1969)は、プロ球界だけでなくオートレースにまで及び、不世出の天才投手・池永(西鉄)が永久追放処分となった。噂では読売グループが裏で絡んでたとあるが、事の真相はこれまた、未だ闇(霧)のままである。
 この様に、違法賭博で不世出のスター選手が追放処分を受けるケースは実際に存在する。ジャクソンも池永も全くの”寝耳に水”だった筈だが、こればかりは不運としか言いようがない。勿論、不運だけで済まされないのは重々も承知なのだが・・・
 そこで今日は、”黒い霧”事件の真相について書きたいと思います。

 この”黒い霧”事件で一番の被害を受けたのが、当時、読売巨人軍の最大のライバルであった西鉄ライオンズであり、事実、この8年後には、西武グループに身売りされた。
 つまり、黒い霧事件のお陰で、”野武士野球”で日本中を歓喜させた、栄光の西鉄ライオンズは消滅した事になる。
 更に言えば、“黒い霧事件を画策したのは読売巨人の親会社である讀賣新聞社グループである”との噂が”黒い霧”の真相である。
 以下、「”黒い霧”事件の黒幕は讀賣グループ」より一部抜粋します。

 ”黒い霧”事件当時から、讀賣巨人軍のバックには保守政党の自民党がついており、その根拠として、長嶋のデビュー当時の写真のバックネット裏には岸信介らがネット裏に陣取って長嶋のデビュー戦を観戦していた事実がある。
 一方で、巨人のライバルだった西鉄のファンの多くは炭鉱労働を中心としたブルーカラーの人たちだった。
 つまり、セリーグを代表する讀賣巨人とパリーグを代表する西鉄ライオンズの構図の如く、自民党(巨人)と社会党(西鉄)という2大政党による力の均衡が日本には存在していたのだ。

 例えば、1978年秋の”江川事件”でも、自民党が江川事件に暗躍し、“空白の1日”論の発想者で仕掛け人は、作新学院理事長・船田中の秘書・蓮実進というのが今や定説である。故に、自民党や讀賣巨人にとっては、その対抗勢力と成り得た西鉄ライオンズ(もしくは社会党)は、”目の上の瘤”の様な存在でもあったのだ。
 そこで、事件当時の巨人・自民党の知恵袋とされた人物たちが”黒い霧事件”を画策し、パリーグ名門・西鉄に大打撃を与え、その8年後には、当時”昭和の怪物”と謳われ、野球界の超大物だった江川卓を、自民党とパイプを持つ巨人が江川の“独占交渉権”を力づくで奪うといった、非常識すぎるやり方を貫徹したとされる。
 確かに、令和の今もそうだが、自民党が政治を独占するとロクな事はない。
 以上、inter-edllからでした。


見せしめと生け贄と・・・

 確かに、短期間で大金を稼ぎだすプロスポーツ選手は誘惑に晒され易い傾向にあるが、人は甘い誘惑には脊椎反射的に反応し、考えて判断したつもりが、気が付いたら自滅の淵に追い詰められている。
 体を鍛える事を専門にする野球選手に”頭も鍛えろ”と説教しても限界があるが、だからこそ黒い誘惑の手も伸びやすい。某コメントには”頭よりも心を鍛えるべき”とあったが、まさにその通りである。

 かと言って、読売のやり方も残忍でエグすぎる。
 ”現役ドラフト”で、巨人での再出発か決まったオコエ瑠偉だが、暴力反社が開いた宴会に出席してた事が、週刊新潮の取材で分かった。
 しかし、読売広報部は謝罪する様子もなく”本人が暴力団と交際してた事実もないし、本人もその様な認識は一切なかった”と白々しい釈明をする。
 更に、女性を妊娠させ中絶させた坂本が何らお咎めなしにプレーを続けるなど、闇社会も悪だが、栄光?の巨人軍も巨悪という意味では同類である。

