象が転んだ

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アルコールが腸内環境を壊す〜大腸がんと飲酒の怖〜い関係

2024年07月09日 03時20分07秒 | 健康

 若い頃は、夏と言えばキンキンに冷えたビールをよく飲んだもんだ。更に、冬でも生ビールを飲んだ。あの頃は、本当にビールが美味しく感じ、黄金の宝石水にも思えた程だ。
 今から思うと、ヘビードリンカーそのもので、よく今まで生きて来れたと思う程に、半端ない飲酒量だった様に思う。

 60を超えた今でも晩酌は続いている。ただ、酎ハイをホワイトリカーに変えてからアルコール摂取量が増え、治りかけてた便秘が酷くなっていた。
 そこで、”アルコールと便秘”で調べると、”アルコール摂取量が多いと大腸がんのリスクが高まる”とあるではないか。
 アルコールとその代謝産物のアセトアルデヒドに発がん性がある事は知ってはいたが、エタノール(総アルコール量×0.8)50gで、大腸がんは1.4倍程度のリスクとなる(上図)という事に少し衝撃を覚えた。

 つまり、僅かストロング酎ハイのショート缶2本で、エタノール(純アルコール)量は50g(=9%×700ml×0.8)となるので、一発レッドカードである。
 因みに、酎ハイを飲んでた頃は最低でもこれ位の量は飲んでたし、更にWリカーに変えてからは、ストレートで200ml以上を飲み干してたから、純アルコール量は56g(=35%×200ml×0.8)以上を摂取してた事になる。
 全く、便秘が酷くなるのも当然ではある。


アルコールと大腸がん

 2024年、厚労省がガイドラインで定めた純アルコール量を男性は40g(女性は20g)とした。勿論、個人差もあるが、これ以上飲んだら生活習慣病のリスクが上がるとの目安であり、警告でもある。
 因みに、脳梗塞は純アルコール量(男性)で週300g以上(43g/日)で、脳卒中(脳内出血)は150g(21.5g/日)で発症リスクが上がる。肝臓がんは450g(64g/日)で発症リスクが上がるが、21年度の成人1人当りの酒類消費量は74.3Lで、20年前の8割未満に減った。が、22年にアルコール性肝疾患で亡くなった人は6296人で、20年前と比べ2倍近くに増えたという。
 だが、これは、”一部の多量飲酒者が多くのアルコールを消費している”と国は分析する。

 一方で、摂取したアルコールはアルデヒド脱水素酵素(ALDH)により酢酸に変わる。これら活性酵素の働きは遺伝により強弱があり、お酒に弱い人と強い人とに分かれる。
 この酵素の働きが弱い人は、アルコールが体内に長時間残る為、アルコール依存症になり易く、頭頸部や食道の発がんリスクが特に高くなるとされる。
 また、飲酒と喫煙は相乗的に多発がんの危険性を高め、更にALDHの働きが弱いと多発がんが多くみられるという。
 つまり、飲酒が直接大腸がんに結びつくかは、遺伝的な要素も大きいのだろうか。

 一般に、大腸がんのリスクを高める生活要因として加工肉・飲酒・肥満・糖尿病・高身長・喫煙が挙げられる。
 ”加工肉”に発がん性物質が含めれるのはよく知られる事だが、飲酒でも日本人では1日15g以上の純アルコール摂取で大腸がんのリスクが上昇し(上図参照)、大腸がん患者の25%が、1日23g以上の純アルコールを摂取をしてた事が判っている。
 確かに、このデータを見れば、大腸がんとアルコールを直接結びつける事も出来るし、アルコールが腸内環境に何らかの悪い影響を与えてる事は確実であろう。
 因みに、”喫煙”が大腸がんのリスクを20~40%上昇させると報告されるが、煙草の煙の中に多くの発がん性物質が含まれ、他のがんのリスクも上昇させる事から、喫煙行為は一発でアウトとなる。更に”肥満”も、大腸がんになるほぼ確実な要因とされる。
 一方で、運動と植物繊維は大腸がんのリスクを下げる大きな要因とされるが、運動はどうも苦手なのだ。 


