象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

ファイナンス詐欺に遭遇〜安い買い物には棘(トゲ)がある

2024年09月01日 16時55分02秒 | 独り言&愚痴

 ”NTTファイナンスです。料金未納につき法的措置をとる事になりました。昨年に1年分の某サイトによる未払いがあります。支払わなければ法的措置を取らざる負えません。つまり、裁判所に申し立てとなります。
 誠にすみませんが、個人情報の確認をさせてもらいます”

 私は突然の電話に我を忘れ、見知らぬ相手の言葉を鵜呑みにし、個人情報の確認に応じてしまった。
 (今更だが)冷静に考えれば、相手の電話番号は”+”から始まる海外の電話番号だったから、落ち着いて確認すれば引っ掛かる事はなかったのだ。が、”法的措置を取る”との言葉に動揺した私は、何の疑いもなくバカ正直に応じてしまった。

 但し、電話音声のノイズが中途に煩く、電話の途中で”信用していい電話ですよね”と念を押したが、時既に遅しである。
 事実、詐欺相手は私の個人情報を既に知ってたらしく、早口で喋る私の言葉を再確認する事もなかった。途中で一旦保留になり、再度担当者が出ると、そこでプツンと音声が切れた。


安いものには罠(ワナ)がある

 早速”NTTファイナンス詐欺”で検索すると、徳島県警のサイトにヒットし、ファイナンス詐欺の実例が詳しく紹介されている。つまり、私が受けたものと全く同じだ。
 更に、”NTTファイナンス”で検索すると、NTTを装った架空料金請求詐欺が多発してるせいか、NTTではフリーの専用ダイヤルも用意されていた。
 専用ダイヤルに電話し、被害状況を伝えた所、”海外からの電話は徹底して無視して下さい”の事だ。

 全く、詐欺に遭う時に限って人は冷静ではなくなる。こうした負の状況には用心深い私も、この時ばかりは何も警戒せずに電話に応じてしまった。
 勿論、騙す奴も悪いが、騙される私も人が良すぎる。自業自得と言えばそれまでだが、”法的措置を取らざるを得ないので、個人情報の確認をお願いします”と言われたら、無実を証明する為に、相手の話に応じるのは避けられない。
 それに、私にも落ち度がないとも言えない。それは”Temu”(テム)という世界規模の中国大手激安ショップのECアプリにログインし、Tシャツなど1400円相当の買い物をした矢先だったのだ。
 勿論、全てを信用して利用する筈もないが、”コンビニ払い”が用意されてたので、気を許した自分も情けない。

 因みに、Temu(テム)は中国の企業・拼多多(ピンドゥオドゥオ)が運営する会社で、アメリカではマーケットプレイスとして登録され、運営はマサチューセッツ州の外国法人Whaleco(ホエールコ)である。日本ではアイルランド企業のWhalecoTechnologyとしてアプリが23年に登録され、運営は米国同様にWhaleco(ホエールコ)が関連する。
 この時点で少し怪しいが、某調査ではアメリカ市場への参入に資金を投じ、1件の注文につき平均30ドルの損失を出した事が明らかになっている。更に、中国が個人情報を窃取する事を目的としたECアプリではないか?と長らく危険性や怪しさを指摘されていた。
 そしてイメージ通り、2024年6月に米アーカンソー州では、マルウェアをインストールさせ個人情報を窃取したと訴訟を起こされている。

 確かに、日本国内での被害状況は分からないが、Temuアプリで個人情報が漏れ、NTTファイナンス詐欺に繋がった可能性は高い。
 事実、Temuアプリを導入した数時間後にファイナンス詐欺に遭い、その日の夜中に誰かが楽天に不正ログインしていた。
 こうした事例で言えば、アマゾンも楽天もヤフーもドコモですらも、一時は個人情報の漏洩やクレジットカードの不正使用が話題になった時期もある。だが、これらネットショップ大手は、こうした障害を乗り越え、セキュリティーを強化する事で今の地位に君臨している。

 ”安かろう悪かろう”から”安いものには詐欺がある”の時代へ・・・ 
 便利になった今の時代がいいのか?不自由だったが、安全や安心がタダで買えた昔が良かったのか?


更に続く、被害の連鎖

 個人情報の漏洩は、更なる悪の連鎖をもたらしてくれた。
 NTTファイナンス詐欺に遭ったのが夕方の4時頃で、Temuアプリをインスコし、買い物をしたのが昼の2時頃だから、噂のアプリによる個人情報の漏洩は(明確ではないが)その確率は限りなく高い。
 事実、その日の夜中には楽天への不正ログインのメールが届き、アドバイス通りにパスワードの再設定を行った。念の為にと、よく利用するAmazonもパスワードの再設定をした。
 ただ、楽天もAmazonも難なくログインできたから、パスワードの変更が行えたが、Yahooの場合はログインすら出来ないし、何度やってもハネられる。

 この時点で、私は年甲斐もなくキレてしまった。個人情報を盗まれた腹立たしさと、詐欺に簡単に引っ掛かった自身に対する失望が混在していたのだ。
 ただ、こういう時は時間をおいて冷静になるのが一番だが、ネット詐欺に引っ掛かった経験が1度もなく、動揺と不安の方が大きかったのだろう。自ら余計に騒ぎを大きくしてしまった。
 Yahooの場合、基本的には電話サポートがなく、ログインによる問合せと有人チャットのみである。結局はログイン出来ないので、ダメ元でサポート外のYahooセンターへと電話する。
 当然、サポート外だから、まともな返答はない。それでもしつこく喰らい付き、何とかログインできるよう打開策を計るが、まるで”猫に小判”状態で、一向に前へは進まない。キレそうになる自分を抑えながら押し問答を繰り返すも、当然の如く”焼け石に水”であった。

 今から思うと、私は典型の”迷惑クレーマー”に過ぎなかった。頭を冷やし、翌日に試すと、SMS認証の画面が出て、あっさりとログインできるではないか。
 更にログイン履歴を調べても、第3者による怪しいのはない。何が起きたのかサッパリだが、何かが起きたのは間違いない。一応、2段階認証のアプデを要求されたので、それに従った。
 その後、念には念の為にと、Amazonと楽天には再度、セキュリティーに関する具体策を確認する。Amazonの場合は不正な買い物があった時のキャンセルシステムを再確認したが、楽天はログインして問い合わせるも返答はなく、仕方なく有料のサポート電話に頼ったが、まともな返答はなかった。

 でも、頭を冷やしてよく考えると、Amazonも楽天もヤフーも、セキュリティーに関する味付けが異なり、Amazonはキャンセルや返金・返品システムが充実し、楽天はログイン認証メールが届く事で、セキュリティーを強固にしてる。一方で、ヤフーは指紋とSMSの2段階認証で、更にパスワードを無効にする事でパスワードを盗まれたり忘れたりしても、安心してログインできる仕組みだ。
 今回は、バタバタした事で色んな事を勉強した。つまり、詐欺に遭って個人情報を盗まれたとしても”慌てる事は一切ない”という事である。


追記〜安いからには訳がある

 ジタバタ劇が一段落したが、それでもTemuからの曖昧なメールがしつこく来る。ギフトか特典か善意のオファーだか知らないが、何かに理由をつけて届く。
 特に、注文した商品が既に配送されたにも関わらず”ご注文有り難うございます”とのメールが来た。
 他に何か注文したんだろうかと思いつつ、Temuアプリにログインしてカートを確かめると、そこには2770円分の商品が入ってるではないか・・・

 私は頭にきて、このアプリを削除し、問い合わせセンターに通報した。ファイナンス詐欺に遭った件でも、2度ほど強く抗議してたので、今回が3度目の抗議である。
 ”何で余計な事ばかりするんだ”と怒りを炸裂させた。”もし確認してなかったら、注文してない商品まで支払わされる所だった”と問い詰めると、オペレータはひたすら謝るだけだ。
 ”とにかくアンタラの会社は余計が多すぎる。ルーレット特典もボーナスもクレジットもいらない。安いだけでそれだけで十分だ。メールも誤解を招く様な余計なのは送るな”怒鳴ると、”着信設定で調整できますが・・”とヤンワリ返すので、Temuのウエブからログインし、設定を確認するも、これまた微妙に複雑でややこしい。

 人は余計をする生き物である。いや、余計をする事で安心する生き物だ。
 そういう私だって、今回の情報漏えいの件に関しては、我を忘れて余計に騒ぎ立てた。勿論”機を見るに敏”ではないが、危機に関しては素早く動く必要もあるが、それは必要最低限の行動の事だろう。
 Temuアプリが情報漏えい詐欺と噂される1つの理由に、(他のアプリもそうかもだが)パスワードを入れるだけで簡単にログインできる事にある。ウエブだと2段階認証が待ち構えるから、セキュリティーに関しては信用はできる。
 確かに、アプリは便利で操作しやすいし、一々ログインする必要もない。その一方で(アプリによってはだが)アクセス権限が幅広く許され、個人情報が盗み放題となるものもある。

 急成長を続ける中国大手のECビジネスだが、こうした基本中の基本を忘れては、世界中からの信用も失ってしまう。
 一方で、価格を安く出来る理由に、万国郵便制度での”途上国扱い”で配送料が極端に低く、低価格製品は関税が免除される事にある。更に、中国国内のデフレにより在庫を多く抱え、自己完結型の製造・供給・配送システムを構築してるが為に、大量に安く売り捌けるという。

 今や、Amazonや楽天が霞む程の勢いのTemuだが、”安い”と言うだけで商売が出来る時代は遠い過去のものになるのかも知れない。


補足〜実際にモノが届いてみて・・・

 約束通り、1週間以内で注文してた商品が届いた。Temuの規約によれば、配送が1週間を超えた場合は600円相当のクレジットが貰えるとの事だが、中国から出荷し、日本の関税を通過し、1週間以内で届いた訳だが、これはいい意味で噂通りである。
 因みに、オオサカ堂からの薬が10〜14日掛かる事を考えると、如何に早いかが判る。
 肝心の商品だが、今回は速乾Tシャツ3枚(669円)と短パン2枚(339円+469円)だが、肝心の生地は薄くも厚くもなく、百均やスーパーで売られてる500円程のTシャツと比べても、品質的には同等かそれ以上である。ただ、短パン(安い方)のゴムが少しキツいのが欠点だ。
 サイズはTシャツも短パンもS(JPL)を選んだが、M(JPXL)を選べば不満はないと思うが、着心地はSでもゆったりとしてはいる。
 ネットや激安スーパーで市販されてる半値以下で買えた訳だが、アプリの脆弱性による情報漏洩の致命的な問題を除けば、一応は合格点を挙げられる。

 但し、Temuアプリの勧誘はしつこすぎる。毎回アクセスする度に、ルーレットボーナスが登場し、アプリをDLする様に誘導する。更に、アプリで無料になる商品も数多く紹介され、(ウエブにはない特典だが)個人情報とのトレードオフで考えれば、明確な違法行為ではある。
 勿論、Temuも米国で数件の訴訟を起こされてるから、アプリの脆弱性やマルウエアに関しては十分認識してると思うが、”安い早い”だけでは今や大衆は食いつかない。
 安全と信用という高いハードルをクリアしなければ、この業界では生き抜いてはいけない事は十二分に承知の事だろう。そして、それは昨今の中国と中国人全体の倫理感の問題でもある。

 という事で、”安いものには棘がある”のお話でした。



4 コメント

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Unknown (りくすけ)
2024-09-01 17:56:41
象が転んだ様へ。

お邪魔します。
ご無沙汰しております。
大変でしたね。
心中お察しします。
お陰様でよき教訓を得る事ができました。
ありがとうございました。
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りくすけサン (象が転んだ)
2024-09-01 22:44:58
全く情けない話でして・・・
台風10号の方はかなり接近したものの、殆ど風は吹かなかったですし、雨も降らなかった。
でも、ネット詐欺の方が大事でした。
安いとても、極端に安い訳でもなく、合計の買い物が2100円以上という縛りがあります。
こちらこそ色々と教訓になりました。

いつもコメント有り難うです。
では・・・
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Unknown (tokotokoto)
2024-09-04 11:38:33
個人情報が流出すると
詐欺サイトの運営者として氏名や住所が勝手に登録されるとの報告もあります。
つまり犯罪の加害者になってしまう危険性もあります。
もちろんネットで買い物をしなければこんな危険性とは皆無ですが
怖い世の中になったもんです。 
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tokoさん (象が転んだ)
2024-09-04 13:09:04
今回は本当に痛い思いしました。
考える程に怖いですよね。
日本人が考える個人情報保護なんて、その殆どが筒抜けで、実質は野ざらし状態にあります。

暗号システムについて記事を書く予定ですが、全てにおいて完璧はない事を思い知らされます。
つまり、今の暗号システムが破綻した時、つまり個人情報が守れなくなった時、信用が破綻したネット社会は消滅し、金融経済を中心とした資本主義もそれらに依存した民主主義も破綻し、人類は原始時代に逆戻りするんでしょうか。
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