作られた稚屈な会見〜ジャニーズ崩壊の序曲

　偶々､ワイドショーを見てたら､藤島ジュリー景子前社長に代わり､ジャニーズの新社長に就任した東山紀之氏の記者会見が行われていた。
　創業者である故ジャニー喜多川(享年87)による性加害問題が発覚し､その語のジャニーズは崩壊の一途を辿ってるように思える。
　それはまるで､ミッドウェイとカダルカナルの戦いでの敗北を起点に､成す術もなくズルズルと敗戦を積み重ね､気がついたら原爆を落とされ､無条件降伏を認めた旧日本軍とよく似ている。

　一時は､飛ぶ鳥を落とす勢いのあったジャニーズだが､正直ここまで国民の反感を買うとは思ってもみなかった。
　私のような”アイドル毛嫌い”の人種にとっては､今回の件など起こるべくして起きたもので､性被害に遭った元ジャニ所属のタレントらに謝罪し､相応の和解金を支払うだけで済むだろうとも考えていた。いや､ジャニーズが潰れるだけで事は済むと考えていた。
　しかし､それだけではどうも事は済まないようだ。
　国民やファンらを説得する為に行った記者会見が､どうやら裏目に出たようだ。

　東山氏(56)は”鬼畜の所業だ。(創業者の喜多川氏に対し)今は愛情は殆どない”と切り捨てた。一方で､藤島氏(57)は事務所としても個人としても”ジャニー喜多川による性加害はあったと認識している”と明確に謝罪した。
　同席していた井ノ原氏は喜多川氏に対し､”なぜ亡くなる前にしっかり落とし前をつけてくれなかったのかという思いが今もある”と付け加えた。
　ただ､気になるのが､東山も井ノ原も”性加害の噂は聞いていたが､自ら何も行動できずにいた”と述べた点である。
　つまり､2人とも”噂では聞いていた”が何も出来なかったのである。
　これは櫻井翔(41)も同様である。

　3人とも性加害を認めながらも反省し､ジャニーズ再建の覚悟を口にしながらも”性加害は噂では聞いていた”という点では､見事なまでに一致する。
　お陰で､3人の会見でのコメントも賛否を呼ぶ事態となってしまい､ネット上では冷ややかな声が上がっている。
　”<噂では聞いていたが>というのがジャニタレらの枕詞になるんでしょうね”とか”櫻井は当時子供だったのでと言い訳してるが現実には信じがたい”更に”<噂では聞いていた>の一点張りで違和感が凄い。<全て知った上でどうする事も出来なかった>と謝罪出来る人はいないのか”と手厳しい。
　その一方で､”櫻井クン､矢面に立たされても辛抱強く慎重に言葉を選んで回答してる。いつも凄いなぁって思う”と慮る声も上がっている。

　性被害を訴える元タレントらによる｢ジャニーズ性加害問題当事者の会｣も会見し､石丸志門副代表は”非常に稚拙で準備不足の会見”と印象を語り､事務所側が”事実認定と謝罪と救済を認めた事は評価できる”とした。
　性加害の影響は､所属タレントの起用や契約にも波及している。
　東京海上日動はジャニーズ所属の相葉雅紀氏をCM起用してるが､性加害の報告を受け､契約の更新却下を決定。また相葉氏のCM契約の途中解除も検討してるという。
　同じく所属タレントの櫻井氏や松本潤氏などを広告に起用してきた日本航空も(適切な対応が取られる事を確認するまでの間)起用を見送る事にしたと。

　こうした一連の問題を巡っては､事務所が調査を依頼した外部専門家による再発防止特別チームが8月29日に調査報告書の内容を説明。喜多川氏による1970年代前半から2010年代半ばまでの多数の性加害を事実と認定し､”被害は少なくとも数百人に及ぶ”可能性があるとした。
　英放送BBCが今年3月に報道し､多数の元ジャニーズJrが実名で被害を告発。これを受けて藤島社長が5月に公開した謝罪動画では”問題を知らなかった”と発言。公の場で”説明責任を果たしていない”と批判されていた。
　国連人権理事会の｢ビジネスと人権｣作業部会が7月下旬に来日し､被害を訴える当事者や事務所の代表者に聞き取り調査を行う事態にまで発展した。

　以上､｢性加害は”鬼畜の所業”・・｣から大まかにまとめましたが､これだけでも事が予想以上に深刻であるのは容易に想像できる。　
　新社長の東山氏は”被害者は数百人の可能性がある。大変センシティブな問題”と事の深刻さを認めつつも､”どのぐらい時間かかるか分からないが､法を超えての救済や補償が必要だ”と話る。
　しかし､”噂では聞いていたが何も出来なかった”人に何が出来るのだろうか。
　それに､数百人分の和解金など莫大な資金が必要になるだろうが､それだけの財源が今のジャニーズにあるのだろうか。

　”知ってて知らなかった”と嘘を付く前社長と”知ってて何もしなかった”新社長。
　ジャニーズの無条件降伏と終焉は､私達が思ってる以上に早く到来するのかもしれない。