 一方で、監督を2度も下関に交渉に行かせた挙げ句、巨人を蹴って西鉄に入団したという読売と池永氏との軋轢も、ここに来て明らかになっている。つまり、この時から読売が池永への報復を企ていたであろう事は容易に想像できるが、それにしても巨人は自民党と同じく、反社会的な事を平気で行う。
 悲しい事だが、これが読売グループの黒い現実であり、黒い霧事件の真相でもあろう。
 更には、悪を行使するのは今や巨人だけではない。V9時代の読売の様に勝利至上主義に突っ走るソフトバンクも、露骨な性犯罪者の山川穂高を獲得してまでも勝利に拘った。その背後には、王会長の(読売と同質の)腹黒い勝利至上主義が見え隠れする。

 福岡ソフトバンクの歴史は西鉄ライオンズが起源にある。一方、王さんは読売巨人軍のOBである。東京読売が汚い真似をして、福岡ソフバンが何もしないでは、メンツが潰されるとでも思ったのだろうか?
 ”黒い霧”事件の負の連鎖は、こうした”見せしめ”の繰り返しで引き継がれるのだろう。
 仮に、”目には目を”が今のプロ球界の流儀ならば、(娯楽と言えど)そんな悪の組織は潰した方が日本国民の為である。

 令和の時代でも堂々と”見せしめ”や生け贄の儀式が行使される時代に、我らは当たり前の様に生きている。
 時代とは人が作り、人が支えるものである。その人間が時代に淘汰され、時代は浄化される。仮に”適者生存”が真ならば、巨悪が絞り出す泥水を啜って生き延びてきた読売巨人は”永久に不滅”ではなく、永久に葬りされるべき”虚神”ではないだろうか。
 所詮は”キレイ事に過ぎない”と一笑に付されるかもだが、キレイ事を押し通すのも1つの模範解答である。


最後に〜35年の沈黙 

 次回でも述べる予定だが、事の真相を「復権−池永正明、35年間の沈黙の真相」(笹倉明 著)より、少しだけネタバレする。

 故・池永氏が30年以上も沈黙を守り続けたのは、単に全ての真相を公にするのを拒んだ訳ではない。実は、敗戦行為を何度も執拗に懇願するT先輩を救う為でもあったのだ。
 そこで池永は、1千万(今で言えば1億円)の借金を背負い、絶命の危機に瀕していたT氏を”1度だけは助けちゃる”と決意した。
 結果は池永が投げる事はなく試合は大敗し、結果オーライとなる。つまり、T氏は九死に一生を得たのだ。
 勿論、池永の心は揺れた。35年間ずっと揺れ続けた。”あの試合で投げてれば・・”どっちに転がろうが、1つの答えが池永自身の中に見いだせたかもしれない。が、投げなかった事で余計に迷いが生じたのだ。
 受け取った100万を強引にでも返せなかったのは、その”迷い”からかもしれない。だが、100万を返そうとする池永と(後輩に土下座してまで懇願した立場から)それを拒絶するT氏の態度は平行線のままだった。

 結局、T氏の”呑んで、なかった事にしよう”との提案で2人中洲で一晩中飲み歩いたが、100万はおろか20万が限度だったとされる。但し、この事を正直に自白してればだが、(法的には)助かった可能性が高いとされる。
 つまり、お金の問題ではなく、先輩に押し付けられ仕方なく預かった事の証明になるからだ。だが九州には”男は黙って”という美学が存在する。法律は理屈だが、美学は理屈では語れないのだろう。
 事実、当初は多くのメディアが”1年間の出場停止が妥当だろう”と報じた。少なくとも、永久追放に値する罪は犯してはいないし、検察が略式起訴すら出来なかった事実がそれを証明する。つまり、池永氏が極刑を受ける理由はどこにも存在しない。
 結果として、池永のケースは単に金銭欲から八百長を請け負った選手らとは全く異質であったと言える。

