象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

ペルソナの仮面と上島竜兵の急逝

2022年05月21日 06時24分11秒 | 芸能&三面記事

 お笑いトリオ”ダチョウ倶楽部”の上島竜平さんが11日の未明に亡くなられた(享年61)。
 このような訃報に接すると、我ら大衆は”なぜ”という言葉しか出ない。
 が、その問いに答えを求めてる訳ではなく、理由を知りたい訳でもなく、ただただ”なぜ”と混乱してしまう。
 人はいつかは死ぬ。
 若かろうが、歳食おうが、どんな死に方だろうが、人はいつかは死ぬ。
 それに、死ぬ事に理由はない。
 ただ、突然の訃報の前には、どんな人間も心を大きくかき乱されるのだ。ただ、巷で言われてる”首吊り自殺”が本当であれば、尚更混乱する。
 もっと楽でキレイな死に方は幾らでもある筈なのに、一番苦しい惨めな死に方を選択する。
 そこが(芸能人ではない)私には理解できない。芸能界という(豪華絢爛にも見える)虚の世界には、我ら大衆が知り得ない何かが隠されてるのだろうか?

 上島さんお得意のリアクション芸は、(かつては)日本列島を笑いの渦に巻き込んだ。
 熱いおでんを顔や口に突っ込まれる”おでん芸”を始め、熱湯の上にまたがり”押すなよ”との捨てセリフを吐きながら(あえて)落とされる。むちゃぶり後の”どうぞ”やケンカの後の”キス芸”など、笑い転げたもんだ。
 今、あれだけの”リア芸”を演じれる役者は多分いない。
 コロナ渦のお陰で、身体を張るお得意の”リア芸”を演じるのが難しくなった。だが、ここ数年は俳優としても活動し、数々のドラマでは多彩な顔を見せてはいた。 
 しかし今となっては、”聞いてないよぉ”とのギャクで魅せる、(怖いほどに明るい)芸人としての笑顔を見る事は出来ない。

 こうしたテレビの中の陽気な上島さんしか知らない我らは、表のキャラや個性は知ってても、(普段の)裏の顔や素性は知る筈もない。


ペルソナの怪人

 以下、「NEWSポストセブン」から一部抜粋です。
 ”人間はペルソナを付けている”と心理学者のユングは述べる。
 ペルソナとは古典劇における仮面の事で、ペルソナは他人に向けて見せる外向きの顔で、人が外の世界に対して付けてる仮面である。そして、ペルソナは1つではない。  
 ”人間には千個のペルソナがある”とユングは言った。(ペルソナを通じ)人は本当ではない自分を演じ、”他人にこう見られたい”という(仮の)自分の姿を見せる。
 人は幾つものペルソナをつけ替え、様々な状況に適応し、他人との関係を良好に築いていく。
 つまり、ペルソナを付けてないと人は無防備になるが、自分で作り出したペルソナのイメージが強過ぎてストレスになる。また、ペルソナは本当の自分を(絶対に)外には明かさない。

 昔、某俳優が突然亡くなった時、ある精神科医がこう言った。
 ”彼は俳優としてのペルソナを付け、見事にその役を演じきったんだろう。だから、突然の訃報を聞き誰もがなぜ?どうして?と思ってしまう”
 ペルソナは“仮面”ではあるが、その人を形作る要素の一つ。そのペルソナを剥がし、メディアや我らがあれこれ詮索する必要も、心ない憶測もいらない。
 上島さんが別のペルソナを持とうと、ただ我らは”死”という現実を受け入れるしかないのである。

 大好きな芸人だっただけに、正直ショックである。
 「真犯人フラグ」にも途中から参戦し、微妙で奇怪な味わいを醸してたが、シナリオが決められたドラマでは、得意のリア芸が入り込む余地はなかった様にも思えた。
 人は追い詰められると簡単に挫折する。
 人はちょっとした事でも、心のバランスを崩してしまう。
 自分は強い生き物だと信じてる人ほど、簡単に折れる。強い衝動と混乱はやがて自虐に変貌し、更に自らを追い詰める。
 

最後に〜人は忘れる生き物?