アルコールと腸内環境

 これも一般に言われてるのが、アルコールを大量に摂取すると、水分や電解質(ナトリウム)の腸から体への吸収が悪くなり、水分の排出量が増え、糖や脂肪の分解・吸収も低下し、下痢を起こし易くなるという。また、アルコール長期大量摂取者は大腸ポリープが出来易いとも言われている。
 但し、アルコールによる下痢にはもう1つの深刻なパターンがある。
 それは、長期に渡る過剰なアルコール摂取により、消化機能が低下する事で起きる下痢で、便に過剰な脂肪が存在する事から”脂肪便”とも呼ばれる。長期飲酒により主に膵臓の機能が落ち、消化液や胆汁の分泌量が低下し、脂質やたんぱく質がうまく分解・吸収できない事で起きるという。
 以下、「腸に悪い飲酒と良い飲酒」より大まかに纏めます。

 一方で、お酒には消化管に良い影響を与える場合と悪い影響を与える場合の両方がある。
 良い影響とは(食前酒の様に)消化管の働きを活発にするが、逆に悪い影響とは消化管の働きを抑制する。これらはアルコールが自律神経に作用した結果で、その仕組みはとても複雑だが、アルコールにより脳が”戦闘モード”になったり、”癒やしモード”になると言えば理解し易い。
 例えば、戦闘モードではドーパミン(興奮ホルモン)が、癒やしモードではセロトニン(幸福ホルモン)が分泌されるが、この2つは相互関係にあり、複雑なバランスで保たれている。つまり、その人のアルコール分解能力やその日の体調、また酒を飲む環境なども関係してくる。
 個人差はあるが、血中アルコール濃度が50mg/dL位までは気分も爽やかでリラックスした状態だが、それ以上大きくなると悪酔いに急速に傾いていく。故に、血中アルコール濃度が急上昇しない様な飲み方が大切となる訳だ。

 飲酒により大腸がんのリスクが上がるのは事実だが、長期的な飲酒と腸の関係について、更に詳しく進めていく。
 まず、長期の過剰飲酒が続く事で、善玉菌が減少し、腸内細菌のバランスが悪くなる事が報告されている。一方で、アルコールは胃で20%、小腸で残りの80%が吸収され、大腸には殆ど到達しない。
 しかし、実験データによると、アルコールは体内で代謝されるまで血液を介して全身を巡る。つまり、毛細血管を通じて大腸にもアルコールが到達する。故に、飲酒により大腸がんリスクが高くなるのではないか。
 確かに、そう考える事で、乳がん等のリスクが上がる事も説明できる。

 つまり、アルコールは最終的に肝臓や筋肉などで代謝されるが、その過程で”酸化ストレス”が生まれる。マウスの実験結果では、アルコール量が増える程に、長期になる程に、この酸化ストレスが増え、腸に悪影響を与えてる事が判る。
 故に、酸化ストレスにより善玉菌(偏性嫌気性菌)がやられる事で、腸内細菌のバランスが崩れるとの説が成り立つ。
 以上より、和食など栄養バランスのとれた腸内に優しい食事に加え、適度な運動も自律神経を刺激し、腸を活性化するのに効果的なのは言うまでもない。
 以上、日本経済新聞からでした。


最後に

 こうして見ると、ストレス発散や嗜好として当り前の様に親しみ、楽しんでた飲酒というものが、如何に消化器官を苦しめ続けてきたかをよーく理解できた。特に酒飲みには、”脂肪便””酸化ストレス”の2つの言葉は頭に入れとく必要がある。
 私が本格的に晩酌をする様になったのは、30を過ぎた辺りだったろうか。それまでは付き合いで飲む程であった。一方、お酒は元々強い方だったので、飲もうと思えば幾らでも飲めた。更にド田舎だから、娯楽も楽しみも生き甲斐も何もないので、気がついたらアル中になっていた。
 40代頃に5年ほど酒をやめた時期もあったが、その後も(量こそは減ったが)晩酌は続いた。しかし以降は、慢性的な便秘に悩まされ、飲酒が腸内環境を荒らす事に気付いたのは、ごく最近の事である。

 それに、何と言ってもがんは日本人の死因のNo.1で、生涯でがんになる確率は男性63%、女性47%にも達する。更に、大腸がんは男女共に2位で、男女合わせると最多となる。その上、大腸がんは50歳を過ぎた頃から発症率が高くなるという。
 ここまで明確な数字(統計)を並べられたら、晩酌好きの私でも殆ど反論は出来ない。