 人間は思う程に強くはない。野球しか知らない23歳の若者に”聖人君子たれ”と説教垂れても限界がある。池永はマウンド上でフェアに徹する事で精一杯だったし、当時1千万を優に超える年俸を稼いでた池永にしては、100万の授受なんてグランド外のチッポケな出来事に映った筈だ。
 勿論、池永自身にも問題はある。T氏との押し問答を調査委の場で正直に語るべきだった。”やってない”と主張するのなら、やってない事の理由を説明する責任が彼にはある。
 だが、当時の混乱し全てが錯綜した状況や、検察側の強引で一方的な尋問に脅された中で、全てを自白しろというのも酷かもしれない。だが、少なくとも自身が常々口にしてきた”若すぎた日の過ち”を潔く公にしてれば、ファンだけでなく多くの国民は黙ってなかった筈だ。
 しかし、池永氏は”オレは言い訳はせん”と、自身の美学に35年間も拘り続けた。”球界には何の遺恨もない”との言葉も自らの非を認める発言としては潔いが、正義を貫く為の自白も(実を結ぶ確率は低いが)自分を守り抜くには必要である。

 一方で、池永氏にこうした心の迷いや自身の美学を生じさせたのは、プロ球界の隠れた権力や暗部を公にしたくなかったのもあろうし、自らが味わった権力による”見せしめ”と”生け贄”という恐怖の連鎖を、自分の中で断ち切りたかったとの気持ちもあったのだろうか。
 少なくとも、300勝は確実(400勝も夢ではない)とされた若干23歳のスーパースターを35年もの間、読売グループがプロ球界への”見せしめ”として”監禁”していた事実は、長嶋さんの華々しい記憶や王さんの世界記録と同様に、語り継がれるべきである。

 つまり、民主主義とはそうあるべきだ。



2 コメント

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池永っていう人 (腹打て)
2024-09-30 17:08:40
思うんだけど
九州の男らしく、とても情に脆い人なんだろうね。
どんな理由があれ
100万もらったんだから、
指定試合に本気で投げて、自分を救う為に先輩を裏切ることも出来た。でも、先輩を救う為にわざと負けることも出来た。
前者は100万をT氏に返して謝れば済むことだし、敗戦試合を懇願した時点でT氏の人生は終わってると割り切ることも出来る。
後者なら、悪いと知ってて八百長に加担したんだから、永久追放の報いを受けることも自業自得である。

結局は、その2つで35年間ずっと心が揺れ動き続けたんだろうね。

そこんとこは、ずっと世話になった水原通訳を<裏切り者>呼ばわりした大谷とは大きな違いなんだろうか。
同じ九州の転んだ君が、そんな大谷を毛嫌いするのも理解できるような気もするけど、池永氏も男気が過ぎたんだろうか。
義理と人情の間で揺れ動く、池永氏の心の葛藤が35年間も続いたと思うと、僕には返す言葉がない。 
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腹打てサン (象が転んだ)
2024-09-30 21:33:26
著者の笹倉明さんは池永氏とT氏を合わせようと思った事があったそうです。
でも、池永氏は”会う必要もないし、そのつもりもない”と断ったらしい。
もし会ってたら、池永氏は狂って何をしでかすか自制が効かなかったでしょうね。
でも、お互いに判ってるんですよ。お互いに何を考えて、この35年を過ごしたか・・・
お陰で笹倉さんは自分を深く恥入ったそうです。

ただ悔しいのは、そんな池永氏の心の迷いや弱みに突け込んだ、読売グループの権力と言うか悪どいやり方と言うか・・
全くフェアじゃないですよね。
”江川事件”もそうですが、全ての責任を弱い立場の選手に背負わせるんですよ。

著者が最後に語ってる様に、裁かれるべきは池永氏ではなく、読売の脅しに屈したコミッショナーや球界の腐った体質、それに黒幕の読売グループではないでしょうか。
言われる通り、改めて自分も九州の人間なのかなって・・同じ立場だったら私も迷うと思いますね。
コメント感服しました。
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