 DaiGo氏は11日のツイッターで、”芸能人の闇を暴露すると言葉を間に受けて騒いだかと思えば、(自殺する芸能人が出たら)かわいそうだ、芸能界の闇だと陰謀論で騒ぐ。一番の闇はこの掌返しの大衆だで、タレントを追い詰めるのは、いつだって大衆そのものだ”と、憶測に基づいた根拠薄弱の書き込みに対し、警鐘を鳴らす。

  確かにだが、ファンというものは芸能人を支え、ある程度の所で見切りをつけ、やがては見放してしまう。ある意味、有り難くもあり、同時に残酷な存在でもある。
 同様に、アイドルも(若い頃は)ファンに夢と希望を与えるが、(老いてしまえば)悪夢と失望を与える事が往々にしてある。
 好きな芸能人が自殺し、(ファンの中でも)ある者は混乱し、ある者は陰謀論を巻き散らす。

 そういう私も、(子供の頃の憧れで)ヒーローでもあったブルース・リーが僅か32歳で急逝した時(世界中にも大きな衝撃が走ったが)、メディアが好き勝手に書き立てた陰謀説を楽しむ自分がいた。
 ヒーローも勝手だが、ファンはもっと身勝手である。それに、いつまでも応援してるほど平和でもない。
 有名人や著名人の自殺や急逝は、我ら大衆の心を一時的には混乱させるが、やがては現実に引き戻される。
 時代は何事もなかったかの様に過ぎ、我ら大衆も、当時の混乱や喧騒が嘘であったかの様に普通の生活を送る。

 家族の死は(遺族らの心に)一生残り続けるが、(所詮は赤の他人である)著名人や有名人の死は、いつかは記憶から消し去られていく。
 人はそうやって、変異と排他を積み重ねながら、生き延び、やがて死に至る。
 今回の上島竜平さんの急逝もいつかは忘れ去られ、今回の騒動や喧騒も記憶から消え去るのだろうか。
 しかし、上島さんのリアクション芸だけは多くの日本人の脳裏に刻まれたまま、息づき受け継がれていく。

 ここにて、ご冥福をお祈り致します。



4 コメント

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Unknown (水仙)
2022-05-21 07:02:18
人は皆、ジキルとハイドを併せ持っているということですね。

現在、私を誹謗中傷している人も、いくつも偽名を使いわけて、ふだんは、親切な好々爺を装っています。が、ひとたび私を貶めるためにはどんな手段でも使うというブロガーです。私は昨年来、彼に殺されそうになりながらも、幸か不幸かまだ死んでいません。

コメディアンなどは、殊にこういう裏の顔が顕著かもしれません。アメリカの名喜劇役者ロビン・ウィリアムズが自死したときも驚きましたが、彼は鬱病だったそう。彼の演じるミセス・ダウトは家族で笑い転げましたが、裏の顔は深刻な鬱病みだったのですね。上島竜兵さんも鬱だったかも。
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水仙さん (象が転んだ)
2022-05-21 11:14:50
FBI長官のフーバーも芸だったというから
仕事をする時はその職責に似合う仮面を、遊ぶ時はエロ爺の仮面を、家にいる時は良きパパの仮面を被ってんですよ。
そして、他人を追い込む時は冷酷で残忍な化け物の仮面を被る。

ジキルとハイドだけならまだしも、”四色問題”じゃないですが、人は少なくとも4つ以上の仮面を使い分けてるような気がします。
そんな中でも、芸能人という人種は仕事でも色んな仮面を被る必要があるので、ある意味残酷な職業ですかね。

コメントありがとうございます。
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ここでも (tomas)
2022-05-21 15:21:05
四色問題ときますか
言われてみれば
現代社会を生き抜くには
少なくとも4つの仮面を被る必要があると

大谷翔平じゃないけどリアル四刀流の世界。
その大谷もはメディアの応対を見てると
いい子の仮面を被ってるのはアリアリですが、一旦マウンドに立てば形相が変わる。
そうやってメジャーの厳しい世界を生き抜いていくんですよ。 
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tomasさん (象が転んだ)
2022-05-22 06:37:23
そうなんですよ。
とても表と裏の2つの仮面だけじゃ生きてはいけない。4つとは少し大げさですが、少なくとも3つは必要ですか。
芸能界も我々が思ってる以上にとても狭い世界で、コロナ渦なんかで一つリズムが狂うと元には戻れなくなるんですかね。
そういう意味ではプロスポーツは数字がすべてだから、多少は気は楽かもしれません。

コメントありがとうです。
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