 しかし、習慣と惰性いうものはとても恐ろしいもんで、2,3日断酒した位では、その効果を実感する事は出来なかった。故に、少しずつ減らしていく事にした。
 3週間ほど前から、晩酌を2日に1度にし、1日に飲む量はスト酎ハイのロング缶1本。純アルコール量は36g(=9%×500ml×0.8)で、1日辺り18gとなる。これは厚労省のガイドラインの40gの半分以下だが、それでも大腸がんリスクが向上する目安の15gよりも多い。
 これが吉と出るか?は、まだ実感すらないが、お財布にも腸内にも優しい事だけは期待はできる。 

 とにかく、私達が日ごろ当り前と思ってる事は、単なる偶然の賜物で、病気や災難はそんな時に突然やってくる。そう、病気とは偶然ではなく必然の集合体でもあるのだろう。
 という事で、アルコールと腸内環境の怖~いお話でした。



6 コメント

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マーフィーの法則 (腹打て)
2024-07-09 14:55:08
リスクが増えるから癌になるのか?
癌になるからリスクの増える生活をしていたのか?
まるで<マーフィーの法則>みたいに、リスクばかり考えてるとリスクが現実となるのだろうね。
特に癌の場合、色んな要素が絡み合い発病するから、一概には言えないけど、予めリスクを考える事で癌になる確率を予測するというのも、病気を予防する手段の1つ。

何も策を講じない人でも病気に罹らない人はいるし、あらゆる策を講じても病気になる人はいる。
勿論、確率で言えば、両者ともその確率は低いし、用心するに越した事はない。
ただ、統計が絡んでくるとサンプルデータの規模や信頼性もあるから、結果だけを見て、漠然と判断するのも危険過ぎる。
長い間、庶民の嗜好と娯楽として君臨してきた飲酒だけど、消化器官を蝕む事が判った今、我ら飲酒族も考え方を変える必要がある。
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腹打てサン (象が転んだ)
2024-07-10 03:08:23
飲酒が日常生活の嗜好や娯楽から、消化器官系のがんを誘引する事が判った以上、酒飲みも考え方を180度シフトする必要がありますね。
コペルニクス的転回でもないんですが、昔は”酒が飲めなくては男じゃない”でしたが、今では酒は発がん性物質であり、がんを誘引する物質でもあります。

世の中から、いや日常生活から飲酒という習慣がなくなったとしたら・・・
ま、これも1つの時代の流れなんでしょうが、断酒してる自分が少し寂しく感じる時もありますね。
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Unknown (tokotokoto)
2024-07-11 10:03:48
呑兵衛には
耳に痛い話ですが
ここまで統計的に示されると反論のしようがありません。
勿論リスクがそのままがんに繋がるわけでもないのでしょうが
アルコールの持つ発がん性と慢性化した飲酒が腸内環境を破壊するという現実を突きつけられては
お酒が百薬の長とはお世辞もも言えません。

今年の夏は例年以上に暑く、ビールの売れ行きが好調らしいですが、調子こいて呑んでる場合じゃないですよね。 
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tokoさん (象が転んだ)
2024-07-11 13:53:11
呑兵衛として
お互いに耳が痛い話ですよね。
まさか、常習化した飲酒が便秘の原因とは・・・これじゃ違法ドラッグと何ら変わりはない。
アメリカではお酒は”飲むドラッグ”と囁かれてましたが、現実にもその通りとなりました。
酒造メーカーは大打撃でしょうが、ノンアルだったら飲まないほうがマシだし
酒飲みにとっては、悲しい時代になったもんです。
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統計と病気 (paulkuroneko)
2024-07-12 10:31:08
”ラーメン店が多い都道府県は脳卒中で死ぬ人が多い”との統計もあるみたいです。
これは”ラーメンを食うと脳卒中になる”のではなく、ラーメンには塩分が多く含まれるから、脳卒中のリスクは自然に高まるという事に基づくらしいとのことですが
アルコールやラーメンやタバコも常習化した嗜好品と見れば、それらにより誘発される大腸がんや脳卒中や肺がんも贅沢病の1つかもしれません。 
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paulさん (象が転んだ)
2024-07-13 02:57:42
確かに
全ての統計データを信じてしまえば、何も食べられないし、何の楽しみもない訳で・・・
結局は、病気であれ、災難であれ、偶発の事故であれ、人はいつかは死ぬという事だけは確かな事ですよね。
つまり、何を選択して何を切り捨てるかの問題ですが、そういう私も飲酒の回数を半分に減らしただけで、断酒をするつもりは毛頭ないです。
ただ、苦手な運動だけは少しづつ始めようかなとも思いますが、健康を意識し過ぎるのもヴィーガンやカルト信仰みたいで・・
生きるって難しいですよね。
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