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『コールガール〜私は大学教師、そして・・・』その5(20/7/3更新)〜ピーチという女性経営者に見るビジネスの奥義

2018年02月20日 04時01分00秒 | コールガール系

 ピーチ”という女性経営者について一言。彼女は他人に親身であると同時に、何としてもこの人を守らねばと、思わせる得意の才能を持っていた。 
 彼女は自分の役割と立ち回り、及び、振る舞いを見極め、その新しい人格を自分の奥深くから呼び出し、その通りの人物になったと。
 非合法な売春の組織を、女手一つでまとめ上げ、成功させ。Wフォークナーの文学に精通し、有力者と然るべき繋がりを持ち、クラブを一巡りすればあちこちから声の掛かる女。それがピーチの等身大の実像だ。


女性経営者

 ピーチの女たちは、彼女の為なら何でもしたし、彼女も彼女達を当てにした。それが彼女のビジネスの本質であり、売春組織におけるマダムのやり方だった。
 マダムがいるか、ヒモが付くかは、天と地の開きがある。彼女自身、有名な一流大学でコミュニケーションの学位を取っていた。古典文学にも精通してた才女は、とびきりの美人で、自慢のロン毛は自慢の美貌を包み込んでた。緑色した瞳は全てを知り尽くした様な輝きを宿し、クロスワードの達人で、よく物を失くす事で有名だった。

 彼女は自宅のアパートメントで、書物とダイエットコーラと猫を共にしながら、コールガールの斡旋業をこなした。彼女は脅威の記憶力の持主で、客は自分達の情報が世間に漏れるのに怯える必要はなかった。記録メモがないから、覆面の抜き打ち操作でも、何ら証拠は見つからないのだ。
 彼女は客もコールガールも運転手も、その容姿や特徴、仕事や好み、スケジュール、全てを頭の中に完璧に叩き込んでいた。私はいつも驚かされた。彼女はセールスの天才でもあったし、ビジネスの達人でもあった。

 彼女は、送迎料金の交渉までしてくれた。遠くに住んでる客にも交通費を請求した。それでも彼女の取り分は変わらない。仕事が増えても、取り分を引き上げる事はない。ビジネスには徹底してフェアだった。
 ま、一つの仕事を取るに要する電話交渉は、実質2分で60ドル。こんなオイシイ仕事も他にはない。テレフォンSEXだって、1時間僅かの8ドルなのに。


小規模なエスコートサービス

 心地良い環境で仕事をしてる彼女と、自分の境遇を比べずにはいられなかったのも、本音である。でも彼女は、入念に客をチェックし、女達の盾となり、危険を承知の上で、"ボストン·フェニックス"の広告欄に自分の名前と電話番号を載せてるのだ。 
 事実、彼女はコールガール達に、心から親身だった。お抱えの女の子が客に傷付けられると、電話口でカンカンに罵った。以降、数週間は客の電話を無視した。これこそがピーチの基本原則であり、成功の秘訣でもある。
 しかし、これも常連との一種のゲームで、"ピーチ先生が電話の中でムチを振るい、客はひれ伏す"のだ。いわば、言葉のSMだとか。

 客は彼女の機嫌を取る為に、あらゆる貢物をした。入手困難なコンサートチケット、流行りのレストランやクラブでの店の奢り、カジノへ行けば、チップの山が築かれた。彼女はそんな待遇に満足していた。彼女は、華やかさや特権、それにリムジンを愛した。 
 彼女は、人心操作術にも長けてた。ある意味、サイコパシーの特徴でもあるが。彼女の為なら、誰もがどんな厄介な事でも引き受けた。不思議と、それが如何にも理に適った事の様に思えてくる。

 20人程の小規模な組織では、エスコートサービスを立ち上げるに、大したお金はかからない。広告費が主な出費だが、そこそこで収まるし、摘発を免れる事も出来る。
 これが大手の組織だと、紙面も大きくなるし、スタッフもオフィスも充実する代り、警察の餌食にもなりやすい。

 彼女は、二種類の広告を出してた。エージェント用と新人募集用。広告費は週一で$340で、全て現金払い。それに、運転手やコールガール達が代って支払いに行った。手間賃は$20。
 新人募集と書いたが、勧誘する事はない。女の子が彼女を発見した。私も同じで、私の方から彼女を求めた。広告欄の一番下に"しとやかな魅力ある女性を求む"とあるからだ。


就職率100%

 この業界は常に新人を求める。目新しさが全て、美人だのセクシーだのは、二の次。あらゆる組織が客同様に、新しい肉体を求める。つまり、常に就職率100%って事だ。
 しかし、彼女は最初に、かなりの振るい落としに掛けた。18歳未満の者、投げやりな態度の者、飲み込みの悪い者をふるい落とす。
 不満を漏らす者には、話し合いを持った。当然、彼女は自分の都合の良い様に細工する。初仕事を上手く行く様に、出来る限り上手に取り計らう。
 忠誠心さえ育てれば、女達は彼女の世界の、組織の一部であり続けたいと、考える。それがコツなのだろうか。

 勿論、新人への信頼が必ず的中するとは限らない。ある女は彼女から大金を盗んでドロンした。ある女は常連をごっそり奪い取り、早々と独立した。でも、この世界ではよくある事で、裁判沙汰に出来る筈もない。しかし、彼女に限っては、こんなケースは滅多に起こらない。

 彼女は誠実で、親身でもあったから、粒よりのコールガールを揃え、質のいい客を相手に商売できた。"人生は捨てたもんじゃない"
 女将として、お抱えのコールガールに騙されない為には、ツテを頼りに新人を雇い入れるのが得策だ。ピーチの下で働くコールガールの多くが大学生で、それぞれに友情の輪を持ってた。お陰で、新人発掘の手間が省けた。
 皆がお互いを知り尽くしてるので、それが彼女の生活を楽にし、身を守ってくれる。危険を伴わないSEXこそが、客やコールガール全てが望む"性"なのだろう。


コールガールに保証はない?

 売春の広告では、"絶対保証"という決め台詞がある。勿論、大ウソだ(笑)。しかし、この業界でウソとは、日常行為で必須なのだ。

 ピーチは当り前の様に諭す。"ウソは必要なの。もし貴方が本当の体重や年齢を教えたら、客は付かないし、常連でも貴方を避けるわ。客は欲しいモノ(快楽)を得、貴方も欲しいモノ(金)を得るの"
 更に、彼女は続ける。"男なんて羊よ。男の性欲なんて、メディアやポルノに支配されてんのね。ホントに何を求めてんのか判ってないのよ。性的に興奮してる時は"

 つまり、男にとってコールガールは、全て"パメラ•アンダーソン"でなきゃアカンのだ。だから、ピーチも私も平気で嘘を付く。それでも、客は送られた女に満足する。
 彼女が質の良いコールガールを抱えてる証拠なのだ。



2 コメント

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パメラアンダーソン (tokotokoto)
2018-04-30 05:25:26
おはようございます。

パメラアンダーソンとは懐かしい。一見美人ですが、よく見ると顔も肉体も歪なポルノ女優でしたが。
映画なんかで見ると、欧米のコールガールって異常なまでに雑で、恐竜みたいにでかく、よくあんなゲテモノに大枚を叩くなと逆に感心します。

でも、野郎の下半身は正直なんですね。ゲテモノであろうが恐竜であろうが、オカマであろうが、こんにゃく?であろうが、快楽と欲求を満たせばそれでいいと。

この本に登場するピーチという女性が経営する売春屋は女子大生を数多く揃え、質も若さも肉体も、また知性にても手抜きがなかったんでしょう。良質な中級コールガールのお手本いや理想形ですね。

どんな仕事においても、最後にモノを言うのは知性とコミュニケーションなんですかね。
性に知性や会話を求めるというのは一見矛盾するようですが、性的ファンタジーという観点から考えると、妥当なような気もします。

転んださんが大好きなアーベル博士じゃないけど、発散する筈の親父の性的欲望は、こういう所に収束するというか、落ち着くんですかね。
結局、この性的強欲という危険なものに何がしかの媒体を噛ませる事で収束させるんですかね。いや、落ち着かせるというか。

今日は理屈っぽいコメントになりました。ここで失礼します。

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Re:パメラアンダーソン (lemonwater2017)
2018-04-30 14:17:22
こんにちわ、暑くなってきましたね。
GWというのに、益々出不精になってます。

 パメラ•アンダーソンとアーベルに反応して頂いて、とても嬉しいです。

 野郎の性欲が知性と会話に収束するという、tokoさんのコメントはとても言い得て妙ですね。ファンタジーという要素を噛ませる事で、発散する筈の性欲を落ち着かせるという。

 それに、”危険を伴わないSEX”こそが、客やコールガール全てが望む"性"というのも、言い得て妙ですね